公開日

2022/05/26

最終更新日

【産業看護師】看護師の資格を活かして企業へ転職!企業で働く看護師について徹底解説!

看護師の勤務先は、病院だけではありません。最近では、看護師だけでなく、その他の医療職でも、資格を生かして活躍できる現場は拡大しています。「今の職場とは違った環境で働きたい」「せっかくの資格だから、生かしたいけど、病院以外の転職先ってあるの?」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?そこで本記事では、看護師の転職をテーマに「看護師から企業への転職」に焦点を当てて解説していきます。現在、病院などの医療現場で看護師として現在働いている方で転職を検討している方は是非参考にしてみてください。

看護師の転職の現状

看護師は国家資格であり、誰でもなれる職業ではありません。一方で、日本看護協会の「2020年 病院看護実態調査」によると、利息率は、毎年10〜11%という数値が出ており、決して低い数値とは言えません。代表的な転職をする理由として多いものを以下の通りです。

引用:厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」(平成22年度)

上記の調査結果から見て取れるように、最も多い退職理由は出産・育児、結婚などのライフイベントを機に退職を検討する人が最も多いことがわかります。また、休日が取れない・取りづらい、夜勤による負担など、ワークライフバランスが取りにくいことによる退職を検討する人が多いようです。看護師は、人の命を預かっているため、24時間365日対応が必要になります。そのため、夏休みや年末年始などの長期休暇や、毎週の休日などが希望通りにならないことが多いのが実態です。高齢化、ウイルス感染症の流行、人手不足など、様々な要因による需要の高まりと一人あたりの負担の増大により、ワークライフプランはより一層取りにくい職業であるとも言えます。そのため、看護師から転職してワークライフバランスを充実させたいと考えている人は増えているようです。 

看護師は企業でも活躍できるの?

結論、看護師は病院以外へも転職し、活躍することができます。もちろん、医療機関だけではなく、企業で働くことも選択肢の1つです。看護師の活躍する現場は年々拡大しており、決して病院だけではなくなっています。

看護師が企業へ転職

企業において、看護師は今までの実務経験で培った資格や経験・スキルを生かすことはできるのでしょうか。実際、「病院以外で看護師としての知識を活かすことができるの?」と思われる方も多いかと思います。せっかく努力して取得した国家資格。次の職場でも資格と今まで培った経験・スキル・知識を生かして活躍したいですよね。現代では、高齢化が進み、病院や医療職の方だけではなく、医療とは全く関係のない一般企業やその他の一般の方でも健康に対する意識は年々高まっています。また、最近では社員の健康を重視して、喫煙者の採用をしないという会社が出てくるほどに。しかし、一般企業で働く人々の中には、医療や健康に関する高度な専門知識を持った人材はなかなかいません。そこで、一般企業においても医療的な専門知識を持った人材の需要は高まっており、重宝される存在となってきています。看護師は国家資格のため、誰でもなれるわけではなく、国家資格を持っているというだけでも大きな強み・武器となるのです。これは、病院だけではなく、その他の一般企業においても同じと言えます。

今までの経験や知識を生かせる職場で働きたい

病院ではなく、一般企業にて勤務する看護師を「産業看護師」もしくは「企業看護師」と言います。企業で働く上で、医療資格を持っていることが必須の場合や、必須でなくても資格を持っている、実務経験があることが、選考においては優遇されるポイントになります。資格を生かして企業で働くことができる環境は大きく3つに分けられます。

社内の医務室・健康管理の部署で勤務

最近では、従業員数が多い企業や規模の大きい企業には、社内に医務室が設置されていたり、社員の健康管理を専門の仕事とする部署が設置されていたりします。社内に医務室や健康管理の部署を設置するには、設備面、人件費などコストがかかるため、規模の大きな企業がほとんどです。主な業務内容は以下の通りです。

業務中の怪我や急病への対応

業務中の怪我などは、業種や業務内容によってはあまり発生しない場合もありますが、例えば化学薬品を扱う会社などは危険物なども多く、事故が発生することもあります。また、夏場は熱中症で体調を悪くする従業員、突然の発作や怪我をしてしまう場合も充分にあります。その場合の応急処置をしたり、必要であれば救急車を呼んだり、病院に送るなどの判断も委ねられます。

