「残業時間が長くてキツイ…。」
「みんなはこんなに残業しているのかな?」
と、薬剤師の残業時間が気になっていませんか?
今回は、職場別に薬剤師の平均残業時間についてまとめました。
あわせて残業が多い原因と、労働時間を短くする対処法を徹底解説。残業が慢性化している現状が辛くなっている方は、ぜひこの記事を参考にして改善策をお試しください。
「残業=当たり前」ではないので定時に帰りたいと考えている方は、前向きに行動するべきです。
押さえておきたい!残業に関する基礎知識
約7万人を対象とした「openwork」の調査によると、1日1~2時間残業している人が多いようです。
月に47時間が残業の平均的な長さだと分かります。
割増賃金の概念について
残業代について気になる方も多いかと思うので解説します。
労働基準法で定める労働時間は、原則1日8時間まで、週の上限としては40時間となっています。
しかし、36協定を締結し、届け出を行うと法定労働時間を超えた労働が可能となります。
また、使用者には超えた時間に対する割増賃金(わりましちんぎん)の支払い義務が発生するのです。
具体的には、通常の賃金の1.25倍を支払う義務があります。
※割増賃金とは、残業が時間外労働、深夜労働をした際に、基本給に上乗せして支払う賃金のことです。
参考文献:労働基準法
【職場別】平均残業時間!残業が多い原因も解説
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均残業時間は11時間です。
しかしこれは平均数値であり、職場によって職場ごとに残業時間や激務の原因が異なります。
ここでは、薬剤師のおもな職場である「調剤薬局」「病院」「ドラッグストア」「製薬会社」ごとに徹底解説!
調剤薬局
調剤薬局で働く薬剤師は、1日あたり1時間程度の残業が発生する職場が多いようです。
基本的に調剤薬局では、「9時~18時」「10時~19時」というように営業時間が定められています。しかし門前の医院が閉まらなければ、薬局を閉局できません。
医院やクリニックの営業時間ギリギリに駆け込む患者さんの対応や診療が長引く場合は、残業が発生します。また、感染症が流行る時期には処方箋の発行が増えて時間通りに帰ることが困難に。
下記の理由で残業時間が増える薬剤師もいます。
- 薬歴が終わっていない
- 在宅でお薬の指導がある
- 翌日の予製を作らなければならない
- 発注や報告業務がある
かかりつけ薬剤師や24時対応薬局の場合は、患者のコールがあれば対応する必要があり、激務化する傾向にあります。
※参考:openworkの月間残業時間「日本調剤薬局」「アイ・エム・シー」「クオール」「アクア」「総合メディカル株式会社」
病院
病院で働く薬剤師は、人手不足が原因で残業が増えやすくなります。1日1時間~2時間ほど残業する人が多いようです。
とくに急性期の病院では、事故や急病によって救急搬送される患者様の対応もあるので、急な残業が発生するケースも。
学会発表や治験業務、薬学生への指導を担う薬剤師は、5時間以上残業する場合もあります。
また、調剤薬局と同様に、医師の処方箋発行が遅かったり、閉院間際に駆け込んできた患者様の対応があったりすると残業時間が多くなる原因に。
ベッド数が少ない小規模な病院や院外処方で病棟業務のみ行う職場は、残業が少ない傾向にあります。
参考:openworkの月間残業時間(職業の絞り込み検索:薬剤師)「国立研究開発法人国際医療研究センター」「国立大学法人九州大学病院」「東京大学医学部付属病院」
ドラッグストア
ドラッグストアは、人手不足が深刻化しているため、1日2~3時間ほど残業があります。24時間営業のドラッグストアが多く、残業が発生しやすい環境だと言えるでしょう。
おもな業務内容は、品だし・商品の管理・販売・レジ対応など幅広いのが特徴です。また、店長などの役職に就くと、店舗全体の管理や運営、スタッフの育成も行うため残業時間が長くなります。
参考:openworkの月間残業時間(職業の絞り込み検索:薬剤師)「ウエルシア薬局」「ドラッグストアモリ」「富士薬品」
製薬会社
製薬会社は、調剤業務や患者様の対応がなく、残業時間が1日に1時間以内と比較的に少ないようです。
しかし職場によっては、下記のような業務内容をこなすため、勤務時間が長引く可能性も。
- 病院やクリニックで医師との面会
- 医薬品卸メーカーへの挨拶
- 勉強会・研究会への参加
- 企業内診療所での服薬指導や調剤
- 学術業務
- 医薬品情報の問い合わせ対応
とくにMRは、営業職ですので売上目標を課せられることが多く、ノルマを達成していなければ定時に退社しにくい傾向にあります。
医院やクリニックへの訪問は、営業時間外に行う必要があるので、残業時間が長くなってしまうのです。
参考:openworkの月間残業時間(職業の絞り込み検索:MR・メディカル)「アステラス製薬株式会社」「ロート製薬株式会社」「大日本住友製薬会社」
薬剤師の残業が多すぎる!2つの改善策
残業時間の長さに頭を抱える人も多いでしょう。「今すぐ、残業時間を減らしたい」という方は下記の改善策を検討してみてください。
- 上司に相談する
- 転職を検討する
上から順に解説します。
上司に相談する
慢性的な長時間労働にうんざりしている人は、一度上司に相談してみてください。
業務量に対して人員が不足している場合は人員配置の対応や新規採用を検討してくれる可能性があります。
まずは効率が良くなるように、優先順位を決めて業務を遂行して、自分ひとりでは改善できないならば上司に相談をしてみましょう。
転職を検討する
職場の上司や自分で試行錯誤して改善策を試しても、残業時間が減らない場合は転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか?
