「薬剤師は、複数の薬局を掛け持ちできる?」
「収入アップしたいけど、勤務時間が増やせないと言われた」
「薬剤師が掛け持ちする上で、注意すべき点は?」
アルバイト・パート薬剤師の中にはもっと収入を増やしたいと思い、掛け持ちを検討している人も多くいます。
また、正社員で働いている薬剤師も近年の企業での副業解禁の動きに伴い、掛け持ちに興味を持たれている人も少なくありません。
この記事に辿り着いたあなたも薬剤師の掛け持ちについて、上記のような悩みを抱えているのではないでしょうか?
結論からいうと、一部の薬剤師をのぞき複数の薬局勤務は可能です。
そこで本記事では、薬剤師の掛け持ちについての働き方や、注意点を解説していきます。
もし、あなたが薬剤師をパートなどで掛け持ちを考えているのなら薬剤師の転職サイトの利用がおすすめ。転職サービスを利用することで自分で求人を探さなくてもあなたの条件を満たす求人を探してくれるでしょう。
この記事で分かる内容は、以下の通りです。
この記事で分かる内容
- 薬剤師が掛け持ちすることは可能か?
- 薬剤師が掛け持ちする時の注意点
- 薬剤師が掛け持ちするメリット・デメリット
- 薬剤師の賢い掛け持ちの働き方
薬剤師がパート・バイトを掛け持ちすることは可能か?
薬剤師が掛け持ちを検討するにあたって、考えたときに「そもそも薬剤師が掛け持ちをするのが可能なのか?」という疑問が出てくるはずです。
まずは、薬剤師の掛け持ちの可否について、いくつかの条件があるので見ていきましょう。
管理薬剤師と公務員薬剤師は原則禁止!一般薬剤師は無断はNGな場合もある
基本的に、薬剤師の掛け持ちは正社員でも、パート・アルバイトでも禁止されていません。
つまり、薬剤師は複数の職場(薬局)を掛け持ちしても大丈夫です。
しかし、以下の2つに該当する薬剤師は、法律により掛け持ちが禁止されています。
- 管理薬剤師・・・薬機法(旧薬事法)により兼業が原則禁止
- 公務員薬剤師・・・国家公務員法や地方公務員法によって兼業が原則禁止
管理薬剤師は、薬機法(旧薬事法)の第7条 3項により特別な事情がない限り、1つの薬局でしか従事することができません。
薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
引用:薬機法(旧薬事法)の第7条 3項より
管理薬剤師の副業に関して詳しく知りたい方は下記の記事をチェック
また、国公立病院や県立病院、市立病院などに勤めるいわゆる公務員薬剤師も、国家公務員法や地方公務員法によって掛け持ちは禁止されています。
その理由としては、公務員は国民や市民のために働いているため、民間の企業に利害関係を持たせてはいけないという前提があるからです。
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用:国家公務員法第103条第1項(私企業からの隔離)より
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員については、この限りでない。
引用:地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)より
また、地方公務員の場合は産休や休職などの職員の代わりに、非常勤として働いている職員は掛け持ちはOKです。
このように、管理薬剤師と公務員薬剤師のいずれかに当てはまる人は、掛け持ちができないことを覚えておきましょう。
もしも、無断で掛け持ちをして発覚した場合には、懲戒処分となる可能性もありますので、十分に気をつけてください。
掛け持ちOKかは職場の就業規則による
ここまで、管理薬剤師と公務員薬剤師は原則掛け持ち禁止であることが分かりました。
では、民間企業が運営する薬局や病院などの掛け持ち事情は、どうなのでしょうか?
