「これからの時代、薬剤師も英語くらいできたほうがいいのかな?」
「TOEICでハイスコアを取ると、薬剤師にどんなメリットがある?」
大学卒業後にまったく英語に触れていない人から業務で英語文献を読み続けている人まで、薬剤師の英語能力は人それぞれです。
グローバル化する社会に対応できる薬剤師を目指したり、業務や転職で有利に動けるようになるために、TOEICを意識する薬剤師も多いのではないでしょうか。
今回は薬剤師にとってのTOEICの必要性や、英語スキルを活かして有利に働くポイントなどを解説します。
薬剤師にTOEICは必要?
調剤薬局や病院の採用時にTOEICスコアを要求されるケースは現時点では少ないですが、グローバル化社会の流れを受けて今後は英語力を要求される場面も増える可能性があります。
その際、薬剤師が自身の英語力を証明する手段としてTOEICは有用です。TOEICは英語スキルの指標として、国内でとくに重視されているからです。
TOEIC以外の英語資格試験としては英検やTOEFLも有名ですが、就活や転職活動でも活かしたい人にはTOEICをおすすめします。
<日本国内で知名度の高い英語資格試験>
- TOEIC:国際的な意思疎通のための英語テスト。就活・転職時にTOEICスコアを評価基準とする企業が多い。
- 英検:日本英語検定協会が運営。ビジネスの場ではあまり指標にされない。
- TOEFL:世界基準の英語テスト。海外留学などで重視されが、日本国内の就活シーンではTOEICよりも知名度が低い。
採用や昇進、海外赴任などの要件として、TOEICのスコアを用いる企業は国内に多く存在します。
そのため、薬剤師が国内で自身の英語力を示す場合にも、知名度・実用性ともに優秀なTOEICを受験するのがよいでしょう。
薬剤師がTOEIC高得点&英語力アップで得られるメリットは?
薬剤師がTOEICハイスコアを取得したり、英語力を高めたりすると次の4つのメリットを得ることができます。
英語文献から最新の医薬情報を入手できる
英語文献から情報を入手できるようになるのが、薬剤師が英語学習をする際の大きなメリットです。
学術論文や医薬品関連の最新情報は英語で発信されるケースが多く、英語が読めない人は日本語版が出るまで待たなければなりません。
そもそも翻訳されないケースもあるため、英語ができないというだけで情報収集の面で不利になります。
世界共通語である英語ができるようになると英語文献からストレスフリーで情報収集できるため、その情報を薬剤師業務に活かすことが可能です。
外国人患者に服薬指導ができる
外国人の患者さんに服薬指導や英語での接客ができるようになるのも、英語力アップのメリットです。ドラッグストアや調剤薬局では、立地によっては外国人患者への応対が日常的に行なわれる場合もあります。
日本語の分からない患者さんにとって、理解不能な言語で書かれた薬剤情報提供書や薬品パッケージは不安感につながる場合もあるでしょう。「質問したくでも日本語が分からないから聞けない……」という外国人患者さんに対して、英語のできる薬剤師は重要な存在となります。
英語スキルを高めることで、患者ニーズを満たす薬剤師になれるのです。外国人患者に安心感をもってもらえれば英語の通じる薬局として認知され、口コミで他の外国人も患者さんが来局してくれる可能性も高まります。
転職先の選択肢が増える
英語ができると、英会話スキルを要する薬剤師求人にも積極的に応募できるようになります。薬剤師求人のなかには、「外国人患者が多いため英語スキルの高い人を求めている」「英会話可能な人(TOEIC800点程度が目安)」といった条件を設定されているもの存在します。
英語ができない人には応募不能なこれらの求人も、TOEICハイスコアを取得している薬剤師であればエントリー可能です。
英語を日常会話レベルで使いこなせる薬剤師は希少価値が高いため、英語ができれば転職先の選択肢を増やせます。
英語スキルを使って副業できる
英語ができると、副業の幅も広がります。たとえば、大手クラウドソーシングサイトのクラウドワークスでは、英語を必須要件とする副業が数百件と掲載されています(2022年9月26日時点)。
英語を用いたSNSでの返信業務やYoutube動画用の英語声優、英語翻訳業務など多種多様な案件から自分の好みの副業を選ぶことが可能です。
「普段は薬剤師として勤務しながら、休日やすきま時間に英語を使って無理なく副業をする」という柔軟な働き方も、英語スキルがあれば可能となります。
【要注意】英語スキル、TOEICスコアを活かせない職場も多い
せっかくTOEICの勉強をしても給与待遇の改善につながらず、日々の業務でもあまり役に立たない職場もある点には注意が必要です。
調剤薬局や病院ではまだまだ海外の患者さんと接する機会がなく、国内の文献だけを読めば十分なケースも多く見られます。その場合、せっかくの英語スキルも出番がなく、収入アップにつながらないおそれがあるのです。
TOEICスコアを活かして有利に働きたい薬剤師は、自分の英語スキルを活かせる職場かどうかを吟味することが欠かせません。転職しようと考えている場合には、転職サイトのコンサルタントに自身のTOEICスコアを伝え、英語技能を活かせる求人を希望しておくと安心です。
薬剤師が英語スキルを活かせる職場とは?
