「薬剤師の年収を上げるなら、どこに就職すべき?」
「転職回数が多いと採用には不利になる?」
「実際に年収上がった人の話を聞いてみたい」
薬剤師が転職を考える理由の一つとして「転職して年収を上げたいから」と考えている人は少なくありません。
もちろん、あなた自身も転職で年収を上げたいと思っているはずです。
結論としては、薬剤師は転職で年収アップすることは十分に可能でしょう。
そこで、今回は薬剤師が転職で年収をアップさせる具体的な方法と、年収が高い転職先を解説していきます。
また、実際に転職に関するアンケート調査をもとに「薬剤師の転職体験談」をまとめてみましたので、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
結論から言うと転職により年収が大幅にアップすることもあれば失敗しダウンすることもあります。
できるだけあなたの条件にあった転職先を自力で探すのは時間がかかるし、今すぐやめたい職場にずっと居続けなければならないリスクもあります。
あなたの希望にあった転職先を探すには薬剤師向けの転職サイトを利用することで多くの求人・あなたの条件にあった職場に勤務することができるのです。
この記事で分かること
- 薬剤師が転職で年収をアップさせる具体的な方法
- 薬剤師の給与が高い転職先
- 薬剤師の年代別平均年収
- 薬剤師の転職に関するよくある質問
- 実際に転職した人の体験談
結論:薬剤師は転職で年収アップするのは難しくない
まず、薬剤師が転職によって年収をアップさせることは可能です。
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師の有効求人倍率は、厚生労働省の調査によると医師、2020年の12月時点で2.05倍。
同じ時期の職業全体の有効求人倍率は1.03倍なので、薬剤師の有効求人倍率は高いことが分かります。
(参照:一般職業紹介状況 令和2年12月分及び令和2年分について)
つまり、薬剤師の転職活動は完全に採用される側の売り手市場であり、好条件の求人が見つかりやすいのです。
そのため、薬剤師が転職によって今よりも高年収、高待遇な環境で働ける可能性は十分にあるといえるでしょう。
薬剤師はどう転職すれば年収は上がる?抑えるべき3つのポイント
ここまで、薬剤師が転職によって年収を上げられることは可能であると説明しました。
では、具体的にどのような転職方法で年収アップしていけば良いのでしょうか?
以下では、薬剤師が年収をアップさせるための具体的な方法を解説していきます。
- 転職して管理薬剤師になる
- 事業継承で独立する
- 年収の高い職種に転職
転職して管理薬剤師になる
一つ目は、転職して管理薬剤師になる方法です。
薬局や店舗など、拠点ごとに設置が義務づけられている責任者を置くこと
管理薬剤師は上記の責任者として、店舗ごとに在中することが定められています。
しかし、今の職場で管理薬剤師が既にいる場合は、その薬剤師が退職や休職をしない限り、あなたが管理薬剤師になるのは難しいでしょう。
管理薬剤師の平均年収は、約500万円から700万円が相場です。
また、大手の製薬企業の管理薬剤師になると、年収は約800万円以上になるところもあるでしょう。
薬剤師専門の求人サイトには、管理薬剤師を募集しているところは多くあります。
例えば以下のような求人は、管理薬剤師の経験がなくてもOKです。
参照:ヤクジョブ.com
このように、管理薬剤師の経験がなくても転職によって年収アップできます。ただ管理薬剤師になるのはポストが空いていないと難しい。
大手の転職サイトなどを使い管理薬剤師のポストを募集している求人を探す必要があるのです。
探せる求人 | 雇用体系 | 相談方法 | 派遣求人 |
調剤薬局 ドラッグストア 病院 | 正社員 派遣 パート | 電話 対面 |
\満足の行く転職なら/
事業継承などで独立
2つ目は、事業継承などで薬剤師として独立するという方法です。
事業継承とは、文字通り事業を継承すること。
つまり、ドラッグストアや調剤薬局の経営を引き継ぎ運営していきます。
通常、事業継承というと親から子への親族間での継承のイメージが強いイメージですが、近年では家族間以外での事業継承も珍しくはありません。
その背景には継承者不足や、経営難などで手放さなければならなくなったなど理由はさまざまです。
また、事業継承をすることで新たに開業する必要がないため、独立コストが抑えられます。
薬剤師として、独立することができれば、売り上げ次第で大幅な年収アップも見込めるでしょう。
年収の高い職種に転職する
3つ目は、年収の高い職種に転職する方法です。
薬剤師には、さまざまな就職先があり、活躍の場が広がりつつあります。
例えば、ドラッグストアに勤める薬剤師の最高年収は、店長クラスで約700万円以上。
