薬剤師は国家資格があるため定年後も再就職などで比較的長く働ける仕事です。しかし、定年後ってどんな就職先があるか気になる方も多いのではないでしょうか?
「老後の生活費に不安がある…。」
「60歳以上の高齢者を雇ってくれる会社はあるのかな?」
定年後に再就職をしたいけど、転職先を見つけられるのか、入社後、業務についていけるのか不安に感じていませんか?
結論からいうと、慢性的な薬剤師不足から助けを必要としている職場はたくさんあります。
とはいえ、若手の薬剤師に比べると「60歳以上大歓迎」の求人は、少ないので定年後の再就職には難易度が高いのも事実です。
定年後の再就職には若いころよりも難易度が上がるため、薬剤師の転職サイトなどを使うことでできるだけあなたの条件にあった職場を見つけることができます。
編集部で口コミ・評判を調べ利用者が多く評判の良いおすすめの薬剤師の転職サイト・サービスを3つ掲載しておきます。
今回は、「定年後におすすめの職場」と「転職前に把握しておくべき知識」「再就職を成功させるコツ」について徹底解説します。
本ページを読み終わるころには、定年後の再就職先が明確になり、前向きに再就職活動をはじめられるでしょう。
本ページで分かること
- 調剤経験ありの薬剤師は、調剤薬局や調剤併設型のドラッグストアがおすすめ
- 調剤経験なしの薬剤師は、医薬品卸やOTCメインのドラッグストアがおすすめ
- 60歳以上の再就職は転職エージェントを活用して手厚いサポートを受けるべき
薬剤師が定年退職する平均的な年齢
薬剤師の平均的な退職年齢は、職場によって異なります。下記の職場別の表を参考にしてみてください。
職場 | 退職年齢 |
公務員薬剤師・企業・大規模な病院・調剤薬局 | 60~65歳 |
小規模なドラッグストア・調剤薬局・医院 | 経営者やオーナーの意向によっては70歳以上でも働ける |
小規模なドラッグストアや調剤薬局、医院では、経営者やオーナーに相談して退職年齢を決められます。
一方、大手企業や調剤薬局、病院、公務員薬剤師の場合は、最長65歳までと定められている傾向に。
厚生労働省の「高齢者を雇用する上でのルール」に基づいた労働方法となっています。
再就職|定年後におすすめの薬剤師の転職先
定年後に無理なく働ける職場を下記の4つに分けて解説します。
- 今の職場で継続雇用
- 調剤薬局
- ドラッグストア
- 製薬会社の物流倉庫・物流センター
それぞれメリットとデメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。
今の職場で継続雇用
「定年後に現職で再雇用してもらう」という選択肢は、薬剤師の定年退職後に最も多い働き方です。
定年年齢を65歳未満に定めている事業であっても、厚生労働省の「高年齢者の雇用」により、本人の希望次第で65歳まで働き続けることができます。
再雇用後は、パートやアルバイトなどの雇用形態に変更するケースが多く、年収が下がる可能性があります。
しかし、労働時間の短縮により負担が減ったり、環境を変えずに働き続けられたりといったメリットも。
ご希望の方は、再雇用制度を利用して、同じ職場で退職後に再度雇用契約を締結しましょう。
調剤薬局
調剤経験がある方は、調剤薬局への再就職がおすすめです。
調剤薬局は、薬剤師が活躍する職場のなかでも最も求人数が多く、内定を獲得しやすい特徴があります。
実際に、転職サイト『ファルマスタッフ』の絞り込み検索機能「60歳以上可」にチェックを入れて、検索したところ
- 調剤薬局:180件
- ドラッグストア:57件
- 病院:42件
圧倒的に調剤薬局の求人数が多く掲載されていました。
調剤薬局にアルバイトとして働く場合は、2,000~3,000円と比較的に高く設定されています。派遣薬剤師の場合は、時給4,000円を超える求人も。
POINT
調剤薬局で働く場合は、近隣の病院・クリニックの診療科を確認しましょう。内科や総合病院の門前でしたら薬剤数や処方箋量が多く、激務になる可能性があります。
経験がある診療科の薬局を選ぶと1から知識を身につける必要がなく、負担を減らせるはずです。
ドラッグストア
調剤未経験の場合は、ドラッグストアでのアルバイト勤務がおすすめです。
OTCメインのドラッグストアなら調剤経験がなくても働けます。店舗によって異なりますが、時給2,000円以上とほかのアルバイトに比べると高額な設定です。
