「沖縄の薬剤師の年収は?」
「沖縄本土と離島では給与は違うの?」
「沖縄で薬剤師として働くとどんな勤務先がある?」
沖縄で薬剤師として転職を考えたときに、このような疑問が浮かんでくるでしょう。
しかし、詳しい年収や沖縄での転職情報が乏しく途方に暮れてあなたは、この記事に辿り着いたのではないでしょうか?
結論からいうと、沖縄の薬剤師平均年収は全国平均より低い530.4万円です。
でもこれは全国との比較。実際に沖縄と他の都道府県と比較したらどのくらいに位置するのでしょうか?薬剤師平均年収を比較しながら、沖縄の転職事情を解説していきましょう。
結論からいうとこの水準は全国平均よりは少し低めの値。
しかし、観光地であることも考えると短期で移住したりするのであればありなのではないでしょうか?
とはいえ自力で求人を探すのは大変なので薬剤師の転職サイトなどを使うとあなたの代わりに求人を探してくれるのでおすすめ。
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本記事を最後まで読むと、以下のことが分かります。
この記事で分かること
- 沖縄の薬剤師の平均年収
- 沖縄で薬剤師が不足している原因
- 沖縄の薬剤師の主な勤務先
- 沖縄で薬剤師として働くメリット・デメリット
- 沖縄で薬剤師の転職を成功させるポイント
沖縄県の薬剤師の平均年収は 530.4万円
まずは、沖縄県の薬剤師の平均年収を見ていきましょう。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると沖縄の薬剤師の平均年収は、530.4万円です。
ちなみに、全国平均の薬剤師年収は548.3万円なので、沖縄の薬剤師は平均よりも低い結果となりました。
以下では、これらを踏まえ、沖縄の薬剤師の平均年収を他の都道府県と比較しながら解説していきます。
都道府県ランキングでは29位
沖縄の薬剤師年収を都道府県ごとにランキング化すると、47位中29位になります。
以下では、東京などの主要都市の順位を一部抜粋しながら比較して見ていきましょう。
都道府県 | 平均年収 |
全国平均 | 548.3万円 |
1位 静岡県 | 698.6万円 |
2位 長野県 | 689.5万円 |
3位 高知県 | 642.6万円 |
11位 北海道 | 566.3万円 |
19位 大阪府 | 558.8万円 |
20位 東京都 | 553.5万円 |
27位 富山県 | 536.1万円 |
28位 福岡県 | 530.5万円 |
29位 沖縄県 | 530.4万円 |
30位 岡山県 | 528.5万円 |
31位 京都府 | 527.3万円 |
47位 長崎県 | 428.2万円 |
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat賃金構造基本統計調査/賃金構造基本統計調査/令和元年賃金構造基本統計調査/一般労働者/都道府県別
※薬剤師の支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他の給与額で算出
薬剤師の平均年収が最も高いのが、静岡県で698.6万円です。
29位の沖縄県と比較すると168.2万円もの差があります。
また、東京・大阪・福岡などと比べても沖縄の平均年収は低いという結果となりました。
さらに、本州と離れている北海道は11位と比較的高い平均年収です。
総評すると、沖縄は平均年収を考えると、転職先としては厳しい年収条件となるでしょう。
沖縄は薬剤師数が少ないのに給与が低い
沖縄県では、人口に対する薬剤師数が少ない特徴があります。
平成26年の「厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、沖縄県の人口10万人あたりの薬剤師数は150人と都道府県の中でも最下位。
一方で、全国平均は人口10万人あたり227人です。
このように、沖縄では深刻な薬剤師不足が問題となっています。
通常は薬剤師の数が不足すると人を集めるために、給与を好条件にするので県全体の平均年収は上がるはずです。
しかし、沖縄は薬剤師不足なのにも関わらず、平均年収が低い水準を維持しています。
その背景には、沖縄ならではのある問題が関係しているのです。
次の項目では、沖縄の薬剤師が不足している原因について解説していきましょう。
沖縄で薬剤師が不足している原因
先述の通り、沖縄では薬剤師が不足しています。一体どうしてなのでしょうか?
