缶ジュースの冷たさを保たせる方法と原理を学ぼう

これから暑いシーズンが到来する中、お子さまのいらっしゃるご家族は、夏休みなどを利用して公園、遊園地、バーベキュー、キャンプ、海水浴、川遊びなど様々なところへ外出する機会が増えてきます!

そんな中、外出先で「まわりに自動販売機がない!」「冷たいつものあのジュースがどうしても飲みたい!」と、お困りのときに、自分の家の冷蔵庫で冷やしてもってきた缶ジュースを飲めたら、楽しいひとときを幸せにすごせるのにと思う人もいるでしょう。

今回は、そんな願いをかなえるべく、保冷効果を少しでも持続できるような原理を学んで、その方法を身近なもので実験していきます。

この実験を通して、冷たいと感じる缶ジュースを暑い外出先でひんやりとおいしくいただけるようになるでしょう。

ご家族の楽しいおでかけをより快適に過ごせるように、ぜひ参考にしてみてください。

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缶ジュースの冷たさを保たせる方法と原理を学ぼう

まず、保冷方法として効果的なものにならうとその原理を学びやすいので、一般的に思いつく「魔法びん」といわれる水筒の構造などからヒントを得ていきましょう。

一般的な魔法びんでは「ZOJIRUSHI」、「TIGER」、「THERMOS」などのメーカーの製品があり、それらの構造から原理を学びます。

以上3社の構造の説明より、魔法びんの保温・保冷を担う構造の条件ポイントは、
・断熱
・空気の行ききをさせない真空状態
・熱を容器内で鏡のように反射させて跳ね返す役割を担うアルミや銅の質
・容器自体の2層構造
以上がカギになるとわかりました。

そこで、真空状態にラップ、熱を跳ね返す質としてアルミホイルを使用して、できるだけ保冷が持続できるように、冷蔵庫で冷やした缶ジュースに巻いて、その周りに2層構造を担う断熱のできる素材をそれぞれ巻いて、比較実験していきます。

実験に必要なもの・環境・準備

実験に必要なものは以下の通りになります。また、断熱に使用する素材をリストにまとめています。
・温度計
・同じ種類のミニ缶ジュース10本(うち予備1本)
・クーラーBOX
・保冷剤(大3個)(小5個)
・ラップ
・アルミホイル
・ニトリルゴム手袋(熱が伝わりにくく、作業しやすい)
・輪ゴム
・断熱に使用する素材

  • プチプチシート(梱包材)
  • 断熱シート(うすいもの)
  • 糸でつなげたストロー製のすだれ
  • しなやかなボール紙
  • ニトリルゴム手袋
  • フェルト生地
  • 断熱素材なし(ラップ・アルミのみ)
  • 断熱素材なし(ラップ・アルミもなし)

実験の方法・手順

  • 冷蔵庫で缶ジュースを冷やす(5時間以上)
  • ニトリル手袋を着用する
  • 実験をするときに凍らせておいた保冷剤をクーラーBOXに入れる
  • 缶ジュースを冷蔵庫から取り出し、手早くラップ→アルミを巻いて保冷BOXに投入する
  • 投入した缶ジュースを1本取り出し、順番に断熱する素材を巻いて手早くクーラーBOXに戻すのを繰り返す
  • 何も巻かない缶ジュースを5回ふってから1本あけて、温度をはかる
  • 6時間、家の外にクーラーBOXをおく
  • 6時間後、1~8の素材リスト順で缶を開けて、中身を温度計ではかり、結果のメモをとる

手順の留意点は以下の通りになります。
1.よく冷えるようにする適当な時間を設ける
2.できるだけ保冷状態を維持できるようにする
3.保冷剤(大3、小5個)をクーラーBOX内に均等になるように設置する
4.1本ずつ缶ジュースを取り出し、手早くピタッとラップをし、アルミホイルでしっかり包む
5.素材が缶ジュースを巻けない場合は、輪ゴムで上下をとめる
6.スタート時のジュースの温度を記録する
7.念のため、スタート時間と、1時間おきに、外気温も記録する
8.缶ジュースの中身が均等な温度になるように5回ふってから開ける

実験からわかること

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実験日は、昼間が暑くなる予報だったため決行しました!できるだけおでかけときの環境を再現するために、駐車スペース(コンクリート)にクーラーBOXを直に置いて、水筒の保冷実験を参考に、6時間放置して実験をおこないました。

その結果、断熱の素材によって1番保冷効果があったのは、プチプチシート(梱包材)で、効果が1番低かったのはフェルト生地で、その温度差は4.6℃でした。

効果のあった素材を順番にすると、プチプチシート(4.3℃)→断熱シート(6.0℃)→ニトリルゴム手袋(7.0℃)→しなやかなボール紙(7.5℃)→ストロー製のすだれ(8.6℃)→フェルト生地(8.9℃)となります。

断熱素材を使用したものの中で比較すると、以上のような結果が出ましたが、6時間後のクーラーBOXの中の温度がマイナス0.4℃だったためか、ここまでして1番冷えた状態だったものは、断熱素材を巻かないもの(ラップ・アルミのみ)だったのです。

冷蔵庫内がマイナス1℃であった中で、すぐ取り出し開封してはかった缶ジュースは4.0℃に対し、クーラーBOX内はマイナス0.4℃であった中で、断熱素材を巻かなかったもの(ラップ・アルミあり)は、なんと3.9℃と、マイナス0.1℃上回って冷えていました!

ここで気になるのが、断熱の素材を巻かなかった2本の缶ジュースの比較です。

なんと何も巻かなかった缶ジュースは、直接保冷剤に接して置いていた状態でも13.8℃でした。ここで、断熱の素材に効果があったこと、また断熱の素材を付けずラップとホイルだけを巻いた状態の缶ジュースの保冷効果が1番効果的だったということがわかりました!

そのため、アルミホイルの性質を改めて調べると、断熱効果、遮熱効果がありながら、熱伝導の効果で冷えやすくする効果もあることがわかり、缶ジュースの缶自体とすでに2層構造がつくられ、更にクーラーBOXの保冷効果と相性よく冷やされていたことに気づきました。

また、気温がAM8:20(22.5℃)のスタートで、1時間ずつクーラーBOXを置いた場所を記録すると、最高29℃でかなりの気温上昇の変化があったことと、同じ時間でも、日なたと日かげの温度差が5℃もあり、置く場所によっても効果が大きく影響するとうかがえます。

これから暑くなるおでかけ先、スーパーで買ったお気に入りのジュースが、事前に冷蔵庫で冷やし、密着ラップの上にホイルを巻くひと手間で、如何にひんやりおいしくいただけるのか、いつものクーラーBOXに入れて、ぜひお試ししてみてはいかがでしょうか!

※実験は安全性に十分配慮して行ってください。実験結果が記事と異なる場合でも弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
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