薬剤師は、正社員や派遣社員、パートなどさまざまな雇用スタイルで働くことができます。
なかでも注目されている雇用形態である「派遣薬剤師」ですが、
「派遣薬剤師って正社員より年収が高いの?」
「派遣になるメリットは?デメリットも気になる…。」
そんな風にお思いの方も多いのではないでしょうか?
実は派遣薬剤師やる前にかならず知っておきたい知識があります。それらを知らないとあなただけじゃなく派遣先の職場も不幸になってしまいます。
今回は、派遣薬剤師の年収事情とメリット・デメリットをくわしくまとめていきます。
あわせて、派遣薬剤師として働く前に知っておくべき5つの注意点をお伝えするので、ぜひチェックしてみてくださいね。
本記事を読み終わる頃には、派遣薬剤師への道を選択すべきかがハッキリと分かるでしょう。
総まとめ
- 派遣薬剤師の時給は3,000円以上で正社員以上の年収を得られる
- 派遣薬剤師として働くメリットは給料が高い以外にも4つある!
- 契約が切れて仕事が無くなる可能性も!
- 派遣薬剤師は福利厚生が充実している企業が多い
- 派遣薬剤師のデメリットを回避するために派遣会社選びを慎重に行うべき
派遣薬剤師は時給3,000円以上!正社員より年収が高いケースも
一般的に派遣薬剤師の求人情報には「時給」で提示されることが多いです。
そのため年収でいうとどのくらい稼いでいるのか気になりませんか?
ここでは、派遣薬剤師の収入事情を下記の3つに分けて解説していきます。
派遣薬剤師の収入事情
- 派遣薬剤師の時給
- 派遣薬剤師の年収
- 年収を正社員と比較
派遣薬剤師の時給は2,800~3,200円が相場
大手薬剤師専門の転職サイトを調査した結果、派遣薬剤師の時給は、2,800~3,200円が平均的だとわかりました。
なお、最低時給は2,800円とされており、時給4,000円以上も多く掲載されています。
日本調剤グループが運営している薬剤師専門の転職サイト「ファルマスタッフ」では、4,000円以上の高時給求人が400件以上掲載されています。
派遣薬剤師の年収は384~768万円
ここでは、派遣薬剤師の年収を時給別にまとめたので、一つの例として参考にしてみてくださいね。
時給 | 年収 |
2,000円 | 年収384万円
2,000円×8時間=16,000円 16,000円×20日=月給320,000円 320,000円×12=年収384万円 |
3,000円 | 年収576万円
3,000円×8時間=24,000円 24,000円×20日=月給480,000円 480,000円×12=年収576万円 |
4,000円 | 年収768万円
4,000円×8時間=32,000円 32,000円×20日=月給640,000円 640,000円×12=年収768万円 |
5,000円 | 年収960万円
5,000円×8時間=40,000円 16,000円×20日=月給800,000円 800,000円×12=年収960万円 |
派遣薬剤師は、時給3,000円以上の求人が最も多く、年収でいえば576万円前後です。
今回は、派遣薬剤師の年収を1ヶ月20日間の出勤で算出しているので、1ヶ月に22日働いた場合はもっと年収が高くなるでしょう。
派遣社員と正社員の年収を比較
ここでは、派遣社員と正社員の年収を比較しました。
雇用形態 | 平均年収 |
正社員 | 549万円 |
派遣社員 | 576万円
※時給3,000円の場合 |
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
今回は時給3,000円で算出していますが、派遣社員の年収は、時給によって大きく異なります。
派遣薬剤師は、時給3,000円を下回ることがほとんどないので、正社員の年収よりも高いことがわかりました。
高時給だけではない!派遣薬剤師として働くメリット
ここからは、派遣薬剤師として働くメリットをご紹介します。
- 給料が高い
- サービス残業がない
- 時間を有効活用できる
- 派遣会社任せで仕事を探せる
- さまざまな職場を体験できる
それぞれ詳しく解説していきます。
給料が高い
派遣薬剤師は、給料が高い点が大きな魅力だといえるでしょう。
雇用形態 | 平均年収 |
正社員 | 549万円 |
派遣社員 | 576万円
※時給3,000円の場合 |
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
表記の通り、年収で比較してみると、正社員よりも派遣社員として働く薬剤師の方が高年収です。
表では、派遣薬剤師の年収を時給3,000円で算出しています。
派遣薬剤師の時給は、3,000円を下回ることがほとんどなく、4,000円以上もあり得るのでその場合は、正社員よりはるかに年収が高くなります。
ただし現実的に、高時給の派遣先で何年も働き続けるのは難しいかと思います。やはり「安定性」を求めるのであれば正社員の方がいいでしょう。
サービス残業がない
派遣薬剤師の場合は、正社員にありがちな「サービス残業」がないことも魅力の一つ。
一般的に派遣薬剤師はタイムカードや勤怠システムにより働く時間を管理しており、派遣元へ労働時間が報告されます。
給料は、働いている企業ではなく派遣会社が薬剤師に支払うシステムとなっているのです。
そのため企業は、残業してもらった分を派遣会社に多く支払う必要があるのでサービス残業は避けたいところ。
基本的に派遣薬剤師が残業をすることはありませんが、万が一、残業せざる負えない状況になったときに給料にプラスして支給してもらえる点が嬉しいポイントです。
時間を有効活用できる
