薬剤師は「就職難」は嘘!?飽和して就職できないという噂の実態とは…?

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「薬剤師は将来的に就職難になる」

あなたは、こんな噂を耳にしたことはありませんか?
このような噂を聞いてしまうと非常に不安になってしまう薬学性も多いでしょう。

結論からいうと、そのような噂を聞いて薬剤師を目指すのを諦めてしまうのは、ちょっともったいないような気がします。

確かに、新たな薬学部の新設などで薬剤師の数は増え続けているのは事実です。
しかし、薬剤師のニーズも同時に高まっています。

本記事では、薬剤師が就職難だとささやかれている噂の真相を詳しいデータをもとに解説しています。
この記事であなたの不安な気持ちが少しは解消されるはずなので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かることは以下の通りです。

この記事の項目

  • なぜ薬剤師は就職難だといわれているのか
  • データで本当に就職難なのか分析してみた
  • 薬剤師が就職難にならないための心得
  • 薬剤師の将来性とこれから求められるもの
目次

【結論】薬剤師は就職難といえるほどの悲惨な状況の職業ではない

薬剤師は就職難ではない

まず結論からいうと、薬剤師は就職難ではありませんし、将来的にも就職難といえるような状況になることはおそらくないでしょう。

遠い未来のことは、予測することは難しいですが少なくとも5年〜10年くらいは薬剤師の就職難に陥ることはありません。

そもそも薬剤師は資格がいる職種ですし、薬剤師が就職難になったらサラリーマンなどの一般職はもっと悲惨な状況になっているはずです。

では、なぜこんなにも薬剤師が就職難だと囁かれているのでしょうか?

次の項目では、薬剤師が就職難と言われている原因について探っていきましょう。

なぜ薬剤師が就職難だといわれているのか?

なぜ就職難だといわれている?

薬剤師が就職難だといわれているのでしょうか?

以下では、薬剤師の就職難イメージとなってしまった原因を解説しています。

新設薬学部の急増

まず一つ目が、新設する薬学部が急増しているため、薬剤師が飽和するのではないかといわれています。

2021年現在、日本国内にある薬学部の数は77大学79学部、内訳は以下の通りです。

日本国内の薬学部の数
国立薬学部 14大学14学部
公立大学薬学部 5大学5学部
私立大学 58大学60学部
合計 77大学79学部

薬学部がある大学は、国立、公立、私立に分けられ基本的に国立、公立の学部数は変わっていません。

しかし、2006年の薬学部6年制課程導入後以降、28校もの私立薬学部新設し急増しています。
これに伴い、薬剤師の人口が増えて就職難になるといわれているのです。

しかし、実際には私立薬学大学の3割が定員割れを起こしており、受験生離れが深刻化しているといわれています。

登録販売者制度のスタート

登録販売者制度とは、2006年の改正薬事法により新しく新設した資格です。

これまで医薬品の販売は、薬剤師のいる薬局のみで行われていましたが、登録販売者は医薬品の販売専門資格者として新たに誕生しました。

この登録販売者の登場により、薬剤師の需要は減少し就職難になると言われ始めたのです。

しかし、登録販売者と薬剤師の違いは、販売できる医薬品の範囲が違います。

医薬品は、第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品に分けられ、このうち登録販売者が販売できるのは第二類医薬品と第三類医薬品の2つです。

薬剤師のように全ての医薬品を販売できるわけではないので、薬剤師が完全に淘汰されるとは考えにくいといえるでしょう。

テクノロジーの進化

近年では、AIやデジタル機器の普及により仕事の大半がロボットに置き換わると予測されています。

薬剤師の仕事も例外ではなく、大阪府の梅田には薬剤師の代わりに調剤を行う「ロボット薬局」があるのです。

メディカルユアーズは、2019年、大阪梅田にて日本初の「ロボット薬局」の開発に成功しました。
日本仕様の自動入庫払出装置を開発し、医療情報を電子化して連動させることで、まったく新しい調剤ワークフローを開発しました。ロボティクス、ICT、AIを活用した調剤ミスゼロ、待ち時間ゼロの実現に挑戦しております。ヒューマンエラーをなくすことで医療事故を撲滅し、待ち時間を解消して医療アクセスを円滑にすることによって早期治療を促します。

参照:株式会社メディカルユアーズ

こういったテクノロジーの進化により、薬剤師の仕事はなくなってしまうのではないかといわれています。

しかし、薬剤師の仕事は完全にロボットが代行するというわけではありません。

調剤業務の自動化は、薬剤師にとってミスをなくし患者への服薬指導に専念できるというメリットがあります。

地域の需要格差がある

人口に対する薬剤師数には、地域差があり薬剤師数が飽和している地域があります。

以下では、人口に対して薬剤師が多い地域をランキングでまとめました。

人口に対して薬剤師が多い地域
順位 都道府県
総数 人口10万人あたり
1 徳島県 1,611人 210.86人
2 東京都 27,728人 207.08人
3 兵庫県 10,983人 198.21人
4 広島県 5,491人 193.82人
5 神奈川県 17,073人 187.70人

