刑務所で働く薬剤師の仕事内容や年収|特殊な求人の募集はどこで探せる?

刑務所
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「刑務所での薬剤師の仕事って?」
「年収や仕事内容は?」
「どこで求人は見つけられる?」

刑務所の薬剤師は、法務技官と呼ばれ国家公務員扱いとなり、仕事内容は主に調剤や監査業務です。

しかし、刑務所内で働く薬剤師という特殊な環境のため、情報が少ないのが現状。
ここに辿り着いたあなたも、情報の少なさに悩んでいるのではないでしょうか?

そこで今回は、刑務所の薬剤師の年収や仕事内容、待遇などについて詳しく見ていきましょう。
この記事を読むことで、今まで明らかにならなかった刑務所内での薬剤師事情が理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かること

  • 刑務所内での薬剤師の役割と仕事内容
  • 年収とパートの時給
  • 刑務所薬剤師の待遇(福利厚生)
  • 刑務所薬剤師の採用事情
  • 必要なスキルや資格
目次

刑務所には薬剤師が必要

薬剤師の役割

そもそも、刑務所になぜ薬剤師が必要なのか考えたことはあるでしょうか?

日本の憲法では、国民の人権は以下のように定められています。

日本国憲法 第十三条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

昭和二十一年憲法 日本国憲法より引用
このように全ての日本国民には、基本的人権が与えられています。
たとえ犯罪を犯し、刑事施設で服役している受刑者であっても例外ではありません。
そのため、受刑者でも平等に医療を受ける権利があり、適切な治療を行う必要があるのです。
全ての刑務所には、医師と看護師そして今回のテーマである薬剤師が在駐しています。
また、日本の受刑者は年々高齢化が深刻な課題です。
60歳以上の新受刑者は,昭和48年には341人(1.3%)であったのに対して平成15年には2,929人(9.3%)と大幅に増加しています。
このように、刑務所での医療は受刑者にとってなくてはならない制度であり、薬剤師はなくてはならない存在だといえるでしょう。

刑務所以外にも医療刑務所や少年院が存在する

刑務所以外の刑事施設でも薬剤師は、活躍しています。

例えば、入院が必要な受刑者やアルコール依存症などの重い精神疾患を抱えた受刑者が収容される「医療刑務所」です。
医療刑務所は、全国に以下の4箇所しかなく、そこで生涯を終える受刑者も少なくありません。

  • 八王子医療刑務所(東京都八王子市)
  • 岡崎医療刑務所(愛知県岡崎市)
  • 大阪医療刑務所(大阪府堺(さかい)市)
  • 北九州医療刑務所(福岡県北九州市)

刑務所だけでなく、少年院にも薬剤師の活躍の場があります。

少年院は、基本的に少年の社会的更生を目的に「矯正教育」を施す施設です。

少年院の種類には第一種〜第四種に分けられ収容年齢や、軽の重さによって決められます。

概要 収容年齢
第一種 心身に著しい障害がない 12歳以上23歳未満
第二種 心身に著しい障害がなく犯罪的傾向あり 16歳以上23歳未満
第三種 心身に著しい障害あり 12歳以上26歳未満
第四種 刑事裁判によって刑が執行されるもの 14歳以上16歳未満

このように、通常の刑務所以外での薬剤師の存在もまた、必要不可欠だといえるでしょう。

刑務所で働く薬剤師の仕事内容

仕事内容

刑務所で働く薬剤師はどのような仕事をしているのでしょうか?

以下では、刑務所の薬剤師の仕事内容を解説していきましょう。

主な仕事は調剤業務・監査

刑務所で働く薬剤師の主な仕事内容は、医師が発行する処方箋のもとでの調剤業務と処方箋が正しいか確認する監査業務です。

仕事内容は、調剤薬局よりも病院に近い業務であるといえるでしょう。

扱う処方箋内容も特別なものではなく、一般的な調剤作業となんら変わりありません。
また、病院のようにさまざまな患者の処方箋を扱うわけではないので、毎回決まった患者の処方内容であることが多いでしょう。