健康診断の実施・結果へのフィードバック

会社に限らず、生活習慣病などの患者も増えており、健康な体が失われては仕事を行うことが無難しくなります。そのため、会社としては、「健康」に対する意識を高め、社員の健康な体を維持することも重要な役割の一つと言えます。そのため、会社の規模に関係なく、健康診断の実施は企業の義務として、労働安全衛生法で定められています。この健康診断の実施、そして結果に応じて、社員へのフィードバックをし、病気の早期発見や予防をすることが、産業看護師の仕事の一つになります。 

日々の保健指導や健康相談

職場によっては、産業保健師がいる場合もあり、その場合、産業看護師は保健師のサポートを行うこととなります。しかし、産業保健師がいない職場も少なくありません。その場合は、看護師が健康診断の結果に応じて、生活習慣病の予防のための追加検診や生活の助言などを行うこともあります。また、社員から要望があれば、社員とコミュニケーションを取りながら日々の健康に関する相談を受けることも仕事の一つとなります。これらの活動を通して、社員一人一人にも健康に対する意識を高めてもらうことが大きな目的です。

社員の精神的やケアやサポート

最近では、パワハラや激務などが原因で、精神的な病気になってしまったり、最悪の場合、自殺してしまったりなどのニュースが流れることもしばしばあります。このような社員の自殺防止や精神病の発症予防など、体の健康だけではなく、心の健康を請け負うこともあります。心理カウンセラーの仕事ですが、健康管理と一括して産業看護師が行うことが多いのです。職場環境、人間関係、業務内容など、ストレスを感じる要素はたくさんありますが、そう言った中で、相談相手になったり、改善策を提案したりすることで、社員の気持ちを少しでも楽にすることが重要です。

製薬会社や医療機器などを扱う医療関係の企業で勤務

製薬会社や医療機器を扱う会社では、やはり医療に関する専門知識を兼ね備えた人材は重宝されます。このような企業では以下のような業務が挙げられます。

営業職

営業職として、自社の製品や商品知識は必須です。その中でも、製薬会社の場合は薬品、医療機器関係の場合は医療機器の知識が必要となり、看護師としての医療知識が非常に有効となります。また、看護師として現場の最前線で勤務していたことで、病院や現場でのニーズや困りごとなどが掴みやすく、専門用語についての知識も兼ね備えているため、業務がスムーズに進むのです。これは、企業にとっても、クライアントとなる病院などにとってもメリットになります。

クリニカルスペシャリスト

クリニカルスペシャリストとは、営業職として働く人のサポートをする仕事です。営業職であれば、ある程度の商品知識などは兼ね備えていますが、看護師の経験とより高度な専門知識でサポートすることで、営業職の業務をサポートすることができます。具体的には、クライアントとなる医療機関等で、自社の医療機器などの利用方法の説明や導入に関する注意点などを実際に使用してみせたりなどを行います。つまり、今までの現場での経験や培った知識を活用して、説明会を行うなど、営業活動のサポート全般を担います。

コールセンター

営業職以外にも、各企業のお客様相談室やコールセンターなどで、お客様からの問い合わせや健康相談に応じる仕事もあります。これらも、人々の健康に関する相談や商品への問い合わせなどがほとんどなため、専門的な知識が必要となります。

治験を受託している企業で働く

治験とは、製薬会社が開発中の薬品を、実際に健康な大人や患者に対し投与することで、効果や安全性、適正量や投与方法などを確認することです。医薬品開発業務受託機関(CRO)と呼ばれる、治験を受託して実施する機関に対し、製薬会社が治験の実施を依頼することで行われます。この医薬品開発業務受託機関の中にも、看護師の活躍する場所があります。

治験コーディネーター(CRC)

治験コーディネーターは、製薬会社・医薬品開発業務受託機関・被験者の間に立って、スムーズに業務が進むようサポートします。具体的には、被験者に対する治験の内容の説明、被験者の健康面・精神面の相談相手になるなど、治験中における被験者のサポートすることがメインとなります。

臨床開発モニター(CRA)