参考:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

全国で最も薬剤師が多いのは徳島県で210.86人。2位以下は東京都、兵庫県、広島県、神奈川県と続いています。

次に、人口に対して薬剤師数が少ない地域を見ていきましょう。

人口に対して薬剤師が少ない地域
順位 都道府県
総数 人口10万人あたり
1 沖縄県 1,861人 130.96人
2 青森県 1,768人 133.84人
3 福井県 1,110人 140.51人
4 岩手県 1,815人 141.36人
5 山形県 1,608人 142.18人

参考:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

最も薬剤師が少ないのは沖縄県で、人口10万人あたり130.96人。これに青森県、福井県、岩手県、山形県と続き、東北地方で薬剤師が少ないことが分かります。

このように、地域ごとに薬剤師の需要にばらつきがあり、薬剤師が飽和している地域では就職活動が難航する場合があるでしょう。

データで見る薬剤師が就職難といえない理由

データから見えてくるもの

次に、薬剤師が就職難ではないという理由について解説していきます。

以下では、さまざまなデータをもとに薬剤師の就職状況についてみていきましょう。

薬剤師の合格者数

2012年の薬剤師合格者数は、8,641人だったのに対し2021年の合格者数は9,634人と1,000人近く増加しています。

確かにこのまま、合格者が増え続ければ薬剤師が過剰供給になるという噂も頷けます。

回(実施年月) 受験者数 合格者数 受験者の
平均合格率
第97回(2012年) 9,785人 8,641人 88.31%
第98回(2013年) 11,288人 8,929人 79.10%
第99回(2014年) 12,019人 7,312人 60.84%
第100回(2015年) 14,316人 9,044人 63.17%
第101回(2016年) 14,949人 11,488人 76.85%
第102回(2017年) 13,243人 9,479人 71.58%
第103回(2018年) 13,579人 9,584人 70.58%
第104回(2019年) 14,376人 10,194人 70.91%
第105回(2020年) 14,311人 9,958人 69.58%
第106回(2021年) 14,031人 9,634人 68.66%

参考:厚生労働省 「薬剤師試験回次合格者数の推移」

しかし、受験者数を見てみると2012年から増え続けているのにも関わらず、合格者数が増えていません。

合格率も2012年に比べて低くなっていることを考えると、薬学部が増えたことによる大幅な偏差値の低下が原因として考えられます。

つまり、薬学部と受験者数は増えているものの、合格率が高くないため新たに薬剤師が急激に増加することは考えにくいのです。

薬剤師の有効求人倍率

有効求人倍率とは薬剤師一人に対して、何件の就職先があるのかというものを表しており、1倍を超えれば「売り手市場」となります。

厚生労働省の調査によると令和元年の令和元年度の薬剤師有効求人倍率は、5.22倍です。

一方、全体の職業の令和元年平均の有効求人倍率を見てみると1.60倍で、薬剤師を大きく下回っています。

令和元年有効求人倍率
一般職業 薬剤師
1.60倍 5.22倍

このように、薬剤師一人当たりの有効求人倍率は非常に高く、完全に売り手市場です。

薬局の増加

5万5,000店を超え、飽和状態にあるといわれているコンビニ。
しかし、コンビニ以上に店舗数の多いのが医師の処方箋に基づいて医療用医薬品の調剤ができる調剤薬局です。

近年では、調剤薬局併設型のドラッグストアの急増により、調剤薬局はコンビニより多い6万件を突破しました。

それに伴い、薬剤師の需要も増加しているので、就職難とは程遠い状況にあります。

今後さらに、薬局は増加すると予測されており、薬剤師や登録販売者の需要は高まっていくでしょう。

離職者が一定数いる

2018年の薬剤師調査の結果によると、薬剤師の男女比は4:6であり男性が116,826 人(38.8%)、女性が184,497 人(61.2%)となっています。

このことからも分かるように、薬剤師は女性が多く結婚や出産を機に、離職する人も多いです。

実際に薬剤師の離職率をみていきましょう。

職種 離職率
管理薬剤師 9%
勤務薬剤師 9%
パート薬剤師 21%
平均離職率 10%

    参考:メディカルマーケティングプロモーションリサーチ

    離職率が最も高いのが21%のパート薬剤師です。

    このように、薬剤師という職種は離職者が一定数いるので、求人自体が減ることは考えにくいといえるでしょう。

    薬剤師が就職難にならないためには

    就職難にならないために

    ここまで、薬剤師は就職難にならないとお伝えしてきました。

    しかし、就職難でないのにも関わらず転職活動に苦労している薬剤師は一定数いるのです。
    以下のことに注意しないと就職難に陥るケースがあります。

    薬剤師が就職難にならないために

    • 転職回数に注意
    • スキル・キャリアを身につける
    • 求人動向をチェック

    転職回数に注意

    薬剤師免許を持っていても、転職回数が多いと就職活動に少なからず影響があるでしょう。

    例えば、同じ30代前半の薬剤師の方が面接に来て、一人は転職回数が1回、もう一人の薬剤師は転職回数3回だったらどちらを採用しますか?

