公開日

2022/05/26

最終更新日

【看護師年収】平均年収は700万〜800万?1000万〜2000万も狙える?内情を解説!

一般的に「高給取り」と言われることも多い看護師。そんな看護師ですが、本当に高い給与水準で働くことができているのでしょうか。実際に働く看護師からは「給料と仕事内容が見合っていない」「給料をもっと上げてほしい」という声も数多く上がっています。そこで本記事では、「看護師の給与水準は本当に高いのか」「看護師の給料を上げる方法」についてご紹介します。最後までお読みいただき、あなたの看護師としてのキャリアプランの参考にしていただけると幸いです。

看護師の年収はどれくらいなのか

厚生労働省のデータでは、看護師の給与の全国平均は491.8万円となっています。男女差はほとんどなく、夜勤ありの病院で働く看護師の多くが500万円前後の給料を得ています。この情報だけを見ると、確かに高給取りと思われるかもしれません。しかし、看護師の給料は夜勤手当が大きな割合を占めるという特殊な事情もあります。夜勤をしなければ給料がガクッと下がってしまうのです。さらに、看護師の昇給幅は他の医療職(薬剤師や放射線技師など)と比較してもかなり小さく、経験年数を重ねても余り昇給しないという現状もあります。このため、中堅以降の看護師は業務の責任に対する給料が少ないのではないかと感じてしまうことも多いのです。

年収を上げるための方法

看護師が給料を上げる方法はいくつかあります。ここでは次の4つについて詳しくご紹介します。しっかりと確認して、あなたに合った方法があれば、是非、取り入れてみてください。

  • 管理職への昇進を目指す
  • 資格を取得する
  • 転職を検討する
  • 副業を始める
  • 資産運用・投資を始める

管理職への昇進を目指す

看護師の昇給幅は少ないと言っても、役職に就くと役職手当がもらえる場合も多いです。特に、看護部長などの病院経営に近い役職になれば年収はかなり上がります。しかし、看護部長は基本的に各病院で1人という狭き門。誰でも慣れるという訳ではないため、常日頃からの努力が必要です。

資格を取得する

認定看護師や専門看護師などの資格取得で資格手当が支給される場合もあります。しかし、認定看護師や専門看護師への資格手当はまだあまり浸透しておらず、手当の支給がない病院や月に5000円程度しかもらえない病院もあります。それに対して、資格取得には大きな費用と労力がかかるのでコストに見合わないと考える看護師も多いです。スキルアップも兼ねての資格取得はおすすめですが、給料アップのためだけに資格取得を目指すのはコスパが悪いと言わざるを得ません。

転職を検討する

今勤めている職場で年収UPが見込めない場合、転職をすることも一つの手です。そして、転職で年収UPを目指すのであれば、給与交渉が必須です。給与交渉の成功率が高い施設としては、個人経営の病院や療養型の医療施設、訪問看護ステーションなどのような比較的新しい形態の職場が挙げられます。歴史のある大規模な病院になればなるほど、給与形態は細かく決まっており、交渉の余地がない場合が多いです。また、給与交渉には前職の源泉徴収票などがあれば交渉を有利に進めることができます。もしも、あなたが自分自身で病院(施設)との交渉を行うのが難しいと感じるのであれば、転職サイトなどを活用し、代わりに給与交渉を行ってもらいましょう。

副業を始める

今の職場での勤務を続けたまま、年収のみを増やしたい場合には副業も視野に入れましょう。おすすめの副業としては、他の病院でのアルバイトや医療系ライター、ブログ執筆などが挙げられます。しかし、副業は自分の時間を削ってお金を稼がなければならないため、今の仕事で精一杯という人にはおすすめできません。また、副業を禁止している病院や施設もまだまだ多いため、副業を始めるのは勤め先の病院(施設)の就業規定を確認してからにしましょう。

資産運用・投資を始める

資産運用や投資は副業禁止の職場でも許可されています。最近では、積み立てNISAやiDeCoなど税制的にも優遇されている商品もあります。給与が安定している看護師にはおすすめの方法です。一方で、投資にはリスクもあるので注意は必要です。購入する商品をしっかりと調べた上で始めましょう。

