漢方薬剤師になるには?年収や資格難易度について解説!

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「漢方薬剤師になりたい!」

「でも、具体的には漢方薬剤師ってどんな仕事をしているんだろう? 必要な資格は?」

 

漢方や中医学の知識を生かして患者の不調と向き合う漢方薬剤師。

漢方薬局で働いているイメージが強いかもしれませんが、具体的な業務内容や漢方薬剤師のなり方などは、あまり知られていないようです。

 

そこで今回は、漢方薬剤師の概要や年収、資格などを徹底解説します!

自分のキャリアプランとして漢方に関わっていきたいと考える薬剤師の方は、ぜひ参考にしてくださいね。

目次

漢方薬剤師とは?「漢方薬・生薬認定薬剤師」との資格や違いを解説

 

漢方薬剤師とは、漢方や生薬(漢方の原料植物・鉱物など)を扱う業務を行う薬剤師のことです。

日本薬剤師研修センターの「漢方薬・生薬認定薬剤師」と、必ずしも同じではありません

 

漢方薬・生薬認定薬剤師を取得していた方が、能力の指標にもなるので業務上有利なのは間違いありません

しかし、漢方薬・生薬認定薬剤師の認定を受けていなくても、漢方薬局で実務をおこなっていれば漢方薬剤師ということができるのです。

 

一般の薬剤師でも調剤時に漢方エキス製剤などを扱うケースは見られますが、漢方薬剤師は中医学の知識を生かしてさまざまな漢方関連業務を行っています。

漢方薬剤師が注目されている社会的背景

漢方薬剤師への注目が高まっている背景として、高齢化に伴って国民の健康意識が高まっていることが挙げられます。

厚生労働省の健康推進対策や医療費の抑制の面からも、セルフメディケーションが推奨されており、軽度な不調は病院に頼らず自分で対処したいと考える人が増えています。

 

一般的な傾向として、西洋薬よりも漢方薬は穏やかに働くもの多いとされているのも、一般人が漢方薬に注目する理由です。

漢方薬は自分の体質に合わせたものを選ばなければならず、一般人が自力でチョイスするには一定のリスクが伴います。

そこで、漢方の知識を有した薬剤師が求められているのです。

漢方薬剤師の仕事内容

 

漢方薬剤師は、漢方薬局で働くのが一般的です。

漢方薬局の漢方薬剤師は、患者さんの不調をカウンセリングして、証(しょう:体質や体力、症状の出方といった個人差)を考慮して最適な漢方薬を提案します。

 

取り扱う漢方薬はパッケージ化されたエキス製剤だけでなく、薬剤師自身が作成する「生薬煎じ漢方薬」もあります。

<漢方薬剤師の業務>

  • 患者カウンセリング
  • 漢方薬の選択・調剤
  • 患者への説明

 

通常の調剤薬局で漢方薬を扱う際には、処方せんに記載された通りにツムラ、クラシエなどのエキス製剤を指定の包数で調剤する「保険調剤」が一般的です。

しかし漢方薬局では、漢方薬剤師が調整した「薬局製造販売医薬品」を販売するケースが多く見られます。

漢方薬局の漢方には「薬局製造販売医薬品」もある

ひとことで漢方薬といっても、法令上は医療用医薬品、OTC薬(一般用医薬品・要指導医薬品)、薬局製造販売医薬品といった分別があります。

 

<漢方薬の分類>

分類 概要 薬剤師のかかわり方 漢方の剤型 交付施設
医療用医薬品 基本的に医師の処方せんにより交付される 処方せんに基づく調剤 エキス製剤が基本 病院・薬局
OTC薬(一般用医薬品・要指導医薬品) 患者が自分で選んで買える 店舗にて販売(二類・三類は登録販売者でも可) エキス製剤・液剤など(医療用より成分少な目が多い) ドラッグストア・薬局
薬局製造販売医薬品 許可を得た薬局内で製造・販売される 薬剤師が製造。患者の訴えを聞いて薬剤師が選択・販売 煎じ薬・散剤・丸剤など 製造販売・製造業許可などを持つ薬局

みなさんは、「漢方薬局ではどうして薬剤師が患者に漢方薬を提案したり、薬剤師が調製した漢方薬を交付したりできるんだろう?」「医者でもないのに、薬を処方していいの?」などと疑問に持ったことはありませんか?

漢方薬局で薬剤師が煎じ薬などを製造して販売している場合は、「薬局製造販売医薬品」を取り扱っているケースなのです。

 

薬局製造販売医薬品を扱うためには、いくつかの許可・承認を受ける必要があります。

<薬局製造販売医薬品に関わる許可・承認>

  • 製造販売業許可
  • 製造業許可
  • 製造販売承認
  • 製造販売届出

薬局製造販売医薬品は自由なレシピで造って良いわけではなく、具体的な作り方なども定められています。

薬局製造販売医薬品として販売できる漢方薬は236種類もあります。(参考:薬局製剤(薬局製造販売医薬品)を活用してみませんか!?|日本薬剤師会

 

なお、漢方薬局の中には保険調剤も行っていたり、OTCも販売していたりするところもあります。

その場合には、処方箋に基づく医療用医薬品の調剤や、OTC販売という形で漢方薬を交付することもあるでしょう。

漢方薬剤師の年収は?