以下では、沖縄が直面する深刻な薬剤師不足の背景について解説しています。
- 沖縄には薬学部がない
- アクセスの悪さ
- 薬剤師数に対して勤務地数が少ない
県内に薬学部がない
沖縄県には、薬剤師を要請するための大学がありません。
そのため、沖縄県に住んでいる学生が薬剤師を目指すには、県外の薬学部に通う必要があります。
そして、薬学部卒業後は沖縄にで就職せずに沖縄県以外で薬剤師として働くというパターンになってしまっているのです。
沖縄県薬剤師会でも薬剤師不足が問題視され、沖縄に国立の薬学部創設活動が行われています。
このように、沖縄県に薬剤師が少ないのは、県内に薬学部がないことが原因の一つだといえるでしょう。
今後、沖縄県内にも薬剤師を育成するために薬学部の新設が期待されています。
アクセスの悪さ
もう一つ、沖縄県の深刻な薬剤師不足の原因に、アクセスの悪さがあります。
沖縄本土は東京からの直行便もあり、そこまでアクセスは悪くありません。
しかし、沖縄には本土の他にも大小さまざまな離島があり、そこへ行くには船か、沖縄本土から出ている飛行機に乗り換える必要があります。
また、沖縄には電車や地下鉄がありません、移動手段は車かバス・モノレールも限定されてしまうのです。
沖縄県は、このようなアクセスの悪さから移住したいと考える薬剤師の壁となっています。
薬剤師の勤務地が少ない
最後に、沖縄県の薬剤師不足の原因に勤務先が少ないことが挙げられます。
下の表は、人口数が同じレベルの県の薬剤師数10万人あたりにおける、勤務先の数を表したものです。
沖縄 | 新潟 | 栃木 | 山口 | |
人口10万人あたりの薬剤師勤務地 | 21.2 | 36.3 | 32.7 | 36.2 |
参照:平成26年の「厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査」
このように沖縄では、薬剤師に対して勤務先となる場所が少ないことが、薬剤師不足に影響しています。
薬剤師不足解消に沖縄県も奮闘している
沖縄県では、薬学部がないことやアクセスの悪さから、薬剤師の数は全国最下位です。
しかし沖縄県も、深刻な薬剤師不足を把握しており、解消するためにある制度を設けています。
沖縄県薬剤師奨学金返還助成制度
沖縄県では、深刻な薬剤師不足を解消するために「沖縄県薬剤師奨学金変換助成制度」を設けました。
この制度は、県内の薬局や病院に一定期間勤務した薬剤師に対し、奨学金の返還額を一部負担してくれるという制度です。
ちなみに、令和3年度の助成対象者の条件は以下の通りです。
次の(1)から(5)の要件を全て満たす者であること。
(1)次の(ア)~(ウ)のすべてに該当する者あること。
(ア)薬剤師免許を有している者であること
(イ)県内に住所を有している者であること(初めて助成金の交付を受ける年に、薬剤師名簿に登録された者に限る。)又は令和3年3月1日において県外に住所を有し、令和3年10月16日までに県内に転入し、県内に住所を有していること。
(ウ)令和3年8月31日までに、県内の薬局又は病院で就業している者であること
(2)奨学金の貸与を受けていた者で、自ら奨学金を返還中であるか又は返還を開始する予定の者であること
(3)奨学金の返還残額がある者であること
(4)奨学金の返還を滞納していない者であること
(5)一定の県内就業を助成要件とするその他の公的な返還助成制度を受けていない者であること
この他にも、募集人数や期間が設けられているので、概要をよく把握した上でこういった制度を利用するのも一つの方法なので把握しておきましょう。
今後も沖縄の薬剤師不足を解消するために、このような制度の新設が期待されています。
沖縄の薬剤師の勤務先
沖縄で薬剤師として働くと、どんな勤務先があるのでしょうか?
