高校の義務教育化はいつから?そのメリットとデメリットを詳しく解説

我が国の(義務)教育の在り方を取り上げ、高校義務教育化といった大胆な教育改革を提案・研究していきます。そこには、さまざまな課題が潜在しており、現代社会の現状や教育の歴史に鑑みながら、義務教育課のメリット・デメリットについて解説していきます。

高校の義務教育化はいつから?そのメリットとデメリットを詳しく解説

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高校が義務教育化されるのは本当?

現代の我が国において高校進学率は高い水準で長年維持されています。加えて、幼稚園・保育園入園率も高位であるため、義務教育年限の延長が近年、叫ばれています。これらの教育機関を義務教育対象期間にするといった意見です。

しかしながら、高校入学における受験との関りや、留年の取扱い、費用等様々な論点が噴出しており、高校が義務教育化されるのは、現時点において容易なことではありません。

今回は、我が国の教育の基礎とこの先を見つめるべく「高校の義務教育化」に焦点を当てて解説していきます。

義務教育化される背景

高校が義務教育化される背景には、中学から高校等(中等教育学校後期課程・特別支援学校高等部・高等専門学校を含む)への進学率が95%以上に達しているといった我が国の実情が起因しています。

この数値に鑑みても、高校教育はもはや「義務教育」と化し、多様化も進行している現状に目を向けなければならないという声が多く上がっています。

出典:高等学校教育の現状について|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/20201027-mxt_kouhou02-1.pdf

義務教育化の内容

高校は「中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて高度な普通教育(全国民共通の一般的・基礎的教育であってなおかつ、国民に必要とされる教育)及び専門教育を施すこと」を目的としています。

現在の日本では、義務教育の対象から外れているため、進学するか否かは個々人の自由ですが、中学校卒業からの就職は就労可能な職種が極めて限定的であり、仕事の幅が狭いといったことが実情です。

加えて、資格や免許取得にも制約が多いためこの効果を助長しています。これらのことから高校進学率が高位で維持されていることが頷けます。

現代の実情ならびに、生徒の大多数が高校へ進学しているといったことに鑑みるのであれば「高校の義務教育化」は避けては通ることのできない道と言えるでしょう。

義務教育化はいつから?

「高校の義務教育化」の実現に当たっては、具体的にいつから導入されるといった明確なスケジュールは決まっていません。

長年、義務教育の枠組みから外れていた高校を義務教育とするのは容易なことではありません。しかし、着実に義務教育化へ近づけようとする試みがなされているのも事実です。そこには、メリット・デメリットが存在しています。

以下からは、そのメリット・デメリットについて解説していきます。

高校の義務教育化のメリット3選

ここでは、高校の義務教育化によって生まれるメリットを挙げていきます。主な項目としては、「学力向上」・「貧困問題の是正」・「現教育制度の見直し」です。

高校の義務化によって、今の教育制度は大きな変化が生じます。それと同時に現代社会の改善にも効果を示すことが期待されています。

1:国民全体の学力向上

このメリットについては、歴史と深く関係しています。第二次世界大戦敗戦後の日本は、平和主義と民主主義、そして基本的人権の尊重を旗印とする日本国憲法に則って、教育の憲法とも称される教育基本法を制定しました。

これによって義務教育が小学校から中学校まで延長されることとなり、文字の識字能力(字を読み書きし、理解できること)は格段と向上し、知識の普及とともに社会全体が進歩していくこととなりました。

今回の義務教育延長についても同様の効果が期待できる点が1つ目のメリットと言えます。高校での教育を義務化させることにより、全国民が普通教育および専門教育を学ぶことで国民全体の学力が向上することが期待されます。

2:貧困問題改善

近年、国内において格差による階層の二極化が問題視されています。二極化の拡大が進行するにつれて、「格差」となり、労働賃金や近未来において訪れると予見されるいくつもの弊害に危惧する声が高まっています。

このような「格差」が生じる成因が「学歴」です。具体的に言うのであれば「中卒」・「高卒」あるいは「大卒」・「院卒」といった就職時に確実について回る見えない冠です。

高校の義務教育化によって少なくとも「中卒」・「高卒」といった学歴の格差を除外することができます。つまりは、高校義務教育化によって「所得格差における是正」に効果を示すと期待されています。

3:小中高の制度の見直し

冒頭で、高校義務教育化に起因した論点が噴出していることは述べましたが第一として、現代における「高校の在り方」を見直さなければなりません。

我が国では基本、高校への入学は受験(試験)によって入学者が選別されます。しかし今回導入しようとしている起案は「義務化」です。つまりは、高校側が入学者を選別して受け入れるのではなく、一様に受け入れるといった体制の変化が必要です。

これは長年の教育体制を大幅に変更する必要があるため、すぐに実現させることは難しいでしょう。しかし実現されれば、先の掲げた全国民へのメリットや社会問題の是正に影響を及ぼすことができます。

高校の義務教育化のデメリット4選

高校の義務教育化のメリットを掲げましたが、以下からは、デメリットについて解説していきます。ここで注意が必要なのは、義務教育化によるメリットとデメリットは「表裏一体」であるということです。