臨床開発モニターは(CRA)は、治験の実施が決定した後から、治験の活動の全体の管理とモニタリングを担当します。まずは治験の開始前に、治験がスムーズに進行するよう、SOPと呼ばれる手順書を作成します。このSOPに従って、計画通り治験が進行しているかを管理していきます。そして、治験が始まったら、治験薬の交付・管理を行います。治験薬は温度や環境など保存方法、数量なども徹底的に管理する必要があります。これらに不備がある場合は、臨床開発モニターが指摘します。また、日々の治験でモニタリングした内容に関して、報告書にまとめて記録していきます。そして、治験終了時には、数量などの確認、文書の確認などを行い、終了の報告通知を出して治験は終了となります。これら、治験開始から終了までの一連を管理・記録をするのが臨床開発モニターとなります。

看護師が企業へ転職するメリット

ここからは、産業看護師として、社内の医務室や健康管理の部署で働く場合を想定して解説していきます。看護師が病院ではなく、企業で働くことはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとして、以下の4つが挙げられます。

・ワークライフバランスが得られる。
・大きなプレッシャーと戦いながらの業務が減る。
・肉体的な負担が軽減される。
・福利厚生が充実している。 

ワークライフバランスが得られる

産業看護師は、基本的に企業ごとの営業時間に沿って勤務することになるので、多くの企業は9時〜18時の勤務時間で設定されています。また、企業にもよりますが、休日は土日祝と固定されている企業も多いのです。冒頭でも述べた通り、病院で働く看護師の退職理由で最も多いのが、子育て・出産・結婚などのライフイベントです。病院は、人間の命を預かる職場でもあるため、24時間365日対応が必要です。そのため、毎週の休日はなかなか希望通りにできない、夏休みなどの長期休暇が取りづらい、休日でも呼び出されることがある、夜勤もあるため生活リズムが他の人とは合わないなどから、プライベートも充実させることや、結婚、出産などをすると、家族との時間を作ることなどが難しくなります。しかし、企業であれば、夜勤もなく、休日、勤務時間は固定されていることが多いので、プライベートも充実し、ワークライフバランスが得られることは大きなメリットの1つと言えます。

大きなプレッシャーと戦いながらの業務が減る

看護師は、人間の命を預かる仕事。たった1つのミスでも、最悪の場合、人の命を奪いかねない仕事でもあります。そのため、日々の業務は医療ミスなど、大きなプレッシャーの中で業務を行うことになります。一方、企業では、大きな医療処置をすることはないので、そのような医療ミスによるプレッシャーのもとで働くこともないため、精神的な負担は軽減されます。 

肉体的負担が軽減される

企業では、主にデスクワークが多く、また業務内で相手とする人々は、入院患者などではないため、生活の援助などは不要となります。そのため、肉体的な負担は軽減され、病院にくらべ疲労が溜まりにくくなるでしょう。看護師は、基本的に立ち仕事が多く、また入院患者の対応を行う場合は、生活の援助も必要になります。移動の援助、排便・排尿の援助、食事の援助など、肉体的にも精神的にも負担の大きい業務が多くなります。そう言った業務のない産業看護師は、負担が軽減されるため、自分自身のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上にもつながるでしょう。

福利厚生が充実している

一般的に、社員の健康管理のために看護師を雇用する企業は、規模の大きな企業がほとんどです。そのため、給与などの待遇や福利厚生なども充実しており、病院での勤務年数などにもよりますが、場合によっては、病院よりも高い給与がもらえることも。病院は、年功序列が強く、勤務年数が長ければ長いほど給料は上がっていくシステムですが、企業は、今までの勤務経験で給与が決まる傾向があります。しかし、デメリットでも紹介しますが、給与に関しては企業によって異なるので、逆に下がってしまうケースもあります。給与・福利厚生などの待遇面や、休日・勤務時間などは、募集要項などに記載されているので、必ず事前に確認しておきましょう。

看護師が企業へ転職するデメリット

一方で、看護師が企業へ転職することは、メリットだけではありません。しかし、デメリットを先に知っておくだけで、転職した際にギャップを感じることが少なくなるため、ここで紹介していきます。デメリットは以下の通りです。

