「まだ数年しか勤めていないのに、20代で薬剤師が転職するのは早すぎる?」
「初めての転職が不安。失敗しない転職のポイントは?」
20代の薬剤師のなかには、人間関係や労働環境など、さまざまな課題に直面して転職を考える方もとても多いです。
社会人になったものの、まだまだ経験の浅い20代。
よりよい職場に転職できるか、どうしたら適した職場を探せるか、不安になるのは仕方ないことかもしれません。
しかし、20代はポテンシャルの高い時期。この機を逃すと転職が難しくなることもあるので要注意です。
今回は、20代薬剤師が転職を成功させるためのポイントや注意点を解説します。
この記事を参考に、自分の人生設計に見合った職場を探して活躍できるようになりましょう!
20代薬剤師の転職ってどうなの?
結論として、20代の転職はアリです。
薬剤師転職サイト大手の薬キャリAGENTのデータによると、最初の転職を入社2年目~4年目という早い段階で実現させている人は、全体の46%に及びました。
新卒入社から2年目~4年目の薬剤師は、基本的には20代であることが予測できます。
20代はポテンシャルが高く、雇用すると採用側にとってもメリットが多いため、20代転職は十分に現実的な選択肢といえるでしょう。
ただし、無計画に転職すると「こんなはずじゃなかった……!」という後悔につながりかねないので、実際に転職に踏み切る前に今の職場のメリット・デメリットを冷静に見極めることが重要です。
今の職場を辞めずに問題解決できそうな場合には、まずは上司と改善策を探るなどの対処を取ることをおすすめします。
20代薬剤師のおもな転職理由
20代の薬剤師が転職する理由として、次の4つが挙げられます。
人間関係のトラブル
人間関係を理由に転職する20代薬剤師は、とても多いです。
20代は社会人としての経験も少ないため、人間関係の悩みを正面から受け止めてしまいやすいのかもしれません。
さらに、調剤薬局や病院の調剤室は閉鎖的な環境になりやすいので、一度人間関係がこじれると修復が難しいという側面があります。
職場にモラハラ気質の上司がいたり、弱い者いじめのような職場風土が根付いていたりすると、若い薬剤師が理不尽に扱われてストレスを溜めることもあるでしょう。
労働環境の問題
就職時に聞いていたよりも残業が多かったり、サービス残業が横行していたり、有給休暇を取得しづらい職場環境であったりと、労働環境の過酷さから転職を考える20代薬剤師も多いです。
新卒入社は中途採用とはことなり、面接時に給与・待遇のことを面接担当官に聞きづらいという事情もあるでしょう。
給与や手当、住宅補助など、最初に知らされていた条件と異なる場合には、不満を感じて転職したくなるのも無理はありません。
収入が低い・上がらない
収入が低かったり、昇給スピードが遅かったりという事情で、転職に踏み切るケースです。
薬剤師は20代から高年収を実現しやすい職種だといわれていますが、病院薬剤師は年収設定が低めであることが多く、生活のために転職を考えることもあるでしょう。
また、小規模な調剤薬局では、人事評価や昇給体系が不明確であることが多く、働き続けていても給与が上がらないといった不満につながりやすいです。
転職せずに収入をアップさせるためには、資格取得や地方転勤も視野に入れて検討するとよいでしょう。
会社の方針によって昇給が望めない場合には、給与アップできる職場に転職するのが現実的です。
スキルアップ・成長できない
今の職場ではスキルアップできない、業務の幅が狭くて成長できないなどの事情も、転職に踏み切る理由のひとつです。
具体的には、短調なピッキングばかりで業務にやりがいを見いだせない、教育制度がない・先輩に質問できない、調剤薬局で在宅業務に進出していない、認定薬剤師・専門薬剤師などの資格を取得しても給与が優遇されないなど。
教育体制が不十分だったり、薬剤師のスキルアップに対する支援がない職場では、薬剤師として成長するのが難しくなります。
成長の伸びしろの多い20代の時期を、成長できずに無駄にしてしまうくらいなら、今後の成長を見込んで転職するほうがよいかもしれません。
ライフスタイルの変化
結婚や出産をきっかけに転職する20代薬剤師もいます。