そのため落ち着いて、作業できるのが刑務所薬剤師の特徴です。
残業もほとんどなく、定時で退勤できるのは大きなメリットだといえるでしょう。

受刑者との接触はない

刑務所内で薬剤師の業務上で気になるのが「受刑者に対して服薬指導はあるのか?」です。
「受刑者と対話して危なくないのか?」と思われる方も少なくないでしょう。

結論からいうと、99%受刑者への服薬指導はありません。
あるとしても刑務官を通して受刑者に伝えられるはずです。

通常の薬剤師業務は、患者に対して薬の効能や副作用を説明する服薬指導を行います。

しかし、刑務所では調剤薬局や病院のように直接、受刑者に薬を手渡すことはまずないでしょう。
そのため、服薬指導はなく黙々と調剤室で調剤業務を行うことになるのです。

刑務所薬剤師(法務技官)の年収や給与体制

刑務所の薬剤師の年収

刑務所の薬剤師は法務技官とも呼ばれ、国家公務員の医療従事者に分類されます。

法務技官の年収は国によって定められており、勤続年数に応じて昇給していくのです。
以下では、刑務所薬剤師の年収事情を見ていきましょう。

刑務所薬剤師の年収は約310万円〜550万円

刑務所で働く薬剤師は、賞与を含めると年収が約310万円〜550万円です。

実際の求人票をもとに見ていきましょう。

国家公務員の求人参照:スタンバイ

上記の求人は鳥取刑務所の薬剤師求人です。
月収は、18.8万円〜33.3万円でそこに4.45ヶ月分の賞与をプラスすると年収が約310万円〜550万円となります。

この年収は、一般的な薬剤師の年収よりも低いです。

以下の表は、性別と年代別での薬剤師平均年収を表しています。

年齢 男性 女性
20代 約413万円 約408万円
30代 約617万円 約536万円
40代 約665万円 約597万円
50代 約687万円 約570万円

※厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」をもとにきまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で平均年収を算出。

この表を見ると分かる通り、刑務所の薬剤師の最高年収が約550万円なのに対し、一般的な薬剤師の年収は大きく上回っています。

このことから、刑務所で働く薬剤師の給与はそれほど高くないといえるでしょう。

パート薬剤師の時給は2,000円〜3,000円

刑務所で働く薬剤師の中には正社員ではなく、非正規のパート薬剤師も募集しています。

その時給は2,000円〜3,000円の相場が多いようです。

実際に、大阪医療刑務所の薬剤師パート求人を見ていきましょう。

パート薬剤師の求人参照:Hello Work +

ちなみに厚生労働省の公表したパート薬剤師の平均時給は、約2300円です。賃金構造基本統計調査の職種別賃金に関するレポート参照)

このことから刑務所で働くパート薬剤師の時給は、平均より少し高い傾向にあるといえるでしょう。

高給ではないが昇給と景気に左右されないのが魅力

刑務所薬剤師の年収は、一般的な薬剤師に比べると低めであるという結果となりました。

しかし、先述の通り刑務所で働く薬剤師は、国家公務員の位置付けであり国が雇用主です。
そのため、一般企業のように景気に左右されることが少ない職種であるといえます。

また、稼働時間が短く残業もほとんどないためライフワークバランスが取りやすい職業だといえるでしょう。

刑務所で働く薬剤師の待遇

福利厚生

ここまで、刑務所で働く薬剤師の年収や時給を解説してきましたが、お金以外の待遇はどうなのでしょうか?

以下では、刑務所薬剤師の年間休日や福利厚生を見ていきましょう。

年間休日は120日以上

刑務所の薬剤師として働いた場合の年間休日数は、120日以上です。

国家公務員の求人参照:キュウサク

基本的に土日、祝日休みで、この他に有給休暇を合わせると120日以上の休日が取得できます。

厚生労働省による「平成31年就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年間休日数の平均は114.7日なので、十分な休日数であることが分かるでしょう。

福利厚生が充実

刑務所薬剤師の福利厚生は、以下の通りです。

  • 公務労災保険
  • 国民健康保険
  • 厚生年金
  • 退職金制度あり
  • 扶養手当住居手当
  • 期末・勤勉手当

この他に残業した場合は、残業手当がつきます。
国家公務員は一般企業に比べ、手当が多くつくのが特徴です。

残業はほとんどない

刑務所の薬剤師業務は残業がほとんどありません。

朝の8時ごろに出勤すると夕方の5時には、業務が終了し退勤となります。
1日の仕事量も決まっているので、急な仕事が入ることはまずないといって良いでしょう。

ドラッグストアのように営業時間が長いわけでもないので、規則正しい生活をしたい人にとってはぴったりの仕事です。

国家公務員のため全国転勤の可能性も

刑務所で働く薬剤師は、法務技官という国家公務員です。

地方公務員であれば、県をまたぐ転勤は滅多にありませんが国家公務員には全国転勤があります。
転勤は1〜3年が一般的で、同じ職場に長く勤められることはないといって良いでしょう。

家族を持っている人であれば、子どもの転校や場合によっては単身赴任を覚悟しなければなりません。

ただ、事情がある場合には転勤の移動範囲が狭かったり、転勤の間隔を延ばしてもらうなどの配慮があります。

また、転勤になった場合は赴任旅費」といって、引っ越し手当に相当する費用が支給されます。

刑務所で薬剤師として働くには

刑務所で働くために必要なこと

刑務所で薬剤師として働くには、どのように求人を探して応募すればいいのでしょうか?