また、製薬会社の役員クラスでは、約1000万円以上など、年収の高い職種が存在するのです。
ただ、上記の金額はあくまでも店長や会社役員の年収であり、企業や場所によっても年収は異なります。
転職によって年収がダウンすることもある
ここまで、薬剤師が転職で年収をアップさせる具体的な方法を解説してきましたが、上記の方法で必ず年収がアップするわけではありません。
例えば、事業継承で薬局を経営しても売り上げが伸びなければ、転職前の年収を下回ってしまう可能性もゼロではないでしょう。
また、他の企業に転職しても、昇進や昇給が見込めなければ年収がダウンしてしまいます。
つまり、転職しても確実に年収が上がる保証は、どこにもないことを覚えておいてください。
【同世代の薬剤師はいくらもらってる!?】薬剤師の年代別平均年収
「自分がもらっている年収は、同世代よりも高い?安い?」
一つの企業に長く勤めていると、自分が得ている年収が高いのか安いのか実感できなくなります。
そこで、同世代の薬剤師平均年収を比較してみましょう、
以下では、年代別の薬剤師平均年収を表にまとめました。
年代別の薬剤師平均年収 | ||
年代 | 男性 | 女性 |
20~24歳 | 336.2万円 | 391.0万円 |
25~29歳 | 496.3万円 | 404.1万円 |
30~34歳 | 581.0万円 | 507.6万円 |
35~39歳 | 653.6万円 | 542.3万円 |
40~44歳 | 652.0万円 | 578.6万円 |
45~49歳 | 704.1万円 | 601.4万円 |
50~54歳 | 719.2万円 | 670.9万円 |
55~59歳 | 729.9万円 | 619.1万円 |
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat ファイル/賃金構造基本統計調査/賃金構造基本統計調査/令和元年賃金構造基本統計調査/ 一般労働者/ 職種 職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額より算出
表を見ていくと、男女どちらも順調に昇給していることが分かります。
女性は男性に比べて年収が低めですが、その背景には結婚や子育てで非正規社員で働いている薬剤師が多いからです。
これらの表をもとに、自分の年収を比較し転職を検討してみましょう。
薬剤師の給与が高い転職先はここ!
薬剤師は、就職する職種によって給与が大きく異なります。
以下では薬剤師の、給与が高い職種を解説していきます。
【職種別】薬剤師の平均年収
以下の表は、職種別の薬剤師平均年収を表しています。
ランキング | 職場 | 職種 | 平均年収 |
1位 | 製薬会社 | MR | 約500万円〜800万円 |
2位 | 製薬・食品会社 | 創薬研究者 | 約450万円〜750万円 |
3位 | 製薬会社 | CRA | 約450万円〜700万円 |
4位 | ドラッグストア | 薬剤師 | 約400万円〜700万円 |
5位 | 調剤薬局 | 薬剤師 | 約400万円〜650万円 |
6位 | 病院 | 薬剤師 | 約300万円〜550万円 |
参考:薬学部生の就活虎―Answersより
最も薬剤師の平均年収が高い転職先は、製薬会社のMR(医療情報担当者)という結果となりました。
MRの他にも製薬会社は、比較的高い給与であることが多いです。
製薬会社は、企業利益率が高いためその分、社員の給与に反映できます。
また、ドラッグストアや調剤薬局などは、地域や転勤エリアなどで年収が異なってくるのが特徴です。
平均年収では最下位の病院薬剤師ですが、給与の昇給は他の職種に比べて安定的なところが魅力でしょう。
平均年収が高い転職先は製薬会社ですが・・・
先述の通り、薬剤師の給与が最も高い職場は、製薬会社のMRですが注意点があります。
それは、アステラス製薬は2021年6月3日、早期退職者を募集すると発表した。対象は同社や国内の子会社の約5600人の正社員。募集人数は450人ほどを想定する。退職金を従来よりも積み増すなど優遇する。年齢や対象となる職種は明らかにしていない。営業活動のデジタル化や遺伝子治療など新たな技術の登場で事業環境が変化しており、従来の人員配置を見直す。
引用:日本経済新聞「アステラス、早期退職募集450人 資源配分見直し」より
製薬会社はデジタル化の波によって、人員を削減する動きが出ています。
記事によると、対象となる職種は明らかにしていませんが、年収の高いMRは真っ先に早期退職の対象となるでしょう。
これらの、将来性を踏まえて高年収が期待できるのはごく一部であり、実績のある優秀なMRしか生き残れないのです。
MRの年収やキャリア事情に関しては以下の記事をチェック!