派遣薬剤師は、プライベートの時間を確保しやすい点が大きな魅力です。
たとえば、
- 土日は家族と過ごしたい
- 16時には退社して子供のお迎えに行きたい
- シンガーになるためにボイストレーニングの時間を作りたい
などプライベートを大切にしたい人に向いています。
正社員であれば、16時に退社するのは難しいですが派遣薬剤師ならば可能です。
「午前中だけ」「夕方以降~」といった半日だけ副業として働いている薬剤師の方もいます。
派遣会社任せで仕事を探せる
派遣薬剤師は、勤務先を派遣会社が探してピッタリな求人を紹介してくれます。
正社員として仕事を探す場合は、求人先の企業にアポイントを取り、履歴書を用意して面接をしてもらう必要があります。
しかし派遣薬剤師は、それらの流れを一通り派遣会社が担当してくれるので転職活動の負担がありません。
希望の働く日時や職種を伝えるだけで、条件にあう派遣先をいくつか見つけてきてくれるので、納得のいく転職を成功できるでしょう。
さまざまな職場を体験できる
派遣薬剤師は、複数の職場を体験できる点も魅力だと言えます。
正社員になると数か月おきに転職するのは難しいですが、派遣薬剤師は3~6ヶ月に1度勤め先を変えることができます。
調剤薬局や病院、ドラッグストアなど薬剤師が活躍できる場所はたくさんあるので、「いろいろな業務に挑戦してみたい」という薬剤師の方にとって魅力を感じる働き方だと言えます。
正社員として就職する前に、派遣薬剤師でさまざまな業務をこなして自分に合う職種を見つけるのも一つの手です。
派遣薬剤師は基本的に人手不足の補充として採用されています。そのため、ある程度業務がこなせる「即戦力となる薬剤師」が求められています。高時給である分、求められるスキルも高いので不安な方は、調剤薬局業務を経験してから派遣薬剤師になると良いでしょう。
見落とせない5つの注意点!派遣薬剤師として働くデメリット
ここまでは、派遣薬剤師のメリットをお伝えしてきました。
「派遣薬剤師になりたい」と思われた方も多いのではないでしょうか?
ここからは派遣薬剤師になる前に押さえておきたい5つのデメリットを解説するので、チェックしたうえで派遣薬剤師の道を選択してくださいね。
前提として派遣薬剤師は即戦力が求められる
派遣薬剤師の場合は時給換算すると正社員の薬剤師よりも高いです。企業側は時給に上乗せして派遣会社に報酬を支払っています。
例えば派遣薬剤師の時給が3,500円の場合、派遣会社に4,500円を支払いそこから派遣薬剤師に3,500円が支払われます。
基本的に即戦力が求められるため、派遣される薬剤師の経験が浅かったり、やる気がなかったりするとあなたも派遣先に居づらくなるでしょう。
また派遣薬剤師が見込んだ働きをしてくれないことで企業側も損をしてしまいます。大前提として派遣薬剤師は「即戦力である」ことが求められます。
契約が切れて仕事が無くなる可能性がある
派遣薬剤師は、有期契約ですので契約が切れて仕事が途切れてしまう可能性があります。
家族を養う身であれば、契約が切れて給料を得られない際には、大きな不安が付きまとうでしょう。
しかし実際には優良な派遣会社を選べば、このような事態は起こりません。
というのも、契約満了の1~2ヶ月前にはすでに次の職場を探してくれたり、更新依頼を確認してくれたりと事前に進めてくれるからです。
契約切れで仕事がないという状況を避けるため、慎重に派遣会社選びをしましょう。
ボーナスがない
派遣薬剤師は、正社員とは異なりボーナスがありません。
そのためボーナスの時期に世間ではセールやキャンペーンで賑わっていても派遣薬剤師は特別な給料は受給されないので残念に思う方も少なからずいらっしゃるでしょう。
一方、「派遣薬剤師はボーナスが無くても正社員以上の年収を得られるので、まったく気にならない」という派遣薬剤師の声も多いです。
契約条件が厳守されない
派遣薬剤師は、契約の基で働いているので勤務時間を変更されることはありません。
しかし稀に、契約条件を厳守せず残業や休日出勤を求められるケースも。
もし頻繁に雇用契約が守られない場合は、派遣会社から企業へ申し入れをしてもらったり、就業先を変更してもらいましょう。
力を持っていない派遣会社では、企業に申し入れができない可能性があるので名の通る派遣会社を選ぶことも重要なポイントです。
昇進・スキルアップができない
派遣薬剤師は、昇進・スキルアップができない点がデメリットに感じる方もいらっしゃるでしょう。
基本的に派遣薬剤師は、ピンチヒッターのような役割を担い、調剤業務や雑務処理を任されます。
そのため評価されにくく、昇進・スキルアップをすることはほとんどありません。
また派遣薬剤師の契約期間は最長3年と長くないため、責任のある管理薬剤師になることはないでしょう。
昇進やスキルアップを目指す人は、派遣薬剤師には向いていません。
休んだ分だけ年収が下がる
派遣薬剤師は、働いた時間に対して時給が発生します。
そのためお盆やGW、年末年始などで長期休暇をとれば、必然的にその月の給料は低くなります。
正社員とは異なり、休んだら休んだ分だけ給料がダイレクトに下がる点がデメリットと言えるでしょう。
ただし福利厚生が整っている派遣会社であれば、正社員と同様の条件で「有給休暇」が付与されます。
※雇用形態が派遣の場合でも就業開始から6か月後には有給休暇を取得できる企業が多いです。
即戦力が期待される派遣薬剤師は、派遣後すぐに取り組める投薬業務がメインとなってしまう欠点も。
派遣薬剤師に関するQ&A
いざ「派遣薬剤師になろう」と決断したときに、さまざまな不安や疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか?
