「薬剤師のボーナスってどれくらい?」
「入社一年目でももらえるの?」
年収額に大きな影響を与えるボーナス(賞与)。
楽しみにしている若手薬剤師の方も多いと思います。
ボーナスは企業によって異なりますが、夏と冬の年2回支給されるのが一般的です。
ただ、支給額や周りがどのくらいのボーナスをもらっているのかは知る機会はあまりありません。
そこで本記事では、薬剤師の職種別のボーナスの金額や大手企業との比較について解説していきましょう。
また、ボーナスをアップさせるための方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
この記事で分かること
- 薬剤師の職種別の平均ボーナス
- 大手企業のボーナスを比較
- ボーナスの決まり方
- ボーナスをアップさせるための方法
薬剤師のボーナスについて
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると薬剤師の平均ボーナスは、年間で83万3,300円です。
一回のボーナス額で言うと、夏季・冬季で平均41.6万円になります。
同じく、厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和元年9月分結果速報等」によると、一般企業の2019年の夏季ボーナスの平均支給額は38万1,520円、冬季ボーナスの平均支給額は38万654円でした。
一般的な会社員の場合のボーナス額は、年間で76.6万円です。
※参照:「厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 各年の『夏季賞与』『年末賞与』」
薬剤師のボーナス | 一般的な会社員のボーナス |
年間83.3万円 | 年間76.6万円 |
このように、薬剤師のボーナスは一般的な会社員よりも6〜7万円程高いと言えるでしょう。
以下では、さらに詳しい薬剤師のボーナス事情を見ていきます。
ボーナスは新卒1年目でも出す企業は多い
ボーナスは、基本的に夏と冬の年2回支給されるのが一般的です。
では、新卒で4月に入社した社員に対してもボーナスは出るのでしょうか?
結論としては、新卒一年目の新米薬剤師にもボーナスは支給されます。
ただ、夏のボーナスに関しては企業により異なるので、注意が必要です。
なぜなら、ボーナスには「査定期間」というものがあり、それによって支給額が決まります。
夏のボーナスは、一般的には6月に出す企業が多く、査定期間は前年度の10月頃から4月頃にかけてです。
つまり、新入社員はその査定期間に仕事をしていないので、ボーナスの支給対象外となります。
しかし、近年の大手企業の動きでは、新入社員のモチベーションや早期離職してしまうのを避けるために「新卒にも夏のボーナスを少しだけ支給する」という企業が増えているのです。
そのため、新卒で入社して間もない頃でもボーナスは支給されますが「新卒のボーナスは少ないのが普通」だと認識しておきましょう。
ボーナスにも税金はかかります
ボーナスにも毎月の給与と同じように、税金がかかります。
ボーナスで控除される税金の種類は、所得税と社会保険料の2つです。
社会保険料は、以下の5つの中から控除されます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料(40歳~64歳)
ちなみに、給与では住民税が発生しますが、ボーナスに住民税はかかりません。
所得税と社会保険料が引かれたおおよそのボーナスの手取り額は、支給額にもよりますがボーナスの額面の7割〜8割となるでしょう。
ボーナス額は職種により異なる
気になるのは、具体的な薬剤師のボーナス額です。
2019年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の年間賞与額は平均で83万3,300円(前年比4.9%減)という結果となりました。
この金額を夏と冬に分けると各支給額は、平均41万6,650円です。
しかし、薬剤師には定番の調剤薬局から製薬会社などの企業までさまざまな職種があります。
つまり、薬剤師のボーナスは職種によって大きく異なってくるのです。