その答えは「その職場の就業規則による」です。
つまり、掛け持ちできるかどうかはあなたが働いている企業によって決まります。
会社の就業規則に「副業禁止」の文言があれば掛け持ちはできません。
また、企業によっては就業規則に副業に関して記載されていない場合もあります。
この場合は必ず、上司や雇い主に副業が可能なのか確認をして下さい。
「会社の就業規則に書いていないから掛け持ち(副業)をしても良い」と勝手に解釈してしまうと、後々のトラブルの原因となってしまうからです。
このように掛け持ちをするときは、本業の就業規則を確認し、周りにも話を通して理解してもらうことが大切だといえるでしょう。
薬剤師が掛け持ちする時の注意点
薬剤師が掛け持ちする際に、気をつけなければいけないことはあるのでしょうか?
以下では、薬剤師が複数の薬局を掛け持ちする際の注意点を解説しています。
薬剤師の正社員×バイトの掛け持ちの場合
薬剤師で正社員として勤務しながら、掛け持ちをしている人は少なくありません。
特に、病院に勤務する薬剤師は年収が低いので、休みの日に派遣やドラッグストアで働いているパターンも多いようです。
先述の通り、本業の就業規則で副業が禁止されていなければ、正社員でも掛け持ちはできます。
しかし、本業に支障が出るような掛け持ちはNG。
掛け持ち先の仕事を頑張りすぎて、正社員の業務が疎かになり、遅刻や欠勤が増えれば正当な解雇理由になるでしょう。
正社員の薬剤師が掛け持ちをするには、単発の派遣で一日のみなど本業に影響が出ないような働き方がおすすめです。
正社員以外でバイトやパートの掛け持ちの場合
正社員以外でパートやアルバイトで複数の掛け持ちをする場合、正社員の薬剤師のように副業禁止に関する規定の対象になりにくいため、掛け持ちしやすい状況なのが魅力です。
しかし、バイトやパートの場合も勤務先に掛け持ちの可否を確認しておく必要があります。
また、バイトやパートはシフト勤務であることが多いため、シフトを組む上司などと相談しながらハードスケジュールにならないようにしましょう。
そのためには、掛け持ちしていることを周知してもらい、理解を得られるようにしておくことが大切です。
競合他社の掛け持ちに注意
薬剤師が掛け持ちする際には、競合他社で働かないことが鉄則です。
例えば、A薬局で働いている人がライバル店であるB薬局に掛け持ちで土日のみ勤務することは、企業にとってかなりのリスクを追うことになります。
なぜなら、普段何気なくやっている業務でも、掛け持ちすることによって企業の情報漏洩の危険性があるからです。
例え副業を認めている企業であっても、競合他社の掛け持ちは基本的に禁止しています。
もしもバレてしまった場合は、法律違反にはなりませんが企業からなんらかのペナルティはあるでしょう。
なので、薬剤師が掛け持ちをするなら、調剤薬局×ドラッグストアなどの異業種を選択するのが無難です。
税金の支払いに注意
薬剤師が掛け持ちする上で、注意しなければならないのが税金です。
メインで働いている職場以外で、年間20万円以上の収入があれば個人で確定申告を行わなければなりません。
ちなみに年末調整は、1つの会社だけで行われる仕組みになっています。
複数の会社が同時に年末調整を行なってしまうと、納税額が重複してしまい正しい課税ができなくなるからです。
また、所得税に関しては年間の総収入が103万円以下の場合は支払う必要はありません。
このように、ダブルワークで掛け持ちをしている薬剤師は、税金の支払いについてあらかじめ把握しておきましょう。
薬剤師が掛け持ちするメリット
薬剤師が掛け持ちをすることで得られるメリットは多くあります。
以下では、薬剤師が掛け持ちをすることで起こるメリットについて解説していきましょう。
