「うちの薬局もお薬手帳アプリを導入したいけれど、どの会社のアプリがいいだろう?」
「自分も患者としてお薬手帳アプリを利用したいと思うけれど、どこのアプリが便利かな?」
お薬手帳をスマホアプリにする方が増えていますが、お薬手帳アプリはさまざまな会社から提供されて「乱立状態」にあるため、どのアプリが優れているのかわかりづらい状況です。
電子お薬手帳に対応できていない薬局もまだまだ多く、とくに店舗数の少ない小規模薬局では電子化未導入の店舗が多く見られます。
薬局を経営する立場の方は、患者の利便性を計って高評価を得るためにも、電子版お薬手帳の導入を検討するのがおすすめです。
今回は乱立するお薬手帳アプリの中から、代表的な7個を紹介します。
それぞれの特徴や機能を解説するので、自社での導入や自分で使用するときにお役立てください。
お薬手帳アプリの比較ポイントは?
お薬手帳アプリを比較するポイントは、対応店舗数と機能です。
特定の薬局・ドラッグストアでしか利用できないアプリだと、患者が他の薬局にかかったときにお薬情報を登録できず、患者にデメリットを与えてしまいます。
全国の多数の薬局が加盟しているお薬手帳サービスに加盟していると、患者のニーズを満たせるので「選ばれる薬局」になりやすいでしょう。
ちなみに、特定のお薬手帳アプリに加盟していなくても、平成26年の4月以降はほとんどのレセコンがお薬情報のQRコードを出力できるようになっています。(参照:第4回高齢者医薬品適正使用検討会 電子版お薬手帳の現状と課題|厚生労働省ホームページ)
そのため、電子化に対応していない薬局でも「お薬手帳のQRコードを出してください」と頼むと出してもらえることがあります。
お薬手帳アプリのメリット・デメリット
お薬手帳アプリのメリット・デメリットを、紙のお薬手帳と比較してご紹介します。
メリット
お薬手帳アプリはスマホの中に入っているので、患者にとってはわざわざ紙のお薬手帳を持ち歩く必要がなく、持ち忘れ・紛失のリスクが低いのがメリットです。
さらに、処方箋をスマホカメラで撮影すると事前調剤をしておいてくれたり、血圧などの健康情報を一緒に登録してくれたりする多機能タイプのお薬手帳アプリだと生活の利便性がアップします。
薬局側にとっては、有用なお薬手帳アプリを導入していると患者に喜ばれ、患者の確保につながるというメリットがあります。
デメリット
スマホのお薬手帳アプリは、スマホの電池切れのときは閲覧できないのがデメリットです。
スマホのバッテリーは最近のものは進化が進んでおり、特にiPhoneは毎年アップデートされています。新型iPhoneでは予約も必要ですが、気になる方はお手持ちのスマホ状況もチェックしてみましょう。
他社アプリとの互換性に乏しく、サービス非加盟の薬局では使えないことや、運営会社の都合でサービスが終了してしまうリスクもあります。
また、病院やクリニックでは、併用薬のデータコピーが難しいため併用薬の重複を見逃す危険性があります。
紙の手帳はパラパラめくってコピーを取ればカルテに記録を残せるため、「お薬手帳は電子アプリではなく紙に印刷して持参してほしい」と指示するクリニックもあるほどです。
さらに、患者が意識不明になった時などの緊急事態にスマホロックのせいで服薬情報をチェックできないなどのリスクにも目を向ける必要があります。
おすすめお薬手帳の機能比較
今回ご紹介する7個のアプリを、表で比較しました。
アプリ名 | 提供会社 | 使用可能薬局 | 調剤予約機能 | 家族併用 | 飲み忘れ防止アラーム | 体調記録機能 | 市販薬データ登録 | 併用薬登録(QR・手入力) | アデータバックアップ機能 |
EPARK | 株式会社くすりの窓口 | 全国約60,000件 | 〇 | 〇(人数無制限) | 〇 | 〇 | ー | 〇 | 〇 |
eお薬手帳 | 公益社団法人日本薬剤師会 | 全国 | 〇 | 〇(10人まで) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
お薬手帳Link | NTT Docomo | 全国 | 〇 | ー | ー | ー | 〇 | 〇 | ー |
kakari | メドピア株式会社 | 全国 | 〇 | 〇 | ー | ー | ー | ー | ー |
パシャッとカルテ | Arteryex株式会社 | 全国 | ー | ー | ー | ー | ー | 〇 | ー |
日本調剤のお薬手帳プラス | 日本調剤 | 日本調剤のみ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー |
ココカラファインお薬手帳 | ココカラファイン | ココカラファインのみ | 〇 | ー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー |
―:機能なし、あるいは公式サイトに記載なし
全国他薬局共通のアプリと特定薬局(ドラッグストア)のみで使えるアプリがありますので、それぞれを順に紹介します。
全国の薬局で利用できるお薬手帳アプリ
全国の薬局で共用できるお薬手帳アプリを紹介します。
EPARK
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.epark.medicinenote)
EPARKお薬手帳は、利用者数200万人突破の大人気お薬手帳アプリです。
全国の調剤薬局約6万件に対応しており、処方箋を撮影して薬局にデータを送信すると、来局前に調剤を進めてくれます。