英語能力と薬剤師免許の両方を活かして働きたい人は、次の3つの職場を選ぶといいでしょう。
空港内の薬局
羽田空港や新千歳空港など、国内にある多くの空港にはドラッグストアや薬局が併設されています。
外国からの渡航者も多く訪れるため、ドラッグストア・薬局のスタッフは英語での会話力が要求されます。
空港内または空港付近の薬局・ドラッグストアで勤務する薬剤師には、日常会話レベルの英語力と医療単語の理解が必要です。
必ずしも「TOEICで〇〇点以上必要」という採用基準が設けられている訳ではありませんが、TOEICのハイスコアを取得できれば自分の英語スキルを証明できるため、採用時のアピールポイントになるでしょう。
観光地・都市部・外国人居住エリアの薬局やドラッグストア
観光地や東京・大阪などの都市部、外国人の多く住む地域などでは、外国人患者や外国人客が多く来店するために、英語ができる薬剤師の求人をしているドラッグストアや薬局もあります。
実際に求人ボックスを検索すると、東京都港区や江東区の外国人居住エリアなどで英会話のスキルを持つ薬剤師の求人募集を見つけることができます(2022年9月26日現在)。
病院や門前薬局についても外国人の多い地域では、英語のできる薬剤師は重宝されます。
「TOEIC点数800点以上」のように明確な採用条件を設けている求人と、具体的な英語スキルの指標が示されていない求人がありますが、いずれの場合も日常レベルの英会話や医療英語の理解が必要です。
製薬企業
製薬企業に勤める薬剤師にとって、英語のスキルは必須です。英語文献を読んだり、資料を英語で作成したり、他部署や取引先と英語でやりとりしたりと、英語が必要となるシーンは製薬企業では多く見られるからです。
製薬企業の求人では、応募資格にTOEICのスコアが明記されていることがあります。たとえば、武田製薬の2024年度新卒入社募集要項では、研究職・研究技術職ではTOEIC700点以上を応募資格(または目安)として記載されています。
MRのように日常業務で英語を使わない職種でも、昇進要件としてTOEICのハイスコアが必要とされるケースも多いです。
薬剤師が英語学習・TOEIC対策する方法は?
薬剤師が日々の業務の合間にTOEIC対策を行なうのであれば、独学か英語スクールの2通りの方法から自分に合ったほうを選びましょう。
<独学と英語スクールでTOEIC対策するときのメリット・デメリット>
学習方法 | メリット | デメリット | 費用 |
独学 |
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1冊1,000円~ |
英語スクール |
|
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1回1万円台~ |
独学
TOEIC対策のテキストを購入して、自分で勉強する方法です。TOEIC対策問題集や英単語集、テクニック集などさまざまな書籍が1冊1000円程度から購入できるので、自分のレベルとニーズに合わせて選択できます。
ただし、独学には誰にも質問できないというデメリットがある点に注意が必要です。
どの程度のスコアを目指せばいいのかという基本方針から自分で設定し、「自分の現在の実力と目標スコアの差を埋めるにはどのテキストを使うべきか」という客観的な課題まで、自分ひとりで考えなければなりません。
視野狭窄におちいりがちなので、独学は効率が悪いといえるでしょう。
英語スクール
「短期間で成果を出して転職や薬剤師業務に活かしたい」という場合には、英語スクールを受講することをおすすめします。
英語スクールはTOEICの目標スコアに応じたコースを用意しており、自分のニーズを満たすうえで必要十分な学習を効率よく行うことができるからです。
予算や学習期間、コースなどは英語スクールによって異なるので、気になるスクールを比較したり無料相談会などに行ってみたりするとよいでしょう。
薬剤師におすすめのTOEIC対策講座
忙しい薬剤師におすすめの英語スクールのTOEIC対策講座を紹介します。
スクール選び・講座選びのポイントは、次の3つです。
<英語スクールのTOEIC対策講座を選ぶときのポイント>
- 自分のTOEIC目標スコアに対応するコースがあるか
- 講座の予算と学習期間が、自分の希望に見合っているか
- 講座のサポート内容やスクール実績に満足できるか
薬剤師の場合、たとえばTOEIC受験の目的が「転職」か「業務中の使用」なのかで目標スコアが変わってくるはずです。
また、年間の業務スケジュールや転職希望時期などを考慮して、TOEIC受験日から逆算するとスクールに通うべき期間が浮き彫りになってきます。
だらだらと通うのではなく、何のために・いつまでに・どの程度のスコア取得を目指すのかを明確にして、自分に合った講座を選びましょう。
アガルートアカデミー「英語・TOEIC講座」
資格予備校のアガルートアカデミーの「英語・TOEIC講座」は、忙しい薬剤師がストレスなく学ぶのにおすすめです。