・現場での感覚や、医療処置のスキルが低下ことも。
・頼れる同僚や職員が少ない。
・医療の専門知識以外の勉強が必要な場合も。
・給与が下がる可能性がある。 

現場での感覚や、医療処置のスキルが低下することも

産業看護師として勤務する場合、病院のように患者さんを相手に仕事をすることはほとんどありません。そのため、患者さんに対する対応・援助方法などの医療処置のスキルや、実際の現場での感覚が低下する可能性もあります。産業看護師として勤務する場合には、低下して困ることはあまりありませんが、もし将来的に病院での勤務に戻ることになった場合もあります。その場合、現場での感覚、医療処置スキルなどを再び取り戻すところから始めなければいけないため、ブランクを感じ、より負担が大きくなることもあり得ます。

頼れる同僚や職員が少ない。

産業看護師は1~2人で行うことが多いです。病院などであれば、周りで勤務している人は、専門知識を兼ね備えた医療スタッフばかりですが、産業看護師の場合は、先輩・同僚がいない場合もあります。また、デスクワークがメインとなるため、慣れない仕事に初めは心細く感じたり、ストレスを感じたりする方もいます。 

医療の専門知識以外の勉強が必要な場合も。

一般企業で働くことで、最も必要な知識としてビジネスマナーが挙げられます。病院ではそこまで求められなかったビジネスマナーは企業では話が変わってきます。病院では、関わる対象は主に「患者さん」でしたが、産業看護師が関わる対象は、あくまで「患者さん」ではありません。社内の重役の方と関わることもあれば、会社の取引先の方と関わる場面もしばしばあります。そのため、基礎的なビジネスマナー、メール送信時の文章、資料作成(ExcelWordPowerPoint)などは、しっかり覚える必要があります。病院でそこまでマナー教育をされていなかったり、重要視されていなかったりすると、また1から覚え合いといけなくなるため、初めは負担に感じることもあるかもしれません。

給与が下がる可能性がある。

産業看護師として勤務するにあたって、メリットでも紹介した通り、夜勤がありません。残業もほとんどありません。つまり、病院時代にもらっていた夜勤手当が単純になくなるということになります。その分、給与は少なくなる場合も充分にあります。しかし、給与に関しては、企業にもよりますし、夜勤手当てはなくなってしまっても、その分基本給が高いために、結果的に給与が上がったということも充分にありえます。これらについては、入社前に必ず募集要項などを確認するようにしましょう。

産業看護師の年収は?

産業看護師の年収は400~500万円ほどが一般的な平均といわれています。月収は25万円前後。病院で働く看護師の一般的な年収が480万円〜520万円と言われています。年収自体はあまり大きな差はないため、産業看護師は夜勤がなく、休日がしっかり設けられているという観点からすると、かなり優遇されているのではないでしょうか。雇用形態も、正社員として募集しているところもあれば、パートや契約社員として募集している企業もあります。場合によっては、固定給ではなく、持久性のところもあるので、注意しましょう。メリット・デメリットでも紹介した通り、給与や待遇面は、企業によって大きく異なり、雇用形態によっても、給与に大きな差が生まれます。入社前に募集要項などしっかり確認して、企業選びに役立て、失敗しないようにしましょう。

産業看護師にはどんな人が向いている?

産業看護師に向いている方の特徴は、主に2つあります。

・コミュニケーションを取ることが得意な人
・色々な知識を取り入れ向上しようとする人 

産業看護師は、色々な方々と関わる機会があります。産業看護師を雇う会社は、規模が大きい会社が多いので、役職や年齢層もバラバラです。また、病院看護師のように、担当患者といったものもなく、基本的に前夜院が対象となります。産業看護師の仕事内容のところでも紹介しましたが、場合によってはパワハラや激務などで心を病んでしまった社員の精神的なケアやサポートを行う場合もあります。そのため、産業看護師の仕事全体を通して重要なのが、「コミュニケーション」です。病院での患者さんとの関わりでも同じことが言えますが、重役の方も含め、色々な従業員とのコミュニケーションを通して、社員の健康を促進していくことが重要です。また、デメリットのところでもご紹介した通り、職場が変われば、組織文化や風土、接し方、仕事の進め方等も異なります。それに応じて、新たな知識を増やしたり、仕事を進めていくうちに、勉強をして覚えることもたくさん出てくるでしょう。その時に、向上心を持って取り組んでいくことが非常に重要です。

病院から企業へ!どうやって転職するの?