処方情報はお薬手帳アプリに自動登録されるので、自分で処方薬データを入力する手間もありません。(QRコードや手入力などでも入力可能です。)
しかも、1つのアカウントで家族のお薬手帳データを何人分でも登録可能 。
飲み忘れ防止のアラーム設定やワクチン接種管理、血圧、検査データの画像保存、体温管理などさまざまな機能も充実している優れモノです。
ちなみに、「あの薬局はEPARK非加盟だけれど、導入してほしい……!」という希望がある患者さんが運営にリクエストを送ると、運営スタッフがその薬局に導入の声かけをする場合があります。
eお薬手帳
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.nichiyaku.okusuri)
eお薬手帳は公益社団法人日本薬剤師会の提供するお薬手帳アプリです。
データのバックアップ機能がついているので、紛失やスマホ変更のときも安心。
処方箋画像送信機能があるので、薬局に来局する前の事前調剤が可能です。
処方薬が自動登録される機能はありませんが、自分でQRコードか手入力によって服薬データを取り込むことができます。
ちなみに、データバックアップを含むすべての機能を利用するにはdアカウントの取得が必要です。
お薬手帳Link
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nttdocomo.medical.medicinenotelink)
お薬手帳Linkは、NTT Docomoが提供するお薬手帳アプリです。
全国の薬局でもらった処方薬のQR登録・手動登録ができるほか、サービス加盟薬局に事前調剤を依頼することができます。
また、加盟薬局ではスマホを受け渡しせずに併用薬データを薬剤師と共有可能です。
全機能を使うにはdアカウントの登録が必要となります。
kakari
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.medpeer.kakari)
医師が起業した企業であるメドピア株式会社による、お薬手帳アプリ「kakari(かかり)」は、加盟店で事前調剤を依頼できるアプリです。
ちなみに、スギ薬局は2020年まで自社専用お薬手帳アプリを提供していましたが、現在では提供終了してkakariに完全移行しています。
薬剤師にチャット相談する機能があるので、ちょっと気になること、不安なことも気軽に尋ねることが可能です。
パシャっとカルテ
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.arteryex.clickkarute)
医療系アプリ・サービス事業のArteryex株式会社が提供している「パシャッとカルテ」は、お薬手帳だけでなく病院からの診断書や紹介状、人間ドッグの結果なども画像保存で管理できる画期的なサービスです。
データ化したい書類の写真を撮るだけで、画像として保存することができます。
一般的にイメージされる「お薬手帳」とは少し用途が違うかもしれませんが、病院や薬局での健康情報を一元管理したい方におすすめです。
特定の薬局でのみ使用できるお薬手帳アプリ
大手調剤薬局やドラッグストアでは、専用のお薬手帳アプリを提供しているところもあります。
他の薬局では使えませんが、かかりつけ薬局として1か所の薬局だけを使っているという方であれば不便なく利用できるでしょう。
日本調剤のお薬手帳プラス
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.nicho.jpokusuri)
日本調剤のみで利用できるお薬手帳アプリです。
本会員として登録すると、処方箋画像の送信による事前調剤が利用でき、処方薬がアプリに自動登録されるようになります。
QRコードや手入力での登録機能も実装されている他、飲み忘れ防止機能や健康管理機能も充実しています。
Googleアプリの「Google Fit」と連携させると、歩数や血圧、脈拍、体重などのデータを取り込んでグラフ化も可能です。
ココカラファインお薬手帳
出典:Google Play(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.cocokarafine.okusuri)
ココカラファインでのみ使用可能なお薬手帳アプリです。
(ちなみに、「お薬手帳」という名前のつかないココカラファインアプリは、雑貨などのクーポン・ポイント配信アプリなので、間違えないように気を付けましょう。)
事前調剤、飲み忘れ防止機能などが付いており、dアカウントに登録していると薬剤師にスマホを渡さなくても処方薬データを共有できます。
まとめ:お薬手帳アプリを導入しよう!
お薬手帳アプリを導入する患者さんが増えており、今後もますますお薬手帳アプリは普及していく見込みです。
お薬手帳アプリはさまざまな種類が乱立状態にありますが、全国多店舗で共用可能なシステムと、特定のドラッグストアなどでしか使用できないシステムのものがあります。
重複投与の回避、医療機関との情報共有などお薬手帳の本来の意味を考えると、全国多店舗で対応しているお薬手帳アプリを選ぶと安心です。
薬局経営者にとっては汎用性のあるお薬手帳アプリへ加盟すると、経営上のメリットと患者の利便性アップの2点からおすすめと言えます。
自分に適したお薬手帳アプリを選んで、安全管理に役立てましょう。
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