収入源が増える
一つ目は、単純に収入が増えるだけでなく「収入源」が増えることです。
どんなに大企業に勤めていても、会社がいつまでもあるとは限りません。
もちろん、一つの企業に長く勤めるのも素晴らしいことです。
しかし、一つの収入源に頼ることはそれなりのリスクを伴います。
そこで、掛け持ちをして複数の収入源を確保することで、経済的なリスクに備えることができるでしょう。
さまざまな経験ができる
掛け持ちをして働くということは、より多くの経験ができるチャンスです。
例えば、調剤薬局と病院の薬剤師を掛け持ちした場合は、仕事内容や業務の進め方も異なってくるでしょう。
掛け持ちすることでさまざまな経験ができ、薬剤師としての経験が豊富になり成長につながります。
効率よく稼げる
薬剤師のパートやアルバイトの時給は地域や企業によって異なりますが、2,000円〜3,000円が相場です。
例えば、週一のみで時給2,500円×3時間の掛け持ちを1年間続けたら、年収はそれだけでも397,500円になります。
薬剤師は時給が高い職業なので週一だけでも掛け持ちすれば、大幅に収入がアップするでしょう。
隙間時間でも効率よく稼げるのが薬剤師の掛け持ちの魅力です。
スキルアップできる
掛け持ちをすることで、薬剤師としてスキルアップができます。
複数の薬局の業務を経験することで、自分なりに効率よく仕事をこなすためのノウハウが早く吸収されるのです。
また、掛け持ち先で得た知識を本業の業務に活かすことも可能でしょう。
さらに、掛け持ちをした経験は、転職や再就職先で「向上心があり、働く意欲のある人」と評価されアピールポイントになります。
このように、掛け持ちは薬剤師のスキルを高めてくれる貴重な経験なのです。
薬剤師が掛け持ちするデメリット
薬剤師の掛け持ちはメリットが多い反面、デメリットも存在します。
以下では、薬剤師が掛け持ちすることで起こりうるデメリットを見ていきましょう。
いい職場と比較してしまう
薬剤師が複数の薬局を掛け持ちしていると、職場ごとに仕事のやり方や雰囲気が全く違うことに気づくはずです。
そうすると、掛け持ち同士の職場を比較してしまい、悪い職場での仕事のモチベーションが下がってしまいます。
また、働いている同僚も違うため、職場の雰囲気も比較してしまい人間関係に疲れてしまうこともあるでしょう。
ただ、複数の職場を掛け持ちすることで、気分転換になったり仕事内容が違うため、飽きにくいという点ではメリットです。
賞与が貰えない可能性がある
薬剤師でパート・バイトを掛け持ちしている場合、正社員のように賞与(ボーナス)が貰えない可能性があります。
企業によっては勤務時間によってパート・バイトでも賞与が出るところもあるでしょう。
しかし、掛け持ちの場合は、一ヶ所での勤務時間がどうしても短くなってしまうのがネックな部分。
そう考えると、一つの薬局で長時間勤務した方が実は稼げる場合があったりします。
ただ、パート・アルバイトにも賞与が出るかどうかは企業の方針により異なるので、一概にはいえません。
昇給が見込めない可能性も
薬剤師のパート・アルバイトの時給は相場が2,000〜3,000円と高いことが魅力。
勤務時間が長ければ、正社員よりも給与が上回ってしまうことも少なくありません。
しかし、時給がはじめから高い分、昇給が見込めなかったりします。
また、正社員のように責任のある仕事も任せてもらえないことも多いでしょう。
このように、昇給への期待が薄いので掛け持ち先を探すときは、昇給があるところや初めから時給が高い薬局を条件に求人を探すことをおすすめします。
薬剤師の掛け持ちを活かす賢い働き方
薬剤師がうまく掛け持ちするには、どうしたらいいのでしょうか?