次の章では、職種別の薬剤師の平均ボーナスを解説していきましょう。
【職種別】薬剤師の平均ボーナス
薬剤師のボーナスは、どの職種かによって支給額が異なります。
以下ではドラッグストア、調剤薬局、病院、企業の4つに分けて平均ボーナスを解説しています。
ドラッグストアの平均ボーナスは年間106万円
平均年収 | 平均月収 | ボーナス(年間) |
550万円 | 37万円 | 106万円 |
参考:「マイナビ薬剤師」ドラッグストア求人に掲載されている平均給与額とボーナスの支給実績をもとに算出
ドラッグストアの平均ボーナスは、年間で106万円です。
薬剤師の中でも給与が高いとされているドラッグストアは、ボーナスも薬剤師の中でも高め。
また、昇級試験制度を儲けている企業が多いので頑張り次第でボーナスは上がります。
ドラッグストアの場合は、チェーン展開をしていて規模が大きく役職もつきやすいので、ボーナスもそれに応じてアップしていくでしょう。
調剤薬局の平均ボーナスは年間96万円
平均年収 | 平均月収 | ボーナス(年間) |
480万円 | 32万円 | 96万円 |
参考:「マイナビ薬剤師」調剤薬局求人に掲載されている平均給与額とボーナスの支給実績をもとに算出
調剤薬局のボーナス平均は年間で96万円です。
調剤薬局の場合は、大手や中小の調剤薬局かによってボーナス額が異なります。
中小企業が経営する薬局では、大手よりもボーナスの支給額が多くなる傾向にあるようです。
なぜなら、大手調剤薬局よりも中小規模の調剤薬局の従業員の方が勤続年数が長い傾向にあります。
調剤薬局は、勤続年数に応じてボーナスがアップしていくのが一般的だといえるでしょう。
病院の平均ボーナスは年間88万円
平均年収 | 平均月収 | ボーナス(年間) |
400万円 | 26万円 | 88万円 |
参考:「マイナビ薬剤師」病院求人に掲載されている平均給与額とボーナスの支給実績をもとに算出
病院の平均ボーナスは、年間88万円です。
薬剤師の職種の中でも、低めの水準であることが分かります。
病院のボーナスが低めの理由は、基本給が低いことも挙げられますが薬剤師よりも医師や看護師に優先して人件費が当てられてしまうためです。
そのため、病院に勤める薬剤師はボーナスも含めて高収入を期待することは、難しいといえるでしょう。
企業の平均ボーナスは年間140万円
平均年収 | 平均月収 | ボーナス(年間) |
580万円 | 37万円 | 140万円 |
参考:「マイナビ薬剤師」企業求人に掲載されている平均給与額とボーナスの支給実績をもとに算出
製薬会社などの企業の平均ボーナスは、140万円です。
薬剤師の中でも、年収も高くボーナスも一番高いのが企業に勤める薬剤師。
ただ、大手の製薬会社に採用されるためには、かなりの就職倍率で狭き門です。
また、入社してからも実績や結果を常に求められる職種でもあります。
そのため、高い給与とボーナスが保証されているのです。
大手企業の薬剤師ボーナスを比較
この章では、大手の企業に勤める薬剤師のボーナスについてランキング形式でまとめてみました。
まずは、大手企業のドラッグストアに勤務している薬剤師の年収とおおよそのボーナス額を見ていきましょう。
【ドラッグストア】ボーナスランキング | |||
順位 | 企業名 | 平均年収 | 平均賞与額(年間) |
1位 | クリエイトSDホールディングス | 1154.9万円 | 160万円 |
2位 | ウエルシアホールディングス株式会社 | 831.5万円 | 118万円 |
3位 | 株式会社キリン堂ホールディングス | 734.0万円 | 104万円 |
4位 | 株式会社マツモトキヨシホールディングス | 712.0万円 | 101万円 |
5位 | スギホールディングス株式会社 | 659.7万円 | 94万円 |
6位 | 株式会社ツルハホールディングス | 653.9万円 | 93万円 |
7位 | 株式会社ココカラファイン | 613.7万円 | 87万円 |
8位 | クスリのアオキホールディングス | 538.3万円 | 77万円 |
9位 | サンドラッグ | 527.7万円 | 75万円 |
