「楽な職場で働きたいけれど……、楽な職場なんて本当にあるの？」
「楽な職場に転職すると、デメリットはあるの？」
激務続きで多忙な毎日を送る薬剤師の中には、楽な職場に転職したいと考える方も多いのではないでしょうか。
仕事での過労やストレスで心身の健康を損ねてしまうくらいなら、楽な職場で働きたいと思うのも当然かもしれません。
しかし、楽な職場とは具体的にはどのような職場のことを指すのでしょうか。
また、首尾よく楽な職場に転職できたとしても、その後の人生設計に悪影響が出てしまうのではないかと思うと不安ですよね。
今回は楽な職場のポイントや意外なデメリットを解説し、楽な職場への転職で成功する方法について解説します。
この記事を読んで、自分の人生設計を見据えた職場選びに役立てましょう。
もし、あなたが思う「楽な職場」に転職したいなら自分で探すのはちょっと大変。そこで薬剤師の転職サイトを使うことで条件にあった求人を探しだしてきてくれます。
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薬剤師の楽な職場とは？
薬剤師が楽に働ける職場について、具体的なポイントを解説します。
処方の軽い診療科
一般的には、眼科、整形外科、皮膚科の処方せんはシンプルなものが多く、門前薬局で働くと調剤が楽だと考えられることが多いです。
＜処方がシンプルな診療科と、主な調剤内容＞
- 眼科：点眼薬の計数調剤
- 整形外科：湿布薬の計数調剤
- 皮膚科：軟膏チューブの計数調剤
もちろん、一概に楽とはいえません。皮膚科であれば軟膏ミックスが多く処方されたり、整形では抗リウマチ薬などを含めた相互作用のチェックに留意したりする必要があるからです。
とはいえ、門前の薬局ならある程度は定番処方を暗記しておけば楽に対応できますし、軟膏ミックスを予製で対応することも可能でしょう。
反対に、「小児科の門前薬局だと散剤の年齢計算や調剤が多くなって大変」「総合病院の門前だと、複数科まとめての一包化が発生しやすくて大変」といった傾向が見られます。
処方箋応需枚数の少ない薬局
楽な職場かどうかは、薬剤師人数よりも「一人当たりの処方箋応需枚数」のほうが強く影響します。
たくさんの薬剤師が在籍していても、そのぶん大量の処方箋を応需しているのならば全く楽ではないでしょう。
東洋経済ONLINEによれば「薬剤師ひとり当たりの処方箋応需枚数は、25枚程度が標準的とされている」とのことです。（参照：東洋経済オンライン）
それを踏まえて、目安として薬剤師ひとりにつき1日の処方箋応需枚数が25枚以下の薬局は、楽な職場といえるでしょう。
ちなみに、薬剤師ひとりあたりの処方箋枚数は上限40枚であることが、「薬局並びに店舗販売業および配置販売業の業務を行う体制を定める省令」によって定められています。
残業のない薬局
残業なしで帰れる薬局は楽な職場といえるでしょう。プライベートの時間を充実させやすく、ライフワークバランスを整えやすいからです。
終業時刻の早いクリニックの門前にある薬局では、クリニックが終了すれば処方せんが途絶えてくるので残業が少ない傾向が見られます。
在宅・かかりつけ未進出の薬局
在宅業務を行っていない、かかりつけ薬剤師がいないなど、地域医療への進出が不十分な薬局は、楽な職場になりやすいです。
単純に業務の幅が少ないので、調剤・投薬・在庫管理などがメインとなるのでラクなのです。
ただし、そのような調剤薬局を取り巻く社会情勢は年々厳しくなっており、調剤報酬改定などの影響を受けて経営が悪化するリスクもあるので注意が必要です。
慢性期病棟・中小規模の病院
こちらは病院についての話題ですが、大規模な急性期病院に比べて中小規模、あるいは慢性期病棟の病院は楽に働けることが多いです。
土日出勤や夜勤がなかったり、定期処方ばかりで業務がシンプルだったりするためです。
病院薬剤師を続けながら楽な職場で働きたいという方は、慢性期病棟や中小病院をチェックしてみましょう。
パート・アルバイトに切り替える
雇用形態にこだわらないのであれば、正社員からパート、アルバイトに切り替えて働くと楽に働けるようになります。
土日休みの条件で契約したり、就業時間を交渉したりできるためです。
正社員よりも責任の範囲も狭まるので、業務負担も少なくなるでしょう。
ただし、仮に高時給でフルタイムのパートになったとしても、ボーナスなどがないので正社員よりは年収が下がります。
楽な職場のメリット
楽な職場で働くメリットは2つあります。
ライフワークバランスを充実させやすい
楽な職場で働くと、拘束時間が減ったり精神的な負担が軽くなったりして、プライベートを充実させる余裕が生まれます。
ライフワークバランスを重視して働きたいという方は、楽に働ける職場を選ぶのもひとつです。
中小薬局なら楽で高収入も！
「楽な職場で残業が少ないと、給料が下がってしまうのではないか……」と心配する方もいるかもしれませんが、楽に働きながら高収入を実現できる職場もあります。
中小規模の薬局であれば、人材を確保するために高年収で薬剤師を募集しているところもあるからです。
転職時に前職での給与を提示しながら条件交渉すれば、楽な職場への転職と年収アップを同時に実現するのも不可能ではありません。