では、いざ病院から企業に転職して産業看護師になる!と決断しても、実際、何から始めて、転職にあたって何に注意すればいいのでしょうか?

産業看護師になることは難しい?

産業看護師という職業は、苦労してとった国家資格や今まで培った経験とスキル・知識を直接活かせる職業でもあり、さらには、退職理由の上位である要素を解消して働くことができるということもあり、非常に人気の高い仕事です。そのため、産業看護師の求人倍率は40倍とも言われています。しかし、現在では産業看護師の求人は規模の大きな会社が多いですが、業界全体での社員の健康への意識は高まっており、産業看護師の求人も、今後は中小企業、ベンチャー企業など、さらに拡大していくことも充分に考えられます。 

産業看護師の求人の見つけ方

上記の通り、産業看護師は倍率40倍と言われるほど、非常に人気の高い仕事なので、さまざまな求人が載っているような一般的な転職サイトでは非公開になっていることも珍しくありません。そのため、産業看護師を専門にした転職サイトやエージェントを利用することが最も効率よく近道と言えます。人気の高い職業であるため、いかに効率よく多くの求人に当たるかが、転職を成功させるカギとなります。

産業看護師の選考で前職の退職理由を伝える上で注意すべき点

退職理由は伝え方一つで、ネガティブな印象を持たれかねません。そのため、「前職の退職理由をどう伝えたらいいかわからない」「正直に答えない方がいい?」と言ったような不安の声が多く見受けられます。ここでは、退職理由・転職理由を伝える上で、注意すべき点を解説していきます。注意すべき点として、以下の3つが挙げられます。

  • 明らかに我慢が足りない
  • 考え方に偏りがある
  • 前の職場への批判や愚痴をひたすら述べている。

これらに当てはまると、せっかく話していてもマイナスな印象を持たれるだけです。特に、前の職場への批判や愚痴をひたすら述べていると、仮に採用しても同じように批判や愚痴を言って辞めていくのではないかという懸念点も残ってしまいます。

企業選びで注意する点・選び方

産業看護師に転職する際、「入ってみたら思っていたのと違った」と言うギャップをできる限り無くすために、注意すべき点はどのようなものがあるのでしょうか。順に解説していきます。

転職の目的、働きたい条件や環境を明確に

そもそもなぜ転職をしたいと思ったのか、どんな職場環境・条件のもとで働きたいのか、これだけは譲れないというポイントなどをまずは整理しましょう。これらが明確になっていないと、転職活動は思うように進まず、ゴールが見えなくなり、転職できたとしても、また同じ理由で転職したいと感じてしまいかねません。そのため、これらをまずは明確にし、効率よく、順序立てて転職活動を行うことが重要です。例えば、条件面で言えば、勤務地、雇用形態、給与、勤務時間、残業時間などが挙げられます。将来的に結婚を考えている人であれば、産休・育休の有無なども重要です。しかし、条件だけで職場を決めてしまうと、転職後やりがいを感じなかったり、ギャップにつながったりしてしまうので、「転職の目的」は必ず明確にしましょう。 

求人票・募集要項で確認すること

勤務地

勤務地は通勤時間や通勤手段なども考慮しながら、必ず確認するべき点の1つです。車で通勤したいという方は、車通勤が許可されているのかなども確認する必要があります。また、逆に電車でも交通費は支給されるのか、車でも電車でも、通勤時間はどの程度かかるのかなども考えましょう。距離が遠く、通勤時間が長くなると、帰宅時間が遅くなり、結果的にワークライフバランスに影響を及ぼす可能性も充分に考えられます。退職理由でも、通勤が困難という回答が一定数あるため、要チェック項目となります。 