年収が高い職場の特徴

将来的に年収UPのために転職を考えている人のために、年収が高い職場の特徴をご紹介します。年収が高い職場は次の4つの特徴のいずれかに該当する場合が多いです。

  • 自由診療がメインの病院
  • 規模が大きい病院
  • 高い技術が求められる施設
  • 民間企業が運営している病院

自由診療がメインの病院

自由診療を積極的に行っている病院は年収が高い場合が多いです。年収が高い大きな要因としては、業績次第でインセンティブやボーナスが給与に加算されることが挙げられます。自由診療がメインの病院のデメリットとしては、遅い時間まで開院していることが多いため、拘束時間が長いという点やシフトが不定休という点があります。

規模が大きい病院

大規模な病院は昇給制度などが整っている場合が多いです。さらに、教育制度や資格取得手当、子育て支援などの福利厚生も充実している病院がほとんどです。また、都心に近ければ近いほど給料が高くなる傾向にあります。規模が大きい病院の中でも、都心の私立大学病院は給料水準がトップクラスです。

高い技術が求められる施設

高い技術レベルが求められる病院や施設も給与水準は高い傾向にあります。高い技術が求められる施設には救急救命病棟や集中治療室があったり、化学療法をおこなっていたりという特徴があります。また、配属先によっては危険手当や特殊業務手当などの追加手当が支給される場合もあります。

民間企業が運営している病院

民間企業が運営していて経営状態が良い施設では高収入を得やすい特徴があります。基本給が高めに設定されている病院もあれば、経営状態に応じて高いボーナスが支給される場合もあります。

給与水準が高い職場の具体例

では、具体的に給与水準が高い職場はどういった職場なのでしょうか。具体的な職場の例をいくつかご紹介します。

  • 300床以上の病院
  • ICU(集中治療室)
  • 夜勤専従看護師
  • 介護老人保健施設
  • 一般企業
  • 美容クリニック

300床以上の病院

300床以上の病院は先ほどお伝えした規模の大きな病院に含まれます。そのうち、総合病院の平均年収は約465万円、大学病院の平均年収は約490万円と高水準の年収となっています。しかし、看護業務量が多く、夜勤・残業も多いというデメリットも。重症度の高い患者が多いため、身体的負担やストレスから短期退職をしてしまう看護師も多いという特徴もあります。

ICU(集中治療室)

ICU勤務の看護師の平均年収は約550万円と大規模病院の看護師の給与の中でも高い水準です。ICUでは重症度の高い患者への対応に特殊業務手当がつく場合もあります。また、夜間でも看護師の人数が多く必要なため、他の病棟よりも夜勤回数が多くなる場合もあります。

夜勤専従看護師

夜勤回数を増やしたり、夜勤専従看護師として働くと給料は上がります。深夜の勤務は深夜割増賃金となり、日中の勤務の1.25倍以上の給与が発生します。それに加えて夜勤手当がつくので、日勤のときよりも給与水準はかなり上がると考えられます。しかし、看護師の夜勤は基本的に月72時間以内と決められています。そのため、希望通りに夜勤に入れない場合もあります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設の常勤看護師の平均年収は約540万円と高く設定されています。しかし、介護老人保健施設のような高齢者福祉施設は職員の勤続年数も長い場合があるため、初任給はそこまで高額にはならない可能性もあります。

一般企業

最近では、医療機器メーカーなどの看護師が活躍できる一般企業が増えてきました。一般企業での看護師の働く場は広がりつつあり、現在ではフィールドナースや医療系コールセンター、治験、心理カウンセラー、産業看護師など幅広いものとなっています。一般企業の中でも、外資系企業であれば給与水準も高く設定されている場合が多いです。しかし、一般企業の求人数はまだまだ少なく、外資系企業であればビジネスレベルでの英語力を求められるなど、看護師以外の能力が求められることも多いです。

美容クリニック

美容クリニックも給与水準が高く、全国平均で約580万円前後と言われています。また、美容クリニックでは社内割引などが使えるクリニックもあり、安く化粧品などを手に入れることができることも。一方で、美容クリニックでの勤務は臨床経験と見なされない場合も多く、今後看護師としてキャリアを積みたいと考える人にはおすすめできません。

その他の施設の給料

参考として、先ほどご紹介した施設以外の施設の平均給与と特徴もご紹介します。これからご紹介する施設は、給料はそこまで高くなくても、余裕をもって働くことができるなどのメリットがあります。

クリニック

クリニックは場所や分野によって年収はバラバラではありますが、平均で約390万円とされています。クリニックは基本的に夜勤が無く、余裕のある勤務が可能です。また、固定休で予定を立てやすいというメリットも。大きな病院との違いとしては勉強会や委員会がなく、医師の診療の補助がメインという点が挙げられます。最新の知識を得ることは難しい場合もありますが、医師に付いて患者の診療にあたるため、治療の基本的知識やスキルを学ぶことができます。