    間違いなく、転職回数を少ない方を採用したいと思うはずです。

    このように、転職回数の多さは競争倍率の高い就職先では、完全に不利であり目立ってしまいます。

    「入社してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」というイメージがどうしてもついて回ってしまうのです。

    どの業界でもそうですが、年齢の割に転職回数が多い人は今後の転職は慎重に考えましょう。

    スキル・キャリアを身につける

    薬剤師が就職難にならないためには、スキルやキャリアについても重要です。

    特に給与アップが目的で転職を考える場合、給与交渉の決め手となるスキルやキャリアを持っていることで、交渉はスムーズに進められるでしょう。

    例えば、管理薬剤師や薬剤部長などの管理職経験があると、採用率がアップします。

    そのためには、自分がどのようにキャリアやスキルを身につけていきたいのかを明確にしておくようにしましょう。

    求人動向をチェック

    薬剤師の求人動向をチェックしておくことで、転職するタイミングやどのような薬剤師が求められているのかが分かるでしょう。

    例えば、地域によって給与が大きく異なってくるのはもちろん、職種によっても年収が変わってきます。

    ちなみに、職種別の年収の違いは以下の通りです。

    職種 平均年収
    病院 434.6万円
    ドラッグストア 512.5万円
    調剤薬局 488.3万円
    製薬会社 543.2万円

    参考:マイナビ薬剤師に掲載している求人から平均年収を算出

    また、経済状況が悪い時期や新卒者で人材が足りている4月は求人が少ない傾向にあります。

    このように、薬剤師の求人動向を日頃からチェックしておくことで就職難になることを防げます。

    薬剤師の将来性とこれから求められるもの

    薬剤師に求められるもの

    薬剤師の仕事は、AIの登場で大きく変化してきています。
    これからは、どのような薬剤師が必要とされていくのでしょうか?

    以下では、これからの薬剤師に求められるものと将来性について解説しています。

    薬剤師業務以外のニーズが高まっている

    厚生労働省の医薬・生活衛生局総務課は、2019年4月、各都道府県宛に「薬剤師以外が行うピッキングや一包化が、薬剤師の指示のもとでの実施など、一定の要件を満たせば可能である」という旨の通知を出しました。

    つまり、これまでの薬剤師業務である調剤作業を薬剤師以外でも、できる取り組みを国が推進しているのです。

    そのため、これからの薬剤師に求められるのは、他の医療関係者と連携し患者のケアをできる高いコミュニケーション能力だといえるでしょう。

    これまでの、薬剤師による調剤業務への負担がなくなる分、服薬指導や患者に寄り添った医療ニーズが高まっているのです。

    高齢化による在宅薬剤師の需要の高まり

    高齢化による在宅訪問医療サービスの需要の増加に伴い、医療チームとして薬剤師の需要が高まっています。

    在宅薬剤師は、患者さんの入居先や自宅に訪問し医薬品を供給する重要な役割を担っているのです。

    また、患者の服薬状況や副作用、症状などの変化をヒアリングし時には医師に提案することもあります。

    こうした高齢者に寄り添う薬剤師は、これからの時代の変化とともに高まっていくでしょう。

    専門性の高い知識

    専門性の高いスキルや資格を持っている薬剤師は、貴重な存在として重宝されるでしょう。

    例えば、以下のような専門的な知識のあることを証明する認定資格があります。

    • がん薬物療法認定薬剤師
    • 在宅療養支援認定薬剤師
    • 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
    • 漢方薬・生薬認定薬剤師

    このように各分野における認定資格を取得することで、転職時のキャリアアップや年収アップの可能性が広がるでしょう。

    これからは、薬剤師免許だけでなくプラスαの付加価値が求められているのです。

    薬剤師の将来性

    AIやテクノロジーの進化でこれまでの薬剤師の仕事は、代替が効くようになります。

    しかし、このことによって薬剤師が淘汰されるのではなく、新たな業務や需要が生まれてくるのです。

    例えば、近年では自分自身の体調は自分で管理するというセルフメディケーションが高まっています。

    サプリメントや医薬品などで自己管理する際に、薬剤師がサポートすることで効果や効能をより高めてくれるのです。

    こうしたセルフメディケーションに欠かせない「かかりつけ薬剤師」の需要の高まりで従来の薬剤師とは違った働き方で患者のケアをすることになるでしょう。

    まとめ:薬剤師の就職難問題は過剰に不安にならなくても大丈夫

    選ばれる薬剤師になろう

    ここまで、薬剤師の就職難について解説してきました。

    まとめ

    • 薬剤師は就職難ではない
    • さまざまな理由から就職難だという憶測が出た
    • 薬剤師の役割は変化しつつある

    薬剤師の就職難問題については、そこまで過剰に不安にならなくても大丈夫です。

    しかし、これからの薬剤師に求められる役割は変化しつつあります。
    企業や患者から「選ばれる薬剤師」になるためには、スキルや技術を磨いていく必要があるのです。

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