転職は、今後の人生を大きく左右するので、決断に勇気が必要です。
ライフワークバランスが崩れたままの状態で何年も過ごすと、体調を崩しかねないので、前向きに検討してみてください。
「転職したら仕事が楽になった」「もっと早く転職すれば良かった」という声が多いのも事実です。
次の章を読むことで、転職を失敗するリスクが回避できるので引き続きご覧ください。
ブラックな職場を避ける!残業の少ない職場を見つける方法
残業の少ない職場を見極める方法をまとめます。
- 条件が良い・長期間求人募集を続けている求人を避ける
- 勤務条件・業務量について確認する
- 転職エージェントを利用する
上から順に見ていきましょう。
条件が良い・長期間募集を続けている求人は避ける
あまりにも条件が良く、高年収の場合は、人材不足が深刻化している可能性があります。
また長期間募集を続けている企業の求人も、離職率が高いことが見受けられるため避けた方が良いでしょう。
実際に働いている社員や元社員の口コミが集まるサイト「openwork」などで、内部事情を下調べすることも肝心です。
地方にある小規模な調剤薬局や病院などの口コミは見つけにくいですが、中規模~大規模であればリアルな声を探ることができます。
勤務条件・業務量について確認する
求人情報や公式ホームページに記載されている情報だけを鵜呑みにしてはいけません。
労働条件や業務量について、入社前にしっかりと確認しておきましょう。
「何となく働きやすそう…。」といった感覚で転職先を決めると、後々、悔いてしまうかもしれません。
入社後に「求人情報のニュアンスと違う」と感じた経験がある人も多いのではないでしょうか?
雇用契約書には、必ず目を通して疑問点があればすぐに担当者に確認してください。
転職エージェントを利用する
転職を成功させるためには、転職エージェントを利用するべきです。
転職エージェントは、求人を紹介してくれるだけでなく、無料の転職支援も行っています。
残業が少ない転職先を紹介してくれたり、労働条件を企業に代理交渉してくれたりするメリットも。
万が一、労働条件が事前に聞いていた内容と相違する場合、力のある転職エージェントならば再度条件を交渉してくれます。
転職後も手厚いサポートをしてくれるので、積極的に活用するべきです。
残業の少ない薬剤師の職場・働き方とは?
ここでは、残業が少ない薬剤師の職場と働き方について解説します。
- 転職エージェントを利用する
- 残業が少ない職場を希望する
上記の2つのポイントを意識すれば、残業のない優良な職場で働けるでしょう。
医薬品卸
医薬品卸は、薬剤師が正社員として働く職場の中で唯一「残業がない仕事」です。
人気な職場ですので求人がそれほど多くないことが欠点です。
医薬品卸は、調剤業務や営業がほとんどなく、社内での管理業務がメインとなります。
取引先である医院やクリニックにMRを通して情報提供をしたり、専門的な問い合わせ対応をしたりするのが医薬品卸の仕事です。
基本的にすべての業務が営業時間内に終了するので、残業はほとんどありません。産後に復帰するママ薬剤師に人気の職場です。
派遣薬剤師
派遣薬剤師は、調剤薬局や病院、ドラッグストアがおもな勤め先です。
派遣会社を介して、職場を紹介してもらうスタイルで契約が曖昧になることはありません。
「10時~17時」「9時~18時」など定められた時間だけ働けるので、ママ薬剤師にも人気の働き方です。
派遣薬剤師の時給は、2,800円~3,000円と高く設定されているので、正社員の月収を上回るケースも珍しくありません。
柔軟な働き方ができるうえに、給料が高いので派遣薬剤師として活躍するのもおすすめです。
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
派遣薬剤師はメリットが目立ちますが、デメリットもあるので下記の内容を確認したうえでご検討ください。
まとめ|激務な職場を避けてワークライフバランスを整えよう
激務な職場で働き続けると、心身ともに疲労困憊してしまいます。
もし残業が多くて嫌気がさしているなら、転職を検討した方が良いかもしれません。
「転職したら人生が楽になった」「もっと早く転職すれば良かった」という声も多いので、リサーチを徹底した後で前向きに行動してみてくださいね。
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