薬剤師不足が深刻化しているエリアでは、時給3,000円の求人も。ドラッグストアでは、下記のような業務をこなします。
- OTC医薬品販売
- レジ打ち
- 商品の品出し・陳列
- POPの作成
- 医薬品の管理(納品・在庫管理・受発注など)
- 一般のアルバイトや登録販売者への指導・アドバイス
- 清掃
ドラッグストアは、医薬品以外の商品も豊富に取り扱っているので、1から知識を身につけることが大変です。
しかし一度覚えてしまえば、無理なく業務をこなせるので負担の少ない職場だと言えるでしょう。
製薬会社の物流倉庫・物流センター
ドラッグストアや調剤薬局に比べて求人を探すのが大変ですが、製薬会社の物流倉庫・物流センターへの再就職がおすすめです。
医薬品を取り扱う物流センターには、管理薬剤師の配置が義務付けられています。そのため、「何としてでも人材を確保したい」と考える企業が多い傾向に。
下記のような事務作業がメインですので、60歳以上や主婦など負担なく働ける職場を探している人におすすめの職場です。
- 薬剤入出庫の管理
- 薬剤管理状況の管理(室温・冷蔵温度や湿度のチェック・不良品の有無)
- 管理帳簿の作成・管理
- 許可書や届出の申請業務(年に数回)
- MSへの指示・研修など(年に数回)
求人数が少なく、競争率が高い医薬品卸は、自分1人で求人を探すのは至難のワザ。求人サイトや転職エージェントを利用して探しましょう。
【注意点】定年後の再就職をする前に知っておくべき2つのこと
定年後の再就職をする前に下記の2つの注意点を確認しておきましょう。
- 定年後は年収が100万ほど下がる可能性がある
- 年下が上司になることを受け入れる
「年収が下がり、年下に指示をされる」という現実に対し、柔軟に受け入れられるかを再確認してくださいね。
定年後は年収が100万ほど下がる可能性がある
定年後は、年収が100万ほど下がる可能性があります。
とくに雇用形態を正社員からパート・アルバイトに変更した場合は、年収が大きく下がるので覚悟しておきましょう。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 」によると、55~59歳の年収が約730万円に対し、60~64歳は約610万円、65~69歳になると約540万円です。
薬剤師に限らず、若いころと比べてパフォーマンスが下がるため、年収が低く設定されています。
年下が上司になることを受け入れる
年下が上司になることを受け入れる必要があります。
再雇用制度を利用した場合であっても、現職で雇用形態に変更があることがほとんどです。正社員からアルバイトやパートに変更すると、役職が付いていた薬剤師も無役に。
新たな職場へ再就職する場合でも、年下から指示される機会が増えるでしょう。そのようなシーンでは、仕事を円滑に進めるために謙虚に対応できるかが問われます。
再就職する際の面談では、採用担当者が人柄を注視するので、謙虚さや協調性をアピールすると良いかもしれません。
定年後の薬剤師が再就職を成功させるコツ
定年後に薬剤師が再就職を成功させるコツは次の4つです。
- 雇用形態にこだわらない
- 調剤経験の有無で転職先を決める
- 勤務時間・残業時間・通勤時間を確認する
- 複数の転職エージェントを利用する
上から順に見ていきましょう。
雇用形態にこだわらない
60歳以上の再就職は、雇用形態にこだわらないことが重要です。
実際に、転職エージェントに掲載されている求人を確認すると、大半の企業がアルバイトやパートであれば「60歳以上歓迎」となっています。
正社員として雇用してもらうのは難易度が高いので、再就職活動がスムーズにいかないでしょう。
また、派遣は時給が4,000円前後と高く設定されている一方、体力が必要ですので定年後に派遣薬剤師になるのは難しいかもしれません。
調剤経験の有無で転職先を決める
調剤経験の有無で再就職先を決めるのは得策です。
調剤業務を1から教育するのは大変ですので、ある程度、知識やスキルのある薬剤師を雇いたい企業が多い傾向に。
調剤未経験者は、OTCメインのドラッグストアや医薬品卸などの職場を検討しましょう。
調剤経験がある薬剤師は、調剤薬局や調剤併設型ドラッグストア、病院などの選択肢が広がります。
勤務時間・残業時間・通勤時間を確認する
定年後は、若いころと比べてパフォーマンスが下がります。体力も低下するので、フルタイム勤務が負担に感じることもあるでしょう。
残業が当たり前の職場に転職してしまうと、精神的な負担も感じます。そのため無理なく働ける職場を選んでくださいね。
求人情報や企業の公式ホームページに記載されている内容だけを鵜呑みにするのはNGです。下記のポイントを採用担当者または面接官に聞いておきましょう。
- 勤務時間
- 休暇日数
- 有給休暇の取得
- 残業の有無
有給休暇の取得や残業について直接聞きづらい場合は、転職エージェントの担当者に尋ねるのがおすすめです。
また、職場と自宅の距離感や通勤しやすさをしっかり確認しておくことも大切。
転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用すれば、納得のいく転職を成功できます。
転職サイト「ファーネットキャリア」では、70代薬剤師の再就職を支援したレポートが公開されています。支援を受けて転職成功した70代薬剤師の方は、『同じ年齢層の患者様と一つのコミュニティのような感覚でお仕事ができている』と満足できる生活を送っているようです。
転職エージェントを利用すれば、現状のヒアリングを行い、無理なく働ける職場だけ厳選するので転職先で「やっぱりこの職場は自分には合わない」「体力的にキツイ」といったミスマッチを減らせます。
そのうえ、下記の手厚いサポートを受けながら再就職できるので、内定獲得率が向上するメリットも。
- 専任のキャリアアドバイザーに相談できる
- 自分の条件にあう非公開求人を紹介してもらえる
- 履歴書・職務経歴書の添削・アドバイスをもらえる
- 推薦状を送ってくれる
- 面接のサポートが受けられる
- 労働条件・年収交渉を代行してくれる
自分ひとりで再就職活動をするのは、労力と時間を費やしますが、プロの支援を受けることでスムーズに転職成功できます。
薬剤師の定年後の再就職に関するよくある質問
定年後の再就職に関する不安や疑問は尽きないことでしょう。ここでは、少しでも不安を払拭して前向きになれるようによくある質問に回答します。
下記のなかで気になる項目があれば、ぜひチェックしてみてくださいね。
- 薬剤師の定年後の年収は?
- MRとして活動していた薬剤師の定年後は?
- 50代の薬剤師が定年後を見据えた転職をするのは有り?
上から順に解説します。
Q.薬剤師の定年後の年収は?
A.厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 」によると、60~64歳の年収は約610万円、65~69歳になると約540万円です。
50代をピークに定年後は、少しずつ年収が下がっていることが見受けられます。
Q.MRとして活動していた薬剤師の定年後は?
A.MRの場合は、現職の製薬会社に継続雇用するケースが多いです。
調剤経験がない薬剤師は、製薬会社に継続雇用してもらうまたは、医薬品卸、OTCメインのドラッグストアがおすすめの再就職先になります。
また、セールス力や人脈などがあれば、別の製薬企業に再就職できる可能性も。
Q.50代の薬剤師が定年後を見据えた転職をするのは有り?
A.50代の薬剤師が定年後を見据えて転職するケースはよくあります。
とくに調剤経験のない薬剤師は、定年後の再就職において不利になる可能性が高いので、調剤経験を身につけるために調剤薬局や調剤併設型ドラッグストアに転職しているようです。
60~65歳から再就職活動をスタートするより有利なので、定年後を見据えた早めの転職活動は良い結果に繋がるでしょう。
まとめ|需要ある専門職の薬剤師は定年後も活躍できる
薬剤師は、人手不足が慢性化している職業ですので定年後も再就職できます。
とはいえ「60歳以上歓迎」の求人は少ないので、転職エージェントを活用して一般では出回らない非公開求人までチェックするべきです。
転職エージェントは、無料で登録できます。登録後は誰でも気軽に非公開求人を見ることができるので、まずは登録して再就職活動の一歩を踏み出しましょう。
無理なく働ける職場を選んで、定年後も薬剤師としてご活躍ください。
本ページの総まとめ
- 調剤経験ありの薬剤師は、調剤薬局や調剤併設型のドラッグストアがおすすめ
- 調剤経験なしの薬剤師は、医薬品卸やOTCメインのドラッグストアがおすすめ
- 60歳以上の再就職は転職エージェントを活用して手厚いサポートを受けるべき
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