以下では、沖縄の薬剤師の勤務先をいくつか解説しています。
- 病院・離島の診療所
- 調剤薬局
- ドラッグストア
病院・診療所
まず1つ目の勤務先は、沖縄本土にある病院や離島にある診療所です。
参考として、病院の薬剤師求人例を見ていきましょう。
参考:ヤクジョブ.com
病院の求人傾向としては、沖縄の中心地よりも郊外の方が年収は高めでした。
調剤薬局
2つ目は、調剤薬局です。
参考:ヤクジョブ.com
こちらの求人は、那覇市と離島の調剤薬局のものです。
年収的には変わりませんが、処方箋の枚数がは那覇市の方が離島に比べて多めなのが分かります。
ドラッグストア
3つ目はドラッグストアです。
参考:ヤクジョブ.com
沖縄のドラッグストアの求人傾向としては、沖縄郊外よりも那覇市の方が求人条件は良いです。
その理由としては、以下のような要因が考えられます。
那覇市の国際通りやその周辺で、ドラッグストアの進出が止まらない。2015年10月以降の2年半で、全国チェーン店を中心に5軒が出店し、14店舗(今月開店予定の店舗含む)が営業する。各店舗とも中国や台湾、韓国など急増する訪日観光客が来店し、商品を箱ごと買う客も少なくない。
引用:沖縄タイムプラス
このように、那覇市ではドラッグストアの新規出店が加速しているため、薬剤師のニーズは高く必然的に好条件になるのです。
地域別に見る沖縄の薬剤師の働き方
同じ沖縄県内でも、地域によって働き方などが変わってきます。
以下では、地域ごとの高齢化率と人口10万人あたりの薬剤師数の2つの指標からみていきましょう。
市区町村 | 高齢化率 | 薬剤師数 | 人口10万人当たりの人員数 |
---|---|---|---|
全国平均 | 27.7% | ー | 103.53人 |
名護市 | 19.8 % | 44 人 | 71.34 人 |
那覇市 | 20.3 % | 270人 | 84.52人 |
国頭村 | 30.4 % | 2 人 | 40.75人 |
大宜味村 | 32.5 % | 1 人 | 32.68 人 |
東村 | 30.2 % | 0 人 | 0 人 |
今帰仁村 | 28.1 % | 2 人 | 20.98 人 |
本部町 | 27 % | 4 人 | 29.55人 |
伊江村 | 29.9 % | 3 人 | 70.42人 |
伊平屋村 | 26.3 % | 0 人 | 0 人 |
伊是名村 | 27.7 % | 0 人 | 0 人 |
※参考:内閣府「平成30年版高齢社会白書(概要版)-高齢化の状況」
沖縄の都市部では、それほど高齢化率は高くありません。
また、薬剤師の数もそこまで不足していないことが分かります。
しかし、過疎化が進んでいる地域や離島などは高齢化が進んでいるのにも関わらず、薬剤師が一人もいないという地域があるのです。
このように、自分が転職したい地域が抱えている問題を把握しながら、それに合わせた働き方が求められます。
沖縄で薬剤師として働くメリット
ここまで、沖縄の薬剤師の平均年収と勤務先について解説してきました。
薬剤師年収は全国的に見ると低めですが、沖縄にはそれを凌ぐメリットがたくさんあります。
以下では、沖縄で薬剤師として働くメリットを解説していきましょう。
- 都会よりも間者との距離が近い
- 転職が簡単
- のんびりしている
- 生活費が安い
都会よりも患者との距離が近い
1つ目のメリットは、都会よりも患者とのコミュニケーションが密になるため、距離が近くなります。
そのため、より地域に密着した医療を提供できます。
さらに顔馴染みとなれば、服薬についての相談など「かかりつけ薬剤師」としてのやりがいも見出せるでしょう。
転職が簡単
2つ目のメリットは、転職が比較的簡単な点です。
沖縄では、深刻な薬剤師不足のため転職者にとっては売り手市場で、好条件な求人もたくさんあります。
ただし、沖縄の平均年収は全国平均で見ても低めなので、いくつかの求人と比較しながら慎重に転職活動を進めていきましょう。
のんびりしている
3つ目のメリットは、沖縄のイメージでお分かりかとは思いますが「のんびり過ごせる」という点です。
沖縄には「うちなータイム」と呼ばれる沖縄独特の時間軸があります。
沖縄県民は「時間に囚われず、おおらかに過ごす」という習慣が根付いているのです。
そのため、少々対応が遅れてしまっても笑って許してくれる人が沖縄にはたくさんいます。
沖縄では、のんびりと薬剤師として勤務できるでしょう。
生活費が安い
4つ目のメリットは、生活費にかかるコストが安く抑えられるという点です。
沖縄は、特に家賃が安い傾向にあり都市部の那覇市でも、1K/1LDKなら5万円代の部屋が多くあります。
沖縄と東京の家賃相場を比べて見ましょう。