10位 | コスモス薬品 | 415.3万円 | 59万円 |
参考:各企業の「有価証券報告書」を参考に算出
次に、大手調剤薬局の平均年収とボーナス額を見ていきましょう。
【調剤薬局】ボーナスランキング | |||
順位 | 企業名 | 平均年収 | 平均賞与額(年間) |
1位 | 株式会社シップヘルスケアホールディングス | 811.2万円 | 115万円 |
2位 | クオール株式会社 | 718.7万円 | 102万円 |
3位 | 株式会社アインホールディングス | 654.6万円 | 93万円 |
4位 | 総合メディカル株式会社 | 624.7万円 | 89万円 |
5位 | 株式会社スズケン | 609.3万円 | 87万円 |
6位 | 株式会社ファーマライズホールディングス | 601.3万円 | 86万円 |
7位 | 東邦ホールディングス株式会社 | 587.5万円 | 84万円 |
8位 | 株式会社メディカルシステムネットワーク | 556.6万円 | 80万円 |
9位 | 日本調剤株式会社 | 537.1万円 | 77万円 |
10位 | 株式会社トーカイ | 531.4万円 | 76万円 |
参考:各企業の「有価証券報告書」を参考に算出
最後に、製薬会社の年収とボーナスです。
製薬会社は、薬剤師だけでなく薬剤師以外の社員の年収も含まれています。
そのため、職種によって給与は異なることをご留意ください。
【製薬会社】ボーナスランキング | |||
順位 | 企業名 | 平均年収 | 平均賞与額(年間) |
1位 | ソレイジア・ファーマ株式会社 | 1,480万円 | 211万円 |
2位 | シンバイオ製薬株式会社 | 1,170万円 | 167万円 |
3位 | そーせいグループ株式会社 | 1,151万円 | 164万円 |
4位 | 第一三共株式会社 | 1,116万円 | 159万円 |
5位 | 武田薬品工業株式会社 | 1,076万円 | 153万円 |
6位 | サンバイオ株式会社 | 1,071万円 | 153万円 |
7位 | アステラス製薬株式会社 | 1,051万円 | 150万円 |
8位 | エーザイ株式会社 | 1,042万円 | 148万円 |
9位 | 大塚ホールディングス株式会社 | 991.6万円 | 141万円 |
10位 | ペプチドリーム株式会社 | 976.0万円 | 139万円 |
参考:各企業の「有価証券報告書」を参考に算出
以上、薬剤師の勤務先としてあげられる大手企業の平均年収とボーナスを解説してきました。
ただ、この数字は薬剤師を含む全従業員の平均年収なので、薬剤師だけの数字ではないことをご留意ください。
薬剤師のボーナスはどう決まる?
企業が薬剤師のボーナスを決める時に基準としている項目がいくつかあります。
以下では、ボーナスを決める4つの事項をみていきましょう。
就業規則
まず、ボーナスを決める上で重要となるのが就業規則です。
ボーナスの支給義務は、労働基準法などで明確な規定はありません。
つまり、ボーナスの支給は使用者の裁量に委ねられています。
しかし、使用者の一存だけでボーナスを支給してしまうと不平等や不公平などが生じてしまう可能性があり、会社の信用的にも問題になるでしょう。
そこで、多くの企業では賞与に対する明確な決まりを就業規則や労働契約書に明記しています。
例えば「賞与は、基本給の2ヶ月分を年2回支給する」と明記してあれば使用者はその通り労働者にボーナスを支給しなければなりません。
また、就業規則に明記していない場合でも慣例的にボーナスが支給されていて、労働者が周知しているのであれば支給する必要があるでしょう。
自分の会社のボーナスの詳細を知りたい場合は、まず就業規則をチェックして下さい。
求人票
求人票にもボーナスについての記載があります。
ほとんどの求人票には、ボーナスの有無と昨年度の支給実績などが書いてあるはずです。
その支給実績から、ある程度の支給金額が予測できるでしょう。
ただし、新卒採用の場合は先述の通り、夏のボーナスの査定期間に入っていない可能性があるので、入社して間もない場合はボーナスは無いか少なめです。