以下では、掛け持ちを活かした賢い働き方のコツを解説していきましょう。
大手企業で店舗を掛け持ちする
先述の通り、競合他社の薬局を掛け持ちで働くのはタブーであると解説しました。
しかし、大手企業であれば同じ地域に店舗がいくつもあります。
そのため、同じ企業の複数の店舗を掛け持ちすれば、同業種であっても問題はありません。
むしろその会社からすれば、ありがたい人材だといえるでしょう。
また、同じ企業の店舗であれば仕事のやり方も変わらないので、覚える手間も省けます。
勤務日数をチェック
パート・アルバイトで賞与がでる企業でも、勤務日数によって金額が変わってきます。
どのくらい勤務すれば、賞与がでるのかは会社規定によっつて異なりますが、勤務時間が長い社員よりも短い社員の賞与が少ないのは明らかです。
そのため掛け持ちをする際は、どのくらいの日数勤務すれば給与や賞与に影響が出ないのかをチェックしましょう。
社会保険加をチェック
掛け持ちをしていると、問題になってくるのが社会保険の問題です。
社会保険に入れるかどうかは、会社の就業規則によって決まりますが、掛け持ちをしていると、以下の3パターンの状況になるかと思います。
- 本業のみ社会保険に加入
- 本業と掛け持ち先の両方とも社会保険に加入
- どちらも社会保険に加入できない
1の場合は特に、何もしなくてOKです。
2の場合は「二以上事業所勤務届」を提出します。
掛け持ち先の職場に相談すると、対応してくれるので指示に従いましょう。
3の場合は、年収を103万円以下にして扶養に入ることがおすすめです。
ちなみに、社会保険は以下の条件を満たすと加入義務が発生します。
①法人の代表者や役員
②常時雇用されている人
③1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である人
④従業員501人以上の会社に勤務していて、以下の要件を満たす人
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 勤務期間が1年以上見込まれる場合
- 月額賃金が8万円以上である場合
- 学生以外の人
社会保険は、傷病手当金などの手厚い保証があるので、できれば加入したいものです。
派遣会社に登録
薬剤師が複数の薬局を掛け持ちするには、シフトの調整や企業に配慮を求める必要があります。
しかし、掛け持ちに理解が進んでいない企業が多いのが現状です。
そこで、おすすめなのが派遣会社に登録し、短期間だけ掛け持ちしてみるというもの。
派遣であれば、時間も融通が利き高時給な求人も多くあるので、効率よく稼げるでしょう。
転職サイトで検索
転職サイトで掛け持ちOKの求人を探してみるのも賢い方法です。
薬剤師専門の転職サイトには、正社員だけでなくパートやアルバイトの求人も豊富にあります。
転職サイトによっては、電話や面談で相談に乗ってくれるところもあるので、手厚いサポートが受けられるでしょう。
ポイントとしては、転職サイトに複数登録しておくこと。
サイトによって、掲載されている求人なども変わってくるので選択肢を増やすという意味でも、さまざまなサイトに登録しておくのがおすすめです。
できる範囲で無理のない働き方を
掛け持ちで一番危惧しなければならないのが、体調面です。
薬剤師が掛け持ちをしていると、柔軟に働き方を調整できる反面つい無理な働き方をしてしまう傾向にあります。
掛け持ちをする際は、体調面を考慮しながら過密なスケジュールにならないようにしましょう。
また、家事や子育てなどに負担がかからないように家庭との両立をすることも大切です。
このように掛け持ちをするときは、体調面とスケジュールと相談しながら無理のない働き方を模索してみてください。
まとめ:薬剤師のパート・バイト掛け持ちは効率よく稼げる
ここまで、薬剤師が掛け持ちする際の注意点と賢い働き方について、解説してきました。
まとめ
- 管理薬剤師と公務員薬剤師は法律上、原則掛け持ち禁止
- 掛け持ちできるかどうかは企業の就業規則による
- 掛け持ちする場合は副業OKか双方の企業に確認する
- 税金や社会保険に注意
掛け持ちは、時給が高い薬剤師にとって非常に効率の良い稼ぎ方です。
収入源を複数持つことで、収入や心の余裕にもつながります。
無理のない働き方を模索しながら、薬剤師として社会貢献していきましょう。
まずは、掛け持ちOKの求人を探すところから始めてみてはいかがでしょうか?
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