以下では、刑務所薬剤師になるまでの過程や求人の賢い探し方について解説していきます。

国家公務員試験は受験せず採用される

通常、国家公務員になるには難易度の高い国家公務員採用試験に合格しなければなりません。

しかし、刑務所薬剤師の場合は、その刑事施設の採用フローに沿って採用が決まります。

試験内容は、施設によって異なりますが筆記試験と面接の2つの項目が多いようです。

ただ、以下の項目に該当する人は受験できませんので注意しましょう。

受験できない人

  1. 日本国籍を有しない者
  2. 国家公務員法第38条の規定により、国家公務員となること
    ができない者
  3. 平成11年改正の民法の規定による準禁治産者の宣告を受け
    ている者(心身耗弱を原因とするもの以外)

求人の探し方

刑務所の薬剤師求人は、安定な職種のため一度働くと定年まで勤める人が多いです。
そのため、離職率が低く採用枠が少ないというのが現状です。

ただ、人事異動などが活発な4月やボーナスが出る6月と12月ごろが、人が入れ替わるタイミングでもあるので、中途採用の場合は1月、3月、9月に求人を出す可能性があります。

掲載先は、まず国の機関であるハローワークに出すので、常に求人をチェックしておくと見逃すことがないでしょう。
そして、いつでも応募できるように履歴書や職務経歴書を準備しておいてください。

しかし、働きながら求人をチェックするのは大変ですよね。
そこで、転職エージェントなどに登録し一度相談してみるのもおすすめです。

転職エージェントは、さまざまな転職事例をサポートしているコンサルタントが在籍しているので、刑務所という特殊な職場への転職もサポートしてくれるでしょう。

おすすめの転職エージェントについては、以下の記事を参考にしてください。

必要なスキルや資格

刑務所で薬剤師として働くには、当然のことですが薬剤師免許は必須です。

刑務所で扱われる薬は基本的に後発医薬品(ジェネリック医薬品)なので、それに関する知識はあったほうがいいでしょう。

さらに、2021年の矯正統計年報による受刑者の中には精神障害を抱えている人は、全体の2割程度と非常に高いです。
そのため、精神薬の調剤経験がある薬剤師は重宝されます。

また、刑務所の薬剤師として採用されるには調剤経験者を条件としているところが多く、新卒採用は厳しいといえるでしょう。

ただ、その時出される応募条件により、調剤経験がなくても良い場合もあるので、諦めずに探すことが大切です。

刑務所という特殊な職場で薬剤師として働く意味

刑務所で働くということ

さて、薬剤師として刑務所で働くという特殊な仕事は、やりがいがある反面「囚人に医療を提供する意味はあるのだろうか?」という葛藤を抱いてしまうことも少なくありません。

そして、周りから稀有な目でみられることに引け目を感じることもあるでしょう。

しかし、たとえ受刑者であっても公平に医療を提供することは、医療人としてのやりがいと誇りを感じさせてくれます。

もしも、受刑者に対して適切な医療を提供しなかった場合、憲法が謳う「基本的人権の尊重」に反くことになります。
そうなると、受刑者は更生の機会を失い社会復帰が遠のいてしまうことになるのです。
また、矯正医療を目的とした少年院などの薬剤師は、未成年の健康を守るという大きな意味を持ちます。

つまり、薬剤師として受刑者に薬を適切に提供するという仕事は、社会的にみても非常に意味のある仕事であるといえるでしょう。

まとめ:刑務所薬剤師は”安定”が魅力の仕事

やりがいと安定を両立

ここまで、刑務所で働く薬剤師の年収や仕事内容を解説してきました。

まとめ

  • 刑務所で働く薬剤師の仕事内容は調剤・監査
  • 薬剤師は受刑者と顔を合わせること(服薬指導)は99%ない
  • 年収は約310万円〜550万円
  • 年収は高くはないが景気に左右されない
  • 福利厚生や待遇が充実している

刑務所薬剤師は、国家公務員で定年まで長く働き続けられる安定性があります。

また、年間休日120日以上や各種手当や福利厚生などライフワークバランスがとりやすい職業です。

薬剤師は、高齢化が進む刑務所内の受刑者の健康を守る重要な役割を担っています。

求人数は少ないですが、まずは求人がないかチェックするところから始めてみてはいかがでしょうか?

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