ここでは、そのような疑問や不安を払拭するため、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
- 派遣は福利厚生がないって本当?
- 派遣社員への風当たりが強いって本当?投薬ばかりなの?
- 派遣会社選びを失敗すると時給が低いの?
- 派遣切り・雇い止めはどうなの?
- 派遣会社はどこを選ぶべき?
上記のなかで気になる項目から見ていきましょう。
派遣薬剤師は福利厚生がないって本当?
A.派遣薬剤師は正社員とほとんど変わらない福利厚生を受けられます。
よく派遣薬剤師は正社員と異なり「福利厚生がない」と見聞きします。
しかし実際のところは、福利厚生が充実している派遣会社がほとんどですので安心して働けます。
有給休暇や健康保険への加入はもちろんのこと、出産育児給付金やホテル、スポーツクラブを安く利用できる手厚いサポート付きの派遣会社も。
派遣薬剤師への風当たりが強いって本当?投薬ばかりなの?
A.就業先によって異なります。
派遣薬剤師は、人手不足が深刻化している企業へ派遣されます。
そのため派遣薬剤師の存在に感謝する人が多いため、風当りが強くなることはほとんどないでしょう。
しかしこればかりは、就業先によって大きく異なるので派遣薬剤師に優しくできない人も存在するかもしれません。
もし人間関係でトラブルがあるならば、派遣会社に相談して就業先を変更してもらうことも可能です。
なお、店舗によっては投薬ばかり担当するケースもあります。
反対に調剤や監査など全般的に担当できる店舗も多いので「派遣薬剤師=投薬ばかり」といった認識は間違いだといえるでしょう。
派遣会社選びを失敗すると時給が低いの?
A.派遣会社選びを失敗すると時給が低くなります。
なぜ派遣会社選びを失敗すると時給が低くなるのかというと、派遣会社が企業へ交渉することができないからです。
派遣会社が企業へ「時給3,000円以下では契約できない」と説得できるほど力があれば、時給が低く設定されることはありません。
さらに時給交渉をしてくれる派遣会社では、想像以上に高時給で働けるケースもあるので派遣会社選びは慎重に行いましょう。
派遣切り・雇い止めがあるって本当?
A.派遣切りや雇い止めが起こる可能性があります。
これまで派遣薬剤師は、自由に働けるうえ、時給が高いので人気が高い雇用スタイルでした。
しかし近年では、転職求人数の減少が見受けられるため、正社員に転職する派遣薬剤師が増えています。
災害時・パンデミック時に求人数の減少が起こる傾向にあります。
契約が切れて次の就業先が見つからないという状況を想像し、「正社員になって安定した暮らしを送りたい」と思う人が多いようです。
派遣会社はどこを選ぶべき?
A.業界トップクラスの転職サイトである「薬キャリAGENT」がおすすめです。
ここまでで何度か派遣会社選びの重要性についてお伝えしてきました。
では「一体、どこの派遣会社を選べばいいの?」とお思いの方に向けて、おすすめの派遣会社をご紹介します。
転職サイト | 総求人数 | 利用
料金 |
特徴 |
薬キャリAGENT | 13,000件 | 無料 |
|
ファルマ
スタッフ |
44,000件 | 無料 |
|
薬剤師転職
ドットコム |
18,000件 | 無料 |
|
それぞれ転職サイトによって「病院への転職が強い」「育児・家庭との両立を考える人向き」など特徴があります。
登録~求人情報チェックなどすべて無料ですので、自分の目的にピッタリ合いそうだと思った転職サイトに登録することからはじめましょう。
まとめ:派遣薬剤師は大きく稼げるが安定性は低い
派遣薬剤師は、時給3,000円以上で働くことができます。
人手不足が深刻化しているエリアや店舗によっては、時給5,000円以上で働けるケースも。
正社員より大きく稼げるメリットを持っていますが、安定性の低さは否めないので納得したうえで派遣薬剤師への道をご決断ください。
さいごに
- 派遣薬剤師の時給は2,800~3,200円が平均的
- 正社員の年収(549万円)より派遣薬剤師の年収(576万円)の方が高い
- おすすめの転職サイトは、13,000件以上の求人数を持つ「薬キャリAGENT」
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