求人票をチェックすることも自分の会社のボーナス額を知ることができます。
査定
ボーナスには、査定期間というものがあり企業によっては、この査定を基準に支給額を決める会社も多いです。
査定期間は、企業にもよりますが一般的に夏のボーナスの査定期間は1月〜6月、冬のボーナスの査定期間は7月〜11月の2つに分けることができます。
そして、気になるのが査定基準。
査定の基準は、「業績評価」「能力評価」「勤務態度」の3つを重要な要素としている企業が多いです。
以上、3つの要素を総合的に判断しボーナスに反映しています。
しかし、勤務態度のコミュニケーション能力や業務ミスなどに関しては、明確な数値がなく個人的な主観が入りやすいでしょう。
そのため「マイナス評価」といって社内トラブルや業務ミスなどの各項目からポイントを集計し、支給額から差し引くといった方法を取り入れている企業もあります。
そのため、自分の会社の査定基準を把握することも重要な要素です。
企業業績
ボーナスの支給額には、企業全体の業績を基準にしている会社もあります。
例えば、企業の売上や収益などに連動して支給額を決定するという方法です。
また、部門や部署ごとの業績によっても支給額が変動することもあります。
ただ、このような業績に対してボーナスが支給される仕組みは、ボーナス額が不安定になりやすく業績が悪ければ「ボーナス自体がない」といった場合もあるでしょう。
そのため、求人票のボーナスの項目に「業績に応じて支給」などと書かれている企業は、過去の支給実績を確認するのがおすすめです。
薬剤師がボーナスを上げるためにできること2つ
ここまで、ボーナスの支給基準などを解説してきました。
ボーナスの支給基準は、企業によってさまざまな形態がありますが、私たち薬剤師にもボーナスを上げるためにできることはあるのでしょうか?
以下では、薬剤師のボーナスをアップさせるためにできる2つの方法を解説しています。
今の職場でキャリアを重ねる
1つ目の方法は、今働いている会社でキャリアを重ねるという方法です。
これまで解説したボーナス額は、平均的な数字であり平均以上の金額をもらっている薬剤師も多くいます。
そんな、薬剤師の多くに共通するのは「勤続年数が長い」「キャリアがしっかりと形成されている」などです。
一般的には勤続年数が長ければ基本給が上がっていくので、ボーナスもそれだけ多くもらえます。
また、管理薬剤師や薬局長などの役職につくことで給与全体の底上げができるでしょう。
ボーナス条件が良い職場に転職
いくら今の会社で頑張ってキャリアを重ねても、企業や上司が評価してくれない環境では意味がありません。
また、会社の業績や売上が伸びないなどの理由からボーナスが支給されない企業も少なくないでしょう。
このような外的要因は、自分の頑張りだけではボーナスアップは期待できません。
そこで考えたいのが、ボーナス条件が良い会社に思い切って転職してしまうのも一つの有効な手段です。
しかし、ボーナスの良い会社を自分で見つけ出すのは、なかなか難しいのが現実でしょう。
そこで活用したいのが「薬剤師の転職サイト」です。
薬剤師の転職サイトのコンサルタントは、数々の転職事例から職場の詳しい内容まで把握しています。
そのため、過去のボーナス実績やあなたの希望を踏まえた上で、ぴったりな転職先を提案してくれるのです。
薬剤師におすすめの転職サイトに関しては、下記の記事を参考にしてみましょう。
まとめ:薬剤師のボーナスは企業の会社員よりも高い
ここまで、薬剤師のボーナス事情について解説してきました。
薬剤師という職種は、他の一般企業に勤める社員と比較するとボーナスは高いです。
まとめ
- 薬剤師の平均ボーナス額は83万3,300円
- 薬剤師の職種によって支給額は異なる
- ボーナスの支給基準は企業によってさまざま
- ボーナスを上げるには今の職場で頑張るか転職するか
ボーナスは、薬剤師にとって自分の職場での評価を再確認できる一つの指標です。
改めて自分のボーナス額が適正なのかどうか、この記事を参考に今一度確認してみて下さい。
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