アガルートアカデミーの講義はオンライン完結型なので、スクールに通う時間が取れない薬剤師でもムリなく英語を学習できます。
動画を3倍速まで倍速再生できたり、テキスト同時表示や音声ダウンロード機能なども付いていたりと、受講生の利便性がとことん追求されているのがアガルートアカデミーの魅力。TOEIC講座は2コースあるので、ニーズに合わせて選択可能です。
<アガルートアカデミーのTOEIC対策講座>
- 寺島よしき講師のTOEIC基礎英語完成講座
:受験生時代をピークに英語力が低下している人向け - 【500点から900点へ!】TOEIC解答スキルマスター&解答速度超スピードUP実演講座
:TOEIC500~700点の人が900点以上を目指す講座
基礎英語完成講座は費用が21,780円(税込)で全30時間程度、TOEIC回答スキルマスター&解答速度超スピードアップ実演講座は9,800円(税込)で約5時間程度とお手頃です。
講義動画は約18カ月視聴し放題なので、費用を抑えながら反復学習できます。
薬剤師の場合、在学中にあまり英語を使わず大学受験が英語力のピークになってしまう人も少なくありません。受験生レベルを超えてTOEICハイスコアを目指したい薬剤師には「基礎英語完成講座」がおすすめです。
参照:英語・TOEIC・TOEFL・IELTS講座|アガルートアカデミー
ベルリッツ「TOEICテスト講座」
語学教育サービス40年以上の実績をもつベルリッツではグループ学習とマンツーマンコーチングの2パターンのTOEIC対策からの選択が可能です。
グループ学習は最大6人の少人数レッスンで、全10回2か月の期間でTOEICスコアアップを目指します。1回のレッスンが2時間と長く、高密度な授業を確実に習得することが可能です。目標スコア別に3コースに分かれており、それぞれ550点、650点、750点の突破を目指します。
あまり時間が取れず、短期集中でより早くスコアを伸ばしたい薬剤師にはマンツーマンコーチングがおすすめです。あなたの弱点克服に必要な学習メニューを講師が考案してくれます。
<ベルリッツのTOEICテスト講座>
- 550点突破コース
:TOEIC学習になれていない人向け - 650点突破コース
:語彙力はあるが弱点把握してスコアアップしたい人向け - 750点突破コース
:基礎力があり、さらにハイスコアを目指す人向け - TOEICコーチングコース
:マンツーマンで徹底的にTOEIC対策したい人向け
それぞれのコースにはオンラインと教室受講があり、オンラインコース割引やセットプラン料金を利用できる場合もあるので、気になる人は問い合わせてみましょう。
ECC外語学院「TOEIC®L&R TEST集中コース」
ECC外語学院のTOEIC講座はグループなら全10回コース、マンツーマンなら1回から選べるので、自分の予算や希望期間に応じて柔軟に利用できるのが魅力です。
普段の学習は独学で行い、回数をしぼってマンツーマンを利用するなど、日々の薬剤師業務と両立しながら無理なく学習できるでしょう。
<ECC外語学院のTOEIC対策講座>
- Basicクラス
:到達目標500点の基礎ポイントを身につけたい人向け - Standardクラス
:到達目標500~695点で、総合的に基礎力アップをしたい人向け - Advancedクラス
:到達目標700~800点で徹底的なスキルアップを目指す人向け
Basic、Standard、Advancedの各クラスでは、グループレッスンとマンツーマンレッスンを選択可能です。
グループレッスンは全10回で130,400円(税込)、マンツーマンレッスンは1回16,896円(税込)~となっています。無料体験レッスンも受けられるので、自分との相性を試してみるとよいでしょう。
また、条件を満たせばスコアアップ保証制度も利用でき、受講後のTOEICスコアと受講前スコアの差が+100点未満だった場合には同講座を1ターム無料で受講できます。
参照:TOEIC L&R TEST集中コース|ECC外語学院
まとめ:自分のニーズに見合ったTOEICスコアを目指して、薬剤師として活躍しよう
薬剤師にとって、TOEICは自分の英語能力を客観的に示す指標として有用です。
現時点では調剤薬局や病院の採用のときに「TOEICスコア〇〇点以上」のような要件はあまり見られませんが、外国人患者の多いエリアの求人では「TOEIC600点レベル」などと目安が設けられている場合もあります。
自分が何を目標としてTOEICを受験し、何点を目指すのかを明確にしましょう。現在の実力と目標スコアとの差を埋めるための英語学習を効率的に行なうには、英語スクールのTOEIC対策講座を受けるのがおすすめです。
目標設定と学習の効率化によって、日々の薬剤師業務と英語学習を両立させましょう! TOEICを有効活用して薬剤師としての活躍につなげてくださいね。
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