育休産休が実質的にとりづらい職場環境だったり、転勤辞令に応じられなかったり、店舗異動したくても異動先の選択肢がなかったりと、今の職場をやめざるを得なくなるのです。
ママ薬剤師などでは、正社員からパートや派遣へと雇用形態を切り替えて転職先を探す薬剤師もいます。
20代薬剤師が転職に有利な理由
20代の薬剤師は、以下の理由から転職に有利だと言われています。
ポテンシャル採用
ポテンシャル採用とは潜在能力(ポテンシャル)を見込んで採用することで、中途採用者の今後の成長や伸びしろといった将来性が採用基準となります。
高年齢層の転職ではこれまでの実績やキャリアを問われますが、若い20代は未来の伸びしろを評価して採用してもらえるケースが多いのです。
人件費の低い若年層は採用に有利
20代は30代以降と比べて人件費が安いため、経費を抑えて人材を確保できるという採用側のニーズを満たします。
ポテンシャルの高さもあり、若いがゆえに体力と柔軟性がある20代は、採用側にとっても魅力的なのです。
20代は異業種転職も可能
病院、調剤薬局、ドラッグストア、CRA、CRCなど、薬剤師が活躍できる業種はいくつもありますが、未経験から異業種転職するなら20代がおすすめです。
むしろCRAなどの職種では、20代を過ぎると未経験からの転職・採用が困難になります。
病院から調剤薬局への転職は30代以降でもよく見られますが、基本的には30代以降はこれまでのスキルや実績が強く問われるようになるため、未経験での転職が厳しくなってきます。
異業種転職を希望する人は、若さと伸びしろのある20代のうちに実現させましょう。
年収アップも十分可能
20代の薬剤師は求人の選択肢が多いため、転職で年収アップを実現することも可能です。
とくに病院薬剤師の方などは、調剤薬局やドラッグストアに転職すると年収を大幅に上げることもできるでしょう。
転職サイトで検索すると、現在の年収よりも高い条件の求人を探すことができます。
気になるサイトに登録してみると、非公開求人を含めた多くの求人票の中から、年収アップを実現できる職場を提案してもらえます。
こんな転職はハイリスク!?20代転職の注意点
転職に有利な20代とはいえ、無計画に転職すると「こんなはずじゃなかった!」と後悔することになりかねません。
20代の薬剤師転職で失敗しやすいパターンは次の2つです。
就業後1~2年未満の転職は要注意!
入社して1~2年未満の場合は、転職するまえに十分な吟味が必要です。
採用側にとっては「そんなに早く辞める人だと、うちの会社もすぐ辞められてしまうのでは?」と警戒されるおそれがあるためです。
「前職でなにかトラブルを起こしたのでは?」「コミュニケーション能力に問題があるのか?」などと勘ぐられる場合もあるでしょう。
新卒入社から1年前後だと一通りの業務経験を積んでいない場合もあり、即戦力にならないからと、採用に慎重な姿勢を取られることもあります。
しかし、転職自体は可能であるため「今の職場で働き続けていたら、メンタル病んでしまう」という場合には転職を検討するのもよいでしょう。
不馴れな転職をひとりで決めてしまうと視野狭窄に陥りやすいので、転職サイトで情報収集したり、信用できる人の意見を聞いたりして慎重になることが大切です。
逃げの転職を繰り返さない
転職は最小回数で済ませ、逃げの転職を繰り返さないことが重要です。
逃げの転職とは、キャリアアップを伴わずに人間関係や労働環境などの不満を解消するための転職のこと。
自分の努力で解消できない問題に直面しているときは、戦略的に「逃げの転職」を選ぶべきケースもあります。
しかし、あくまでも切り札であるため、逃げ癖をつけないように気を付けましょう。
薬剤師は転職に有利とは言われていますが、3回、4回と無為に転職を増やしていくとどんどん再就職が厳しくなっていきます。
そのため、転職は最小限で済ませるように、しっかりと吟味してから行う必要があるのです。
職場選びで失敗しないための4つのポイント
20代の薬剤師が自分に適した職場に転職するための、4つのポイントを解説します。
希望条件を絞り込む
自分の価値観やキャリアプランをもとに、希望条件を絞り込むことが非常に重要です。
あなたは、なぜ転職しなければならないのでしょうか?