ただし、楽な職場の見極めや条件交渉を自分ひとりで行うのは難しいため、転職サイトで情報収集したりエージェントに交渉を仲介してもらったりすることをおすすめします。
楽な職場のデメリット
楽な職場に転職した場合には、4つのデメリットを覚悟しておかなければなりません。
スキルアップできない
湿布や点眼薬などの単純な処方調剤ばかりに馴れてしまうと、薬剤師としてスキルアップするのが困難になります。
複雑な一包化の作成や、小児科などの散剤調剤が不得意になり、ブランクがあるのと似たような状態に陥るのです。
楽な職場で定型文のような服薬指導ばかりになってしまうと、薬剤師としての知識も集積していきません。
目的意識がないまま惰性で楽な職場で働き続けていると、自己学習もおろそかになり人材価値が下がっていきます。
転職時に不利
楽な職場でスキルアップを怠っていると、人材価値が下がって転職のとき不利になるおそれがあります。
たとえば、総合病院の門前にある多忙な薬局への転職を避けたり、小児科処方箋を多く応需する薬局を敬遠したりせざるを得なくなるのです。
転職先の採用担当者も、スキルアップできていない薬剤師の採用には慎重になる可能性があります。
楽な職場で生涯働き続けられれば良いのですが、閉局による転職や、他店舗異動を余儀なくされたときにつぶしが利かずに困ってしまうかもしれません。
人員整理される可能性
楽に働ける調剤薬局に勤めていても、経営状態の悪化によって人員整理されてしまうおそれがあります。
コロナ禍で患者の受診控えが顕著になっており、その影響で収益が下がっている薬局も少なくありません。
さらに、薬価改定や後発品の浸透などによって調剤薬局を取り巻く環境は厳しくなっており、地域貢献できない薬局は淘汰されていく可能性もあるでしょう。
薬剤師にとって楽に働ける職場でも、収益が下がれば経営側は閉局や人員削減に踏み切るリスクがあるのです。
暇すぎるとスタッフ間でギスギスすることも……
処方箋枚数が少ない割に薬剤師・事務員が多いなど、待機時間が多い薬局では「暇すぎて間がもたない」という悩みが生じる場合があります。
生産性のない無駄話や、時間つぶしのように薬品棚の拭き掃除をし続けなければならないのは、一種の「苦行」とも呼べる状況です。
長時間ダラダラ一緒にいると、スタッフ同士で些細な粗さがしを始めてストレスを抱えることもある……というのも、意外なデメリットかもしれません。
楽な職場に転職する方法
デメリットを踏まえた上で、楽な職場への転職で成功者になるためのポイントを解説します。
キャリアプランを明確に
楽な職場に勤めるときは、デメリットを十分に吟味しながら明確なキャリアプランを描く必要があります。
具体的には、10年、20年先の自分を思い描き、どのような職場でどんな仕事をしていたいのか十分に考えます。
出産や育児、介護など家族イベントも考慮しましょう。
＜楽な職場で働く時のキャリアプランの描き方＞
- 10年、20年先の自分の生き方・働き方に対応できる職場か？
- ふたたび転職しなければならなくなったとき、自分に人材価値はあるか？
- この薬局の経営方針・経営状態を見て、10年、20年先まで存在できそうか？
育児が落ち着くまでなどの一時的な足掛けとして楽な職場に転職したいという方も、「いつこの職場をやめて、次はどんな場所で働くのか」という人生設計を明確にして必要なスキルを自己研鑽していきましょう。
転職サイトで情報収集
楽な職場を探すためには、情報収集が欠かせません。自分で調べられる求人には限界があるため、複数の転職サイトに登録して非公開求人を含め幅広く調査することをおすすめします。
薬剤師専門の転職サイトであれば、担当コンサルタントがついて求人紹介や転職活動のサポートをしてくれるので、効率よく楽な職場を探すことが可能です。
門前の診療科や残業実態、薬剤師一人当たりの処方箋枚数やスタッフ構成など、自分にとって必要な「楽な職場の条件」をきちんと整理して、合致する求人をコンサルタントに紹介してもらいましょう。
職場見学は必須
求人票で「楽に働けそうだな」と思える職場を見つけたとしても、転職する前に必ず職場見学することをおすすめします。
薬局内に導入されているシステムや、スタッフの年齢層・就業年数などにより、自分が本当に楽に働けるかどうかは変わってくるためです。
また、求人票に残業なしと書いてあっても、時間外の業務を無報酬のサービス残業でまかなうようなブラックな職場である場合があるので要注意です。
転職する際にはコンサルタントに「本当に残業が少ないのか」「なぜ残業がないのか」について十分に確認したうえ、職場見学で実態を見極めましょう。
まとめ：自分にとって「楽」なポイントを洗い出そう
心身への負担を軽減するため、楽な職場に転職するのも一つの選択肢と言えます。
楽な職場に転職する場合には、長く働けるか、今後の人生に不利にならないかなど多面的に考えることが欠かせません。
また、どんな職場が楽かどうかは人それぞれであるため、一般的に楽といわれる職場でも自分に合わなければ「楽」ではない場合もあるので注意が必要です。
楽な職場探しをするときは、10年、20年先のキャリアプランを見据えて、自分に合った「楽な職場」を見極めましょう。
みなさんの人生がより充実したものとなることを、心から応援しています！
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