転職先の福利厚生もチェック
転職先を平均年収だけで決めてしまうと、さまざまな弊害があります。
例えば、平均年収が高めのドラッグストアに就職しても、業務や残業が多く体調を崩してしまっては本末転倒です。
そうならないためにも、転職先は年収だけでなく福利厚生もチェックしておきましょう。
チェックすべき福利厚生の一例は、以下の通りです。
- 休日や有給制度
- 通勤・住宅手当
- 産休・育休
- 資格取得支援
- 介護休暇
- 退職金制度
この他にも、企業によって独自の福利厚生が存在したりするので、入社前には必ずチェックするのが良いでしょう。
薬剤師の転職に関する質問
ここまで、薬剤師の年収をアップさせる転職について解説してきましたが、上記の解説の他にも疑問がある人は多くいるでしょう。
以下では、薬剤師の転職に関するよくある質問と回答をまとめました。
年収アップに資格は関係ある?
年収をアップさせるためには、資格取得は有効な方法です。
例えば、ある分野に特化して知識をもつ認定薬剤師などの資格を取得することで資格手当が支給されます。
しかし、手当の相場が月額5,000円〜15,000と少ないのが現状です。
確かに資格を取ることにより年収は上がりますが、それよりも年収が高い企業に転職した方が年収アップに繋がるでしょう。
薬剤師の派遣ってどうなの
派遣の薬剤師求人は、高時給の求人が多く転職で年収をアップさせたい薬剤師とっては、魅力的に感じます。
しかし、派遣薬剤師は賞与(ボーナス)がないことに加え、仕事が不安定であるというデメリットがあります。
良い転職先が見つからず、一時的な職場として派遣はおすすめですが、長い目で見ると正社員として働いた方がいいといえるでしょう。
金額的にどれくらいアップできるの?
薬剤師が転職でアップする年収は、約50万円〜200万円です。
先述した、平均年収の低い職種から高い職種のMRに転職した場合は、最大で200万円もの差がつきます。
このように転職で上がる金額は、転職する職種や企業規模によっても異なってくるのです。
また、採用前に直接、企業に給与交渉をすることも年収をアップさせる一つの方法でしょう。
転職回数が多いと不利?
通常、一般企業の採用面接では転職回数が多いと「すぐに辞めてしまうのでは?」とネガティブな印象を持たれます。
薬剤師の場合は、資格が必要な職業なので一般企業よりも、転職回数は一般企業よりもそこまでは重要視されません。
しかし、あまりにも転職回数が多い場合や、ネガティブな理由で転職を繰り返している場合は、不利になってしまうでしょう。
焦って転職をしてしまうと「こんなはずではなかった・・・」と再び焦って転職をしてしまうなど悪循環に陥ります。
そうなってしまわないためにも、自分に合う職種や職場をよく考えながら転職活動を進めるのが転職を成功させるコツです。
【アンケート】みんなの転職体験談
実際に、転職をして年収はどう変化したのかを働く薬剤師にアンケート調査しました。
以下では、転職した薬剤師の理由や年収事情を抜粋しながら、みていきましょう。
中小の調剤薬局→大手調剤薬局の管理薬剤師
女性 30代後半 職歴:中小の調剤薬局→大手調剤薬局の管理薬剤師 年収:500万円→580万円
中小規模の地場薬局に勤めていましたが、年齢層がとても高くPCを使えない薬剤師ばかりでした。教育体制も整っておらず、投げやりな同僚薬剤師の仕事や門前の医師に対する態度を見ている中で、このままではいけないと思い転職をしました。
大手調剤薬局は若手も多いので研修体制が整っており、安心して知識を習得することができました。
一方で、女性ならではの人間関係に悩むことが多くなりました。
しかし、数年後管理薬剤師にもなり経験も習得できたため、今後は中小規模の薬局で患者様に寄り添いながら仕事ができたらと思っています。
こちらの女性は、中小企業の薬局から大手の薬局への転職で年収が80万円もアップしました。
また、キャリアとして管理薬剤師経験もされたので、次の転職にも有利になるスキルを習得しています。