人間関係が原因の場合は、どの人との、どんな人間関係のせいで追い詰められているのでしょう。
労働環境が原因の場合は、残業があと何時間くらい少なければ、あるいは月収があとどれくらい高ければ問題なく働き続けられたのでしょうか。
本音で自分にしっかり問いかけ、具体的な解答を出します。
そして、次の職場でそのリスクを回避するために必須の条件を絞り込んでいきましょう。
メンタルを病みそうなくらい人間関係に苦しんでいたのに、いざ求人票を見ると年収に目がくらんでしまった……というケースは意外と多いのかもしれません。
さまざまな求人票を見比べているうちに、自分の必須条件から目がそれてしまいがちです。
給与、職場のスタッフ構成、教育環境、住所地など、条件にとって最重要のポイントからブレずに、優先順位をハッキリさせましょう。
情報収集はしっかりと
20代での転職は初めての経験であることが多いので、十分に吟味できないうちに「良さそうな求人票」に飛びついてしまうリスクがあります。
しかし、転職先とのミスマッチを避けるためには情報収集を万全にしなければなりません。
前述の「自分の問題を解消するための必須条件」と照らし合わせながら、冷静に求人を比較検討しましょう。
<転職時に必要な情報収集とは?(調剤薬局の場合)>
- 処方箋応需枚数
- 主に処方箋応需する診療科
- 薬剤師と事務員の人数・常勤人数
- スタッフの年齢・勤務年数
- 職場の実際の忙しさ・雰囲気
- 業務内容(在宅業務への進出状況など)
- 導入されているシステム(電子薬歴、ピッキングマシーン、監査システムなど)
- 給料・待遇などの条件
- 休日
- 残業の有無(1日何時間? 実状は?)
- 福利厚生の内容
- 産休・育休の取得状態
- 家から職場までの距離
- 店舗異動の可能性は?(もしその店舗が合わなかったとき、辞めずに異動できるか?)
これらの情報は、求人票だけから取得することはできません。
導入システムなどは面接・職場見学の際に自分で確かめる必要がありますし、忙しさについても現場を見なければ判断しづらいです。
さらに、職場の雰囲気や残業実態のような生の情報は、自力で探り出すのは至難のわざといえるでしょう。患者としてその職場を訪問したり、転職サイトのコンサルタントから情報を聞き出したりしなければ分かりません。
自分ひとりで情報を集めようと思っても限界があるため、薬剤師専用転職サイトのコンサルタントを活用するのがおすすめです。
転職理由は「前向き」に!
キャリアや経験の少ない20代でも、前向きな転職理由をしっかりと伝えられると、転職が有利に運びやすくなります。
なぜなら、キャリアアップを目指すなどの志望動機はポテンシャル採用につながりやすく、経験の浅さをカバーしやすいからです。
面接時や履歴書での転職理由は、必ず「前向き」なものにしましょう。
転職後に長く働き続けたいという意思や、転職先で自分がどのように貢献できるかといったポイントを具体的にアピールするのもおすすめです。
もちろん、前の職場への愚痴を転職理由にするのはNGです。
転職者の本音としては「前職に不満があるからこそ」転職に踏み切ったわけですが、それをストレートに伝えてしまうと社会人としてのマナーを疑われてしまいます。
<ネガティブな転職理由を、ポジティブに置き換える例>
- ×:前職の人間関係に嫌気がさした → 〇:他のスタッフと連携し合って患者様に貢献できる職場で働きたい
- ×:サービス残業ばっかりで厳しい→〇:効率的でメリハリのある業務で、成果につなげたい
自分のケースではどのように言い換えたらいいか分からない! という場合には、転職のプロである転職コンサルタントに質問してみましょう。
転職サイトを活用する
転職に不慣れな20代でも、薬剤師専門の転職サイトを活用すると効率的に理想の職場を探せるようになります。
<薬剤師専用の転職サイトを利用するメリット>
- 担当コンサルタントのヒアリングで自分の希望条件を明確化できる
- 希望条件に合致した求人をピックアップしてくれる
- 担当コンサルタントとの対話の中で自分の実績・スキルを客観的に棚おろしできる
- 担当コンサルタントから業界・地域の最新情報を収集できる
- 応募から面接の日程調整、条件交渉、内定後の手続きまですべて頼める
- 履歴書作成のアドバイスや添削をしてくれる
- 面接同行してくれるサイトもある
- 円満退職に向けたアドバイスをしてくれる
- 採用後もフォローアップしてくれる
- 登録から内定まで、自分はすべて無料(費用は採用企業が負担)
このように、転職サイトにはさまざまなメリットがあるので使わない手はありません。
コンサルタントとの相性が合わず相談しづらい、希望に合致する求人が見つからないなどの場合には、担当者を変えるか他のサイトを使うかすればよいので気軽に利用してみましょう。
20代の転職におすすめの転職サイト
転職経験の少ない20代の転職を徹底サポートしてくれる、おすすめの転職サイトはマイナビ、薬キャリ、ファルマスタッフの3つです。
これら3社は運営企業の実績が豊富で求人数が多く、コンサルタントの対応のよさにも定評があるサイトです。
それぞれに特徴があるため、自分のニーズにマッチしたサイトを選ぶとよいでしょう。
複数サイトに同時登録する方も多く、効率よく情報収集しながら求人の偏りを防ぐことが可能です。
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