漢方薬剤師の正社員年収は、400~450万円程度からが相場といえます。

マイナビ薬剤師やCME薬剤師など各種転職サイトを検索したところ、保険調剤を行っていない漢方薬局では年収350万円~450万円程度での求人が多く見られました。

 

一方、漢方相談だけでなく保険調剤も取り扱っている薬局では、年収450~550万円程度の求人も見られます。

漢方薬剤師として働きながら高年収を希望する場合には、保険調剤も行っている漢方薬局への転職を検討するとよいでしょう。

漢方薬剤師に必要な資格は?

薬剤師の国家資格を持っている方ならば、誰でも漢方薬剤師として働くことが可能です。

必須ではありませんが、日本薬剤師研修センターの漢方薬・生薬認定薬剤師の認定を受けていると、他の薬剤師との差別化につながるため、転職で有利に働く可能性が高いです。

認定取得のプロセスで得た専門知識は、実際の業務でも大いに役立つことでしょう。

 

また、別の認定資格として日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の「漢方アドバイザー」と「漢方支援薬剤師」もあります。

漢方薬への注目の高まりを受けて2008年に新設された認定資格であり、漢方アドバイザーは一般人や登録販売者も取得することができます。

薬剤師が漢方アドバイザー認定を取得すると、「漢方支援薬剤師」という認定が受けられます。

ドラッグストアで勤務する薬剤師ならば漢方支援薬剤師を取得するのもおすすめです。

 

しかし、より難易度の高い日本薬剤師研修センターの漢方薬・生薬認定薬剤師のほうが、調剤薬局でも重宝されることでしょう

漢方薬・生薬認定薬剤師の認定取得方法

 漢方薬・生薬認定薬剤師の詳細と、認定の取得方法を解説します。

漢方薬・生薬認定薬剤師の概要

漢方薬・生薬認定薬剤師の認定制度は、公益財団法人日本薬剤師研修センターと日本承薬学会が合同でとりおこなうものです。

専門業務分野で一定の能力・適性があることを試問などで確認し、能力を証明されると認定薬剤師になることができます。

 

業務中に認定証を携帯することで、漢方薬・生薬のスペシャリストとして信頼が高まるなどのメリットがあります。

認定の取得方法

研修センターと生薬学会が実施する「漢方薬・生薬研修会」に出席し、試験に合格すると認定を取得できます。

研修会には全9回の講義研修と1回の薬用植物園研修が含まれ、出席率80%以上・植物園実習レポート提出が必要です。

 

試験は年に1回で、例年は1月20日前後に行われます。

試験時間は1時間です。

 

もし不合格でも翌年の試験を受験することができ、受験可能回数は2回までとなっています。

認定の有効期間

有効期間は3年です。

3年間に漢方薬・生薬に関連する研修を30単位以上取得すると、更新申請することができます。

漢方薬・生薬研修会の再受講で最大20単位まで受講し、不足分の単位を研修で取得して合計30単位以上にすることも可能です。

認定に関わる費用

研修費用は60,500円(税込)で試験が11,000円(税込)です。

認定手数料は、初回・更新ともに22,000円(税込)となっています。

合計すると、初めて認定を得るまでにかかる費用は93,500円(税込)です。

試験の難易度

日本薬剤師研修センターの公表によよると、令和元年の試験受験者は569名、合格者は436名でした。(参照:漢方薬・生薬認定薬剤師制度|日本薬剤師研修センター

合格率76.6%ということで、難易度はやや高めと言えるかもしれません。

研修を受けてさえいればラクに合格できるというレベルではありませんが、しっかりと勉強すれば取得することができます。

参考までに、最新・令和2年の薬剤師国家試験の合格率は68.7%でした(新卒では85.6%)。

漢方薬剤師に求められるスキル

漢方薬剤師には、漢方や中医学のハイレベルな知識が求められます。

患者さんのカウンセリングを通して、体質や症状などの「証(しょう)」を見極め、最適な漢方薬を提案します。

 

もちろん、患者さんとのコミュニケーションスキルも欠かせません。

認定資格を取得・更新する以外にも、実際に漢方薬局で勤務したり、勉強会に参加したりすることでスキルアップできます。

漢方薬局の求人は少ない

漢方薬剤師のデメリットと言えるかもしれませんが、漢方薬局の求人はあまりありません。

希望の求人に出会えたら、ラッキーと考えましょう。

「保険調剤のかたわらで漢方相談も受けている」という薬局は一定数あるので、漢方専門だけでなく保険調剤も取り扱っている薬局を探すのもおすすめです。

自力で周辺の漢方薬局の求人を捜し歩くのは意外と大変ですから、転職サイトを活用して効率よく就職先を探す必要があります。

まとめ:漢方薬剤師への注目は高まっている!

漢方薬剤師は、漢方薬や中医学の専門知識を生かして働く薬剤師です。

必須資格ではありませんが、研修センターの漢方薬・生薬認定薬剤師の認定を取得しておくと、転職や実務で有利になるでしょう。

 

漢方に対する世間の注目度が高まっており、漢方薬剤師の需要は今後も増加していく見込みです。

将来を見据えて、漢方薬剤師を目指してみてはいかがでしょうか。

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