病院薬剤師→調剤薬局薬剤師
男性 30代前半 職歴:病院薬剤師→調剤薬局薬剤師 年収:450万円→520万円
病院薬剤師として7年働き、調剤薬局へ転職しました。
休みの数は減らさず、年収を上げて転職できた点、残業も全くない訳ではありませんが少ない点はとても満足しています。悪かった点は予想していた事ですが、調剤薬局という閉鎖的な空間での人間関係です。
病院と比べると明らかに関わる人間は減り、仕事の内容も同じ内容が多いので飽きやすいと思います。
こちらの男性は、年収は70万円アップしたものの、転職したことにより人間関係に悩みが生じました。
このように、年収だけでなく人間関係も転職成功の重要な要素であることが分かります。
病院薬剤師→パート調剤薬局薬剤師
女性 40代前半 職歴:病院薬剤師→パート調剤薬局薬剤師 年収:650万円→450万円
薬剤師求人サイトの中には、パート薬剤師の時給は、実は地域によっても格差があります。
実際、全く同じ地域で全く同じような仕事なのに、店舗によって時給が500円も違うこともよくあります。
特に、薬剤師が不足している地方では、時給4000円を超えるほどの高時給が用意されているところもあり収入を重視して職場を選ぶことができました。
こちらの女性は、正社員からパートへと働き方をシフトチェンジしています。
パートも地域や企業などにより時給が大きく異なってくるのが特徴です。
大手調剤薬局管理薬剤師→個人調剤薬局の一般薬剤師
女性 40代前半 職歴:大手調剤薬局管理薬剤師→個人調剤薬局の一般薬剤師 年収:630万円→650万円
現在は、管理薬剤師ではありませんが、二人の薬剤師で、協力しながら上手く回しています。
仕事に対する方向性がおなじタイプの二人なので、気持ちが分かりあえて働きやすいです。
転職して、本当に良かったと思っております。
こちらの女性は、職種が同じ転職でも年収が20万円もアップしています。
しかも、管理薬剤師から一般薬剤師への転職にもかかわらず年収が上がっているのです。
このことから、大手企業よりも個人経営の薬局の方が、社員への給与還元率が高いことが分かります。
病院→大手薬局
男性 30代前半 職歴:病院→大手薬局 年収:305万円→450万円
病院薬剤師としてキャリアを積みたかったため、病床数600程度の割と大きな病院で働いていました。仕事内容としては病棟業務なども担当させてもらっていたため、不満はあまりありませんでした。
しかし、結婚し、子どもが欲しいとなった時に、月に2回程度の当直業務や抗がん剤のミキシングはかなり負担に感じられました。
そのため薬局への転職を検討し、福利厚生が充実している薬局に転職しました。
勤務時間も自由に選べ、病院より残業なども少ないため自分のライフスタイルに合っているかと思います。
こちらの男性は、病院から待遇・年収ともに好条件の大手薬局に転職し、年収が145万円アップしています。
子育てという大きなライフスタイルの変化がきっかけとなり、まさに転職の成功例だといえるでしょう。
まとめ:転職は薬剤師年収をアップさせてくれる
ここまで、薬剤師の転職により年収をアップさせる方法と、いくつかの転職事例をご紹介してきました。
まとめ
- 薬剤師が転職により年収がアップする金額は、約50〜200万円
- 薬剤師の中で高給が狙える職種は製薬会社のMR
※ただし将来性は、保証できない - 企業の売上や雇用形態によっては年収がダウンしてしまう可能性がある
- 年収の高さだけでなく、福利厚生も重要
転職を考えたときに、年収は大きな判断材料やモチベーションの高さにつながります。
本記事を参考にしながら、あなたが希望する年収に合った転職先が見つかれば幸いです。
まずは、自分が薬剤師としてどのくらいの年収を求めているのかを明確にしてみましょう。
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