多面的・多角的な見地から物事を見なければ、この難題に本腰を入れることができないことを念頭に入れておきましょう。

1:私立高校の需要が減る

教育体制の代償の1つが「私立高校」の存在です。高校独自の理念を持った学校で授業料や寄付金などの費用が多額になる一方で、学校外活動費(塾代)などを抑えられるといった学校の特色があります。

独自のカリキュラムや独自の教育方針を展開する私立学校は「高校教育義務化」においては、弊害となる可能性があります。

では、私立学校を一掃するのかというと全くもってそうではありません。私立学校の理念・方針に惹かれ入学した在籍中の学生やそこで働いている教員の雇用をなくすことはできません。

義務化導入に向かって円滑な転換へのシミュレーションが必要不可欠といえます。

2:勉強のモチベーションが低下

メリットを読み進めていくなかで「高校が義務化されて本当に学力が底上げされるのか」と疑念を抱いた方もいるでしょう。

高校入学に当たっては、高校側が入学者を選別する受験(試験)があります。誰しもが、自分の志願する高校へ入学したいと思い、受験勉強に励みます。中学校において学力向上が顕著な時期というのは「高校受験」期ともいわれているくらいです。

高校の義務教育化は、この「高校受験」といった学力向上時期を排するプログラムであることを忘れてはならないでしょう。 高校入学といった学習へのモチベーションが、義務化によって低下することが危惧されています。

3:税金が高くなる

高校の義務教育化を主導していくのは、もちろん国・政府です。国は、高校までの教育を義務化するための法整備や環境を整え、もちろんコストは税金によって賄います。現在の高校に当たる金額よりも莫大な金額を投下しなければならないことは容易に想像がつきます。

国民が納得した形で高校義務教育化を進め、税金を払ってもなお行う価値のあるものなのか、大胆な施策となるため、精査は必要不可欠でしょう。

4:早く働き始めたくても働けない

高校進学率は約9割に及んでいると冒頭で伝えました。では、残りの約1割はなぜ高校へ進学しないのでしょうか。高校に行く必要性が見いだせなかったり、何らかの事情で行きたくても行けないという方もいるでしょう。

家庭の金銭的問題から、中学までの義務教育を終えた後、家庭の経済的問題解決するために、すぐにでも働き始めたいという方も少なからず存在します。

しかし、高校を義務化にしてしまうと、高校に行くメリットや必要性を感じないのに、通わなければならず、早く働き始めたくても働けないという問題も出てくるでしょう。

教育無償化の概要

2020年4月から私立高校授業料の実質無償化もスタートしています。ただしこれは、すべての世帯を対象としているのではなく、保護者の所得や授業料によっては、全額無償化にはならないこともありますので注意が必要です。

出典:高校生等への修学支援|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm

幼児教育の無償化

2019年10月より幼児教育・保育の無償化が全面施行されました。夫婦共働きの生活がスタンダードになりつつある今日に我が国において、家計負担軽減措置が施されるようになりました。

幼稚園や保育所に通う3歳から5歳のすべての子どもと、保育所に通う0歳から2歳の住民税非課税世帯の子どもについて、利用料が無料になります。

ポイントは、世帯の所得にかかわらず、3歳から5歳までのすべての子どもたちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用が無償化される点です。0歳から2歳児に関しては住民税非課税世帯に限り無料となります。

出典:幼児教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/20/1414592_002_1.pdf

私立高校の無償化

これから後述する高校教育の無償化と深い関係を有しているのは、国の高等学校等就学支援金制度です。所得に応じて支援金が支給され、保護者が負担する授業料を減らすことができます。

対象となるのは、国公立や私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)、中等教育学校後期課程特別支援学校の高等部、高等専門学校、専修学校、その他要件を満たす学校に在籍する生徒です。

年齢に制限は設けていませんが、支給期間は36ヶ月(定時制・通信制は48ヶ月)と定められています。この支援金は国から都道府県を通じて学校に支払われ、授業料に補填されることとなります。

出典:高校生等への修学支援|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm

高等教育の無償化

ここで注意が必要なのは「高等教育」といった意味合いです。高等教育とは、高校を卒業してからの教育を指すため、大学(四大・短大)や専門学校が対象となっています。(「高校」の事を指しているのではありません。)

一定以下の所得層の家庭では、大学や専門学校での入学金や学費が免除・軽減され、生活費においても支援があるといった内容です。

高等教育の無償化の財源は、消費税が8%から10%の引き上げに伴う増収分によって賄われています。ただし、国の負担分は社会保障関係費として予算計上されています。

出典:高等教育の修学支援新制度|文部科学省
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

高校の義務教育化で国民全員高いレベルの教育を受けることができる

高校の義務教育化の主たる目的は国民全員の教育レベルの底上げにあります。国民全員が一律の高校レベルの教育を受けることによって、学力は格段に上昇します。しかしながら、この導入においては弊害もあるため、簡単に導入とはいきません。

それぞれのメリット・デメリットなど、多角的視点から全国民にとってよりよい教育の在り方について考えていく必要があるでしょう。

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初回公開日:2021年03月06日

更新日:2021年12月14日

記載されている内容は2021年03月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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