薬剤師国家試験の足切りやボーダーラインって?合格基準を確認しよう!

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「薬剤師国家試験は、何点取れれば合格できるの?」

「国試の足切りは何点!?」

 

薬剤師になるための絶対条件である国家試験の合格。

余裕で合格できるのが理想ですが、現実的には3割程度の受験者が落ちており、受験勉強で苦戦している薬学生も多いのではないでしょうか。

第105回までの薬剤師国家試験は、相対基準化の経過措置により合計点の65%が合格ラインとされていました。しかし現在では経過措置が撤廃され、合計点の足切りラインがなくなっています。

 

今回は、2022年時点での薬剤師国家試験の足切りと合格基準について解説します。

目次

薬剤師国家試験の足切り基準とは?

厚生労働省ホームページによると、薬剤師国家試験の合格基準は、次のように定められています。

4 合格基準

以下のすべてを満たすことを合格基準とすること。なお、禁忌肢の選択状況を加味する。

① 問題の難易を補正して得た総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上であること。

② 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること。

引用元:「新薬剤師国家試験について」の一部改正について(平成30年8月31日通知)|厚生労働省ホームページ

足切り基準としては、上記引用の②に注目しましょう。

<薬剤師国家試験の足切り基準>

  • 必須問題全体で、70%以上正解していること
  • 必須問題の各科目で、30%以上正解していること

「必須問題ってなに?」と思われる人もいるかもしれません。

薬剤師国家試験の問題は、「必須問題」と「一般問題」という問題区分にわかれており、さらに一般問題は「薬学理論問題」と「薬学実践問題(複合問題)」に細分化されます。

足切り基準のある必須問題とは、理論・実践の色合いの薄い基礎的な問題といえるでしょう。

 

<薬剤師国家試験の科目、出題数、足切り基準>

科目 問題区分 出題数計
必須問題 足切り基準
(各科目30%以上、
合計70以上)
一般問題
薬学理論問題 薬学実践問題

(複合問題を含む)

物理・化学・生物 15問 5問以上 30問 15問 60問
衛生 10問 3問以上 20問 10問 40問
薬理 15問 5問以上 15問 10問 40問
薬剤 15問 5問以上 15問 10問 40問
病態・薬物治療 15問 5問以上 15問 10問 40問
法規・制度・倫理 10問 3問以上 10問 10問 30問
実務 10問 3問以上 85問 95問
出題数計 90問 63問以上 105問 150問 345問

参照:「新薬剤師国家試験について」の一部改正について(平成30年8月31日通知)|厚生労働省ホームページ薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針 |厚生労働省ホームページ

足切りは必須問題だけ?

足切り基準は、必須問題だけに設定されています。

薬理、実務など各科目には必須問題と一般問題がありますが、一般問題は足切り基準がないことが特徴です。

物理・化学・生物はそれぞれに足切りがあるの?

物理、化学、生物の3教科は、ひとまとめで「1科目」としてカウントします。

そのため、たとえば物理の出題でひとつも正解できなくても、化学や生物で5問以上とれていれば、足切り基準はクリアできます。

第101回から合格基準が変更された!

薬剤師国家試験の合格基準は、第101回から変更されました。

変更点は以下の3つです。

<薬剤師合格基準の変更点(第101回以降)>

  • 必須問題の足切りが50%→30%へ引き下げ(基準緩和)
  • 一般問題の足切りがなくなった(基準緩和)
  • 合計点の最低ラインがなくなった(105回まで経過措置あり)

合格基準の合格基準の推移を、表にまとめました。

<薬剤師国家試験の足切り・合格基準>

合格基準 第100回まで 第101回以降 第106回以降
必須問題の各科目 70% 70% 70%
必須問題合計 50% 30% 30%
一般問題 35% 足切りなし 足切りなし
合計点 65%以上 相対基準化

経過措置で65%

完全相対基準化(65%以上の基準撤廃)

必須問題の足切り基準の引き下げ(緩和)は受験生にとって嬉しく感じることかもしれませんが、実際にはそれほど「ラク」に直結しているわけではありません。

なぜなら、各科目の必須問題はもともと10~15問程度と少ないため、50%から30%にライン引き下げになっても大差がないからです。足切りが基準が5問から3問へ、8問から5問へとゆるくなっても、2~3問の差えでしかありません。

必須問題の合計点を70%以上とらなければならない点は不変なので、結局はいずれの科目もまんべんなく足切りラインを突破できるような学力が不可欠です。

 

足切り基準の変更以上に重要なのが、合格点の相対基準化です。

相対基準化については後述します。

足切りだけじゃない! 禁忌肢ミスで不合格も!?

第104回国家試験から導入された、禁忌肢についても注意が必要です。

禁忌肢とは、「薬剤師として選択すべきでない選択肢」のこと。

薬剤師に高い倫理観と使命感が求められることを理由に、不適切な知識を持った受験者を識別するために作られた出題が禁忌肢です。

<どんな問題が禁忌肢になるか>

    ただし、どの問題が禁忌肢なのか、何問の禁忌肢があるのかについては非公開となっています。

    間違えても一発不合格になるわけではなく、禁忌肢問題の選択が2問以上であれば不合格にはなりません。(参考:第107回薬剤師国家試験合格基準及び正答について|厚生労働省ホームページ

    ……裏を返すと、3問以上の禁忌肢を選んでしまうと、他の正解率がどれほど高くても国試不合格になります

    禁忌肢はどの程度危険なのか!? 合格率への影響は?