雇用形態

雇用形態は意外と見落としがちですが、こちらも重要です。雇用形態によっては、給与や年収、福利厚生などにも大きく影響する場合もあります。例えば、正社員ではなくパートの場合退職金制度がなかったり、手当がつかなかったりするものがある場合も。

年収・給与

給与・年収は具体的に○○万円〜〇〇万円と記載されている場合もあれば、能力や経験、年齢などで決定される場合もあります。また、雇用形態によっては、固定給なのか時給制なのかもしっかり確認しておきましょう。

休日・休暇

基本的に土日祝が休日のところが多いですが、業界によっては、平日休みのところもあります。また、年末年始や夏季休暇なども確認しておいた方が良いでしょう。 

福利厚生

各種保険(社会保険など)がしっかり整備されているか、通勤手当などの各種手当は支給されるのかなどをしっかり確認しましょう。また、将来的に結婚や出産を考えている人は、育休や産休が取れるのか、取得率なども確認すると良いです。

応募条件

応募をするにあたって、最も重要なのが応募条件です。病院ではなく企業ではありますが、産業看護師は医療職であり専門職となります。そのため、応募条件に「医療職資格保持者」「看護師免許必須」「臨床経験○年以上」と言ったように記載されている場合があります。これらを満たしていないと、応募はできないので、必ずチェックしましょう。

徹底的に調べる

転職活動を成功させるためには、情報収集が非常に重要です。上記のような情報は、ほぼ確実に募集要項などに記載されています。また、職場の雰囲気や人間関係、実際にどのような人が働いているのか、設備はどの程度整っているのかなど、求人票だけでは到底掴めない情報もあります。しかし、情報収集の方法は求人票に記載されている情報だけではありません。最近では、実際に働いた経験がある方が書く口コミサイトや企業が採用促進のために、SNSやブログなどを通して、実際に働く人や働く様子を紹介していることも珍しくありません。また、企業にもよりますが、実際に働く現場の見学や「紹介予定派遣」と呼ばれる、派遣として勤務し、働きやすいと感じたら正社員雇用に切り替えるなどの働き方もあります。あらゆる情報を、あらゆる手段で掴み取り、自分の理想の職場を見つけることと、入社前後のギャップをなくすことが非常に重要と言えます。

産業看護師の求人の例

では、実際に産業看護師にはどのような求人があるのでしょうか。ここでは、産業看護師の求人票・募集要項の例を紹介していきます。

A社(東京都)テレビ業界の紹介予定派遣

このような紹介予定派遣の場合、人材派遣会社から勤務先へ派遣されます。紹介予定派遣と、その後実際にそこで働くことになった場合では、労働条件が異なるため、どのような変化があるのかも確認してみてください。

  • 勤務地:東京都港区
  • 給与:時給2,000
  • 勤務時間:9:30~17:30 実働7時間
  • 仕事内容:健康診断業務、産業医の補助、その他の事務作業
  • 紹介予定派遣から実際にA社で働くことを決めた場合
  • 雇用形態:契約社員
  • 給与・年収:月給制 年収336万円前後
  • 賞与:年2回
  • 昇給:年1回
  • 休暇:年末年始、有給休暇、慶弔休暇、完全週休2日制
  • 福利厚生:通勤手当・残業手当
  • 必要スキル:WordExcelでの入力・編集
  • 応募条件:正看護師

 このように、派遣の場合は時給制でしたが、契約社員になると月給制で賞与もつきます。また、この求人例のように、入社前からある程度のスキル(WordExcelなど)を求められているケースもあります。これらも含めてしっかり確認しておくようにしましょう。

最後に

当記事では、看護師の企業への転職をテーマに解説してきました。一般企業においても、「社員の健康な体があっての経営活動」という考えのもと健康に対する意識が高まってきています。それに伴い、看護師などの医療職の活躍範囲も拡大しています。一般企業において、看護師を雇用するには、人件費や設備などコストがかかるため、まだまだ規模の大きな企業がほとんどですが、今後はさらに拡大していく可能性は充分にあります。働く場所が変わるだけでも、看護師としての仕事、そしてプライベートといったワークラフバランスを得ることができ、QOL(クオリティ オブ ライフ)の向上にもつながるかもしれません。

Photo by Van Tay Media on Unsplash