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【HUCRoW(フクロウ)とは】子どもの脳の特性を診断|ワーキングメモリの構成要素や発達のヒントが見つかる

 

【HUCRoW(フクロウ)とは】子どもの脳の特性を診断|ワーキングメモリの構成要素や発達のヒントが見つかる

 

湯澤先生:はい、目に見えてわかるようになるのは、小学生になってからの学習態度だと思います。ただ、保育園・幼稚園の頃も前兆傾向はあります。

 

就学前は、親や友だちとのコミュニケーションの中で、いろいろな言葉を覚えたり、遊びの中で物を数えたり分けたりします。
それらが小学校に入ってからの国語や算数の基盤となるのですが、中にはそういったことに興味を示さない子どももいます。

 

学習や人間関係において困難が生じている場合は、ワーキングメモリの大きさや機能が影響している可能性が考えられます。

 

子どもが持つワーキングメモリの特性を診断「HUCRoW(フクロウ)」とは

―子どものワーキングメモリを調べる方法はありますか?

湯澤先生:知能検査の一つであるWISC(ウィスク)の中に、ワーキングメモリ指標があります。

 

ただ、WISCは病院やクリニック、児童相談所などで、公認心理士などの専門家が子どもと1対1の問診で検査するのが基本なので、簡単に調べられるものではありません。

 

より気軽にワーキングメモリを調べる方法を提供したいという想いで、「HUCRoW(フクロウ)」を開発しました。

 

―「HUCRoW(フクロウ)」について詳しく教えてください

湯澤先生:「HUCRoW(フクロウ:Hiroshima University Computer-based Rating of Working Memory)」は、ワーキングメモリのテストをPCやタブレット端末で行えるようにイギリスの研究者が開発したものを、私が10年ほど前に日本語版で構成しました。

 

そして、全国の小中学校を回って児童生徒に受検してもらい、2,000名ほどのデータを集めました。それを元にHUCRoWを作り、子どもの個性や学習との関わり方を調べられるようにしました。

「HUCRoW(フクロウ)」診断でワーキングメモリの特性と子どもに合った才能の伸ばし方がわかる

                              ※画像はイメージです

 

―「HUCRoW(フクロウ)」はどのようなアセスメントですか?

湯澤先生:診断によってワーキングメモリの特性が数値化され、総合的な学ぶ力のみならず、子どもの強み・弱みも可視化されます。

 

ワーキングメモリが未就学児と就学後の2つの段階で捉えられるのと同じように、4〜7歳向けの「簡易版HUCRoW」と、小中学生(6〜15歳)向けの「HUCRoW」があります。

 

受検内容としては、画面の絵を見たり言葉を聞いたりして、それが同じか違うかを答えるので、子どもにとってはゲーム感覚で取り組めます。

 

WISC‐Ⅳにおける“ワーキングメモリ指標”は、言語領域の記憶・処理を測るものである一方、HUCRoWは言語領域および視空間領域の記憶・処理を調べることができますよ。

アセスメント名簡易版HUCRoWHUCRoW
対象年齢4歳~7際6~15歳
診断内容視空間性ワーキングメモリ/言語性ワーキングメモリ言語的短期記憶/言語性ワーキングメモリ/視空間的短期記憶/視空間性ワーキングメモリ

―「HUCRoW(フクロウ)」診断は具体的にどのように役立ちますか?

湯澤先生: 例えば、見ることと聞くことではどちらが得意なのか?子どもの個性を知ることができます。
例えばAさんのように、視空間的短期記憶力が低く「視覚から入った情報を覚えることが苦手」な代りに、言語的短期記憶力が高く「音を聞いたり、話したりすることが得意」なタイプの場合は、音楽を使って数式を覚えるなどの学習方法を工夫することができます。

Aさんの場合言語的短期記憶力が高い視空間的短期記憶力が低い音を聞き、話す事を取り入れた学習が効果的
Bさんの場合言語的短期記憶力が低い視空間的短期記憶力が高い見たり、イメージしながら行う学習が効果的

湯澤先生:子どもの成長段階で、ワーキングメモリの様子を早く知ることが大事だと考えています。

 

就学前に簡易版を受検し、つまずきの可能性の有無を確認する。何もなければそれでいいですし、何かあれば早めに手を打つ。予防接種的な役割で、できるだけ早く調べることをお勧めします。

 

子どもの特性を学校生活や療育の先生とシェアして、より良い教育を実現

 

 

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