    禁忌肢の数や内容が非公開である以上、禁忌肢のせいで不合格になってしまった人の数は分かりません。

    どの程度のリスクがあるのかも、明確には把握できないでしょう。

    しかし、禁忌肢が導入される前後で、合格率はほとんど変化がありません。

    試験回次 合格率
    第102回 71.58%
    第103回 70.58%
    第104回(禁忌肢導入) 70.91%
    第105回 69.58%
    第106回 68.66%

    禁忌肢があってもなくても合格率に大差ないということは、禁忌肢を恐れすぎずに手堅く勉強していけば合格できるという解釈につながります。

    【完全相対基準】何点取れば合格できるか分からない!?

    第100回国家試験までは薬剤師国家試験の合格基準は総得点の65%以上という絶対基準でしたが、101回以降は平均点と標準偏差による相対基準に変更されています。

    いきなり基準を変更すると教育現場や受験生が混乱してしまうため、経過措置として第105回までは総得点の65%以上という合格基準が維持されてきました。

    総得点については、これまでの得点率による絶対基準を見直し、平均点と標準偏差を用いた相対基準により合格者を決定する。その際、これまでの絶対基準を用いた合格基準でなくなることによる教育の現場や受験生の混乱を回避するため、当分の間、全問題への配点の 65%以上であり、他の基準を満たしている受験者は少なくとも合格となるよう合格基準を設定する。

     

    引用元:薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針 |厚生労働省ホームページ

    しかし、第106回からは経過措置も撤廃されて完全相対基準化されて合計得点の足切りラインが分からなくなり、合格発表当日までは最低点が分からなくなりました

    受験生にとっては、「何点取れば合格できるか分からない」というのは不安の種となりうるでしょう。

    近年の薬剤師国家試験の合格推移

    薬剤師国家試験の合格率は、近年は70%前後で推移しています。

    6年制薬学部設立以来初めての国家試験であった第97回以降の、合格率の推移を見ていきましょう。

    <薬剤師国家試験受験者・合格者・合格率の推移>

    試験回次 実施年 受験者数 合格者数 合格率 備考
    97回 2012年 9,785人 8,641人 88.31% 6年制初の国試
    98回 2013年 11,288人 8,929人 79.10%
    99回 2014年 12,019人 7,312人 60.84%
    100回 2015年 14,316人 9,044人 63.17%
    101回 2016年 14,949人 11,488人 76.85% 合格基準変更
    102回 2017年 13,243人 9,479人 71.58%
    103回 2018年 13,579人 9,584人 70.58%
    104回 2019年 14,376人 10,194人 70.91% 禁忌肢導入
    105回 2020年 14,311人 9,958人 69.58%
    106回 2021年 14,031人 9,634人 68.66% 完全相対基準化
    107回 2022年 14,124人 9,607人 68.02%

    参照:試験回次別合格者数の推移|厚生労働省ホームページ第107回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省ホームページ

    6年制薬学部の学生が初めて国家試験に臨んだ97回が、近年では最も合格率の高い年次でした。

    その後の乱高下を経て現在では60%台後半で推移し、全体的には昔よりも合格率は低めの傾向にあります。

    薬剤師国家試験の難易度は上がっている!?

    4年制薬学部の時代には合格率は概ね80%前後であったのに対して、直近では60%台後半であり、合格しにくい状況が見て取れます。

    しかし、難易度が上がったか否かについては、議論が分かれているようです。

     

    合格率が下がった要因として「薬学生の学力低下」と「思考型問題の出題増加」が背景にあるといわれています。

    2000年代前半に規制緩和で薬学部の増設が相次いだ結果、基礎学力に未熟な点があったり、必要な薬学教育が身についていなかったりする学生が多くなり、国家試験の合格率低迷の一因となっています。

    また、国家試験で総合的な思考を要する出題が多くなっているため、ただキーワードを暗記するだけでは対応できない問題設計となってきています。

    必須問題で足切りされない基礎力を高めつつ、総合的な思考力を生かして正答できるような受験対策が欠かせません。

    足切りをラクラク突破できる学力を身につけよう

    国家試験の足切りは、必須問題の合計点で70%以上の正解、必須問題の各科目で30%以上の正解となっています。

    また、禁忌肢が設定されており、医療人として不適格な解答(禁忌肢の誤答)を3問以上してしまうと、国家試験不合格になります。

     

    「合格率65%以上で合格」といわれていたのは、もはや過去の話です。現在は完全相対基準化されているため、合計点の足切りを考えることができません。

     

    近年の国家試験では、総合的な思考力を問われるようになっており、付け焼刃の知識では対応しきれません。

    日々の学習を重ねて、安心して国試合格できるように備えていきましょう。

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