市区名 | 1K/1LDK |
---|---|
うるま市 | 4.6万円 |
浦添市 | 5.1万円 |
沖縄市 | 4.6万円 |
宜野湾市 | 4.5万円 |
豊見城市 | 5.0万円 |
那覇市 | 5.5万円 |
中頭郡北谷町 | 5.2万円 |
参考:Yahoo!不動産「沖縄県の家賃相場」
※2021年6月時点の家賃相場
東京の家賃相場
市区名 | 1K/1LDK |
---|---|
千代田区 | 12.6万円 |
杉並区 | 7.8万円 |
東村山市 | 5.1万円 |
参考:Yahoo!不動産「東京都の家賃相場」
※2021年6月時点の家賃相場
沖縄で薬剤師として働くデメリット
ここまで、沖縄で薬剤師として働くメリットを解説してきました。
しかし、沖縄に移住して「こんなはずでは・・・」と後悔しないためにもメリットだけでなくデメリットも把握しておきましょう。
以下では、沖縄で薬剤師として働くデメリットをいくつか解説しています。
- 業務過多になりがち
- 給与が安い
- 車が必要・道路環境が悪い
- 島暮らしなので人付き合いが重要
業務過多になりがち
先述の通り、沖縄は薬剤師不足が加速しています。
そのため、薬剤師一人に課せられる業務量が多くなりがちです。
大きな総合病院や大企業が運営するドラックストアなど勤務先によっては、しっかりと業務内容が整備されている場合もあります。
しかし、薬剤師不足が原因でどうしても薬剤師に負担がかかっているのが沖縄の現状です。
業務過多に陥らないためにも、事前の仕事内容を細かくチェックするのが良いでしょう。
給与が安い
2つ目のデメリットは、給与が安いことです。
ここまでで解説してきた通り、沖縄の薬剤師平均年収は全国平均よりも低いです。
そのため、給与に一番こだわる薬剤師は沖縄に転職するのは控えた方がいいでしょう。
それでも、沖縄に魅力を感じ薬剤師として働きたいという覚悟があれば、問題ありません。
もちろん沖縄の中にも条件を絞れば、給与の高い転職先はあるはずなので、諦めずに探すことをおすすめします。
車が必要・道路環境も悪い
3つ目のデメリットは、交通事情の悪さです。
沖縄には、電車や地下鉄がありません。
そのため、沖縄の郊外に住むのであれば車は必須です。
また、沖縄の中心部は交通渋滞が起きやすいため、道路環境も良いとはいえません。
沖縄に移住するのであれば、道路状況の悪さは覚悟しておきましょう。
島暮らしなので人付き合いが重要
4つ目のデメリットは、島の中での人付き合いです。
沖縄の中心部であれば、問題はなさそうですが離島などの小さな島では、人付き合いは避けては通れません。
その島独特の風習や文化など、都会よりも人との関わりが密になる機会が多くあります。
そのため、離島で薬剤師としてやっていくためには、人付き合いが最も重要事項だといえるでしょう。
沖縄で薬剤師として転職を成功させるポイント
沖縄で薬剤師として、転職を成功させるためのポイントはあるのでしょうか?
以下では、沖縄で薬剤師が転職を成功させるための、いくつかのポイントを解説しています。
離島や転職地域の事情を把握しておく
1つ目は、自分が転職したいと思っている地域や離島の事情を把握しておくことです。
沖縄では、過疎化や島民の高齢化問題を抱えています。
そのため、地域や島ごとに薬剤師としての役割が異なり、働き方も変わってくるでしょう。
まずは、自分が転職したい地域が抱えている問題や事情を把握することで、働き方や勤務先が見えてくるはずです。
移住する前に旅行として訪れ、何日か生活してみるなどの体験するのも良いでしょう。
転職エージェントで条件を絞る
2つ目は、転職エージェントに相談し、条件を絞ることです。
転職エージェントで条件を絞ることで、より転職に関するビジョンが明確になります。
また、転職エージェントは数々の薬剤師の転職実績があるため、非公開の求人も集まりやすいです。
転職エージェントをうまく活用して有利に転職活動を進めましょう。
まとめ:沖縄の薬剤師平均年収は低いが働きやすさは◎
ここまで、沖縄の薬剤師平均年収や転職事情を解説してきました。
- 沖縄の薬剤師平均年収は全国的にみて低め
- 沖縄は深刻な薬剤師不足
- 転職時には地域と島の事情を把握する
- 給与は低いがのんびり働きやすい
沖縄は薬剤師の平均年収は低いですが、それ以上に沖縄ののんびりした働き方や県民性に癒やされることでしょう。
沖縄で薬剤師として働きたいのならまずは、旅行も兼ねて転職先の現地調査をおすすめします。
ぜひ本記事を参考に、沖縄で転職を検討してみてはいかがでしょうか?
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