介護施設

介護施設は様々な形態があり、先ほどご紹介した介護老人保健施設もあれば、有料老人ホームや認知症グループホームなど多くの施設を含みます。それぞれの施設で看護師の働き方は異なりますが、基本的に生活の介助が主な仕事となります。医療行為はほとんどないことが特徴です。クリニックとは違って夜勤がある場合もありますが、急変リスクは低く、落ち着いて過ごすことができます。施設によっては勉強会や研修会、レクリエーション等の企画・運営などで残業が多少ある場合も。

転職をする時に考えること

転職を考える時には、転職先の年収を考えることは非常に重要です。しかし、年収だけを見ることは意外と危険な場合もあるのです。ここでは転職をするときに注意したいポイントについてご紹介します。

  • 年収だけ見るのは非常に危険
  • 基本給をしっかりとみる
  • 人間関係は重要
  • 通勤はできる範囲か
  • やりがいを感じるか

年収だけ見るのは非常に危険

仕事をする上で給料は非常に重要です。お金が無ければ生きていけませんし、あなたの趣味を満喫することも難しくなるかもしれません。しかし、看護師転職においては年収だけを見て転職をしてしまうと、後悔してしまう場合が多いのです。看護師の職場の中で年収が高い職場はほとんどの場合、「業務内容が激務」「人員不足」のどちらかに当てはまります。他の人があまりやりたがらない仕事だから、年収が高く設定されているのです。

年収だけを見て、このような職場に転職してしまうと「思っていたのとは違った」と短期間で転職を繰り返してしまうことになることも。仕事自体を続けることができても、体調を崩しがちになってしまうこともよくあります。年収だけでなく、仕事としてあなたが続けていくことができるのかという観点からも考える必要があります。

基本給をしっかりとみる

求人情報を見ていると、月額の総額の給料だけが記載されていて、基本給の内訳が書かれていない求人なども存在します。そのような求人は給与の総額が高めでも注意が必要です。そういった求人は基本給が低く、手当が多いという場合があります。ボーナスには基本給が影響するので、基本給が少ないと年収ベースで見たときに収入が少なくなってしまう可能性があります。手当に固定残業代がついており、基本的に残業代が出ない仕組みになっているという場合も。求人情報を見る際には、しっかりと給与の内訳まで確認するようにしましょう。

人間関係は重要

仕事をする中で人間関係は非常に重要です。特に、看護師は同僚とコミュニケーションを取らないと仕事がうまく回らない職業です。勤務条件が悪くないのに、給料が異常に高いという職場は人間関係などの環境が整っていない場合があります。転職活動では、面接などで職場を訪れた時に、職場の雰囲気や患者さんの表情などをしっかりと観察しましょう。

通勤はできる範囲か

給料の高い職場の特徴の一つとして、かなり辺鄙なところにある病院が挙げられます。通勤は毎日のことなので、無理なく通うことができるということが大事です。通勤時間も含めた勤務時間を時給換算で計算してみるのもおすすめです。通勤時間も本来であれば他の有意義な時間として活用できる時間ということを念頭において、求人を探してみましょう。

やりがいを感じるか

看護師として働くうえで、やりがいは非常に重要なポイントとなります。看護師のように医療や福祉の現場で働く人には当たり前に感じるかもしれませんが、患者や利用者に直接触れ合い、感謝されるような職業はそう多くはありません。そういった人との『かかわり』にやりがいを感じている看護師は実は多いのです。転職してから、なんだか物足りなくなったと感じる看護師も少なくはありません。転職を考える際には、あなたが何を大事にして働いているのかを今一度考えてみてください。そうすることで、転職した後もイキイキと働くことができるでしょう。

看護師の年収は働き方によって上げることもできる

ここまで、看護師の年収についてお話してきました。いかがだったでしょうか。看護師は働き方や働く場所の選択次第で年収を上げることは十分可能です。しかし、年収だけを見て転職をしてしまうと、激務で体調を崩してしまったり、人間関係に悩むことになってしまったりということも。仕事をする上で年収は非常に大事な項目ではありますが、働く上で大事なのはお金だけではないはず。他の要素もしっかりと見て、後悔のない転職をしてください。満足のいく職場に出会えることを